偉大な男のものがたり(長編児童文学・完結)
偉大な男のものがたり 10,000,001日目 3
「なぜかね」
船長の返答に、保は答えた。
「その理由は簡単です。ぼくは、あなたの名前を知っているのです」
「わたしの名前?」
「船長。あなたの焦点核を見せてください」
「わたしの名前と焦点核とどういう関係があるのだ?」
「船長が焦点核を見せてくれれば、ぼくは自分の非を認めて何万年でも砲術士官をやります。だから、見せてください。見せられるものならば」
「わたしは……」
「船長、ぼくはあなたの名前を知っている。ちょっとでも脳味噌があれば、すぐにでもわかっていていいはずだったんだ。船長、あなたの名前は『ポール・ブリッツ』だ。この絶望的な宇宙に存在するのは、ただあなたひとりだけなんだ」
船長はまだ余裕を持っていた。
「わたしがあの下等生物と同じとはね!」
「下等生物なんかじゃない。あれは宇宙そのものです。あなたと合わせて、この宇宙そのものを作っているんだ」
「なぜわたしがこの宇宙をこんな絶望的にしなければならなかったのかね」
「それは、あなたがこの宇宙の作者だからです。正確には、『偉大な男のものがたり』という、ぼくが読んでいた小説の作者だからです。あなたにはどうしても『シティ』を塵のごとく吹き飛ばさなくちゃならない理由があった。それは、理由を聞けばあまりにもくだらなすぎることです」
保は叫んだ。
「あなたは、『シティ』での冒険を、リアルに描くことができるほどの文才がなかった。ただそれだけの理由で、この宇宙の情報拠点は破壊させられてしまったんだ!」
船長は含み笑いをした。
「ひどいいわれようだな。そんな理由で数えきれないほどの大虐殺をやるくらいなら、わたしはさっさときみにこの船の船長室をゆずって……」
「あなたには最初からぼくに船長をやらせるつもりなどなかった。ぼくは単なる、『物語上の主人公』として、船長、あなたの終わることのない冒険をただただ眺めている、それだけの存在であればよかった。だが、あなたは、宇宙船の冒険を語るだけの文才すらなかった。その結果が、この救いのない宇宙であり、救いのない宇宙船なんだ」
船長は偽足の先端を錐のように尖らせ、保に狙いをつけた。
「これ以上の侮辱を聞く気はない。きみのいったことはすべてその通りだ。わたしがポール・ブリッツだ。だから自分の身体を圧縮して超小型のブリッツ砲を作りきみを撃つことができる。わたしはこの世界の神だからだ」
どこからか声がした。
「別名をデミウルゴス」
船長の返答に、保は答えた。
「その理由は簡単です。ぼくは、あなたの名前を知っているのです」
「わたしの名前?」
「船長。あなたの焦点核を見せてください」
「わたしの名前と焦点核とどういう関係があるのだ?」
「船長が焦点核を見せてくれれば、ぼくは自分の非を認めて何万年でも砲術士官をやります。だから、見せてください。見せられるものならば」
「わたしは……」
「船長、ぼくはあなたの名前を知っている。ちょっとでも脳味噌があれば、すぐにでもわかっていていいはずだったんだ。船長、あなたの名前は『ポール・ブリッツ』だ。この絶望的な宇宙に存在するのは、ただあなたひとりだけなんだ」
船長はまだ余裕を持っていた。
「わたしがあの下等生物と同じとはね!」
「下等生物なんかじゃない。あれは宇宙そのものです。あなたと合わせて、この宇宙そのものを作っているんだ」
「なぜわたしがこの宇宙をこんな絶望的にしなければならなかったのかね」
「それは、あなたがこの宇宙の作者だからです。正確には、『偉大な男のものがたり』という、ぼくが読んでいた小説の作者だからです。あなたにはどうしても『シティ』を塵のごとく吹き飛ばさなくちゃならない理由があった。それは、理由を聞けばあまりにもくだらなすぎることです」
保は叫んだ。
「あなたは、『シティ』での冒険を、リアルに描くことができるほどの文才がなかった。ただそれだけの理由で、この宇宙の情報拠点は破壊させられてしまったんだ!」
船長は含み笑いをした。
「ひどいいわれようだな。そんな理由で数えきれないほどの大虐殺をやるくらいなら、わたしはさっさときみにこの船の船長室をゆずって……」
「あなたには最初からぼくに船長をやらせるつもりなどなかった。ぼくは単なる、『物語上の主人公』として、船長、あなたの終わることのない冒険をただただ眺めている、それだけの存在であればよかった。だが、あなたは、宇宙船の冒険を語るだけの文才すらなかった。その結果が、この救いのない宇宙であり、救いのない宇宙船なんだ」
船長は偽足の先端を錐のように尖らせ、保に狙いをつけた。
「これ以上の侮辱を聞く気はない。きみのいったことはすべてその通りだ。わたしがポール・ブリッツだ。だから自分の身体を圧縮して超小型のブリッツ砲を作りきみを撃つことができる。わたしはこの世界の神だからだ」
どこからか声がした。
「別名をデミウルゴス」
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