映画の感想

    「自転車泥棒」見る

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     泥沼の底にいるようないい気分なので、毒を以て毒を制すという意味で、イタリア人が作ったとは思えないような社会派のどシリアスなモノクロ映画「自転車泥棒」を見る。作品も、これを撮ったヴィットリオ・デ・シーカ監督も、イタリア・ネオレアリズモといったらまず真っ先にこれが挙がる代表的作品であり監督らしいが、見るのは今回が初めて。

     もっと陰惨な映画かと思ったら、日本の作品と比べて愛憎のドロドロ度は少なかった。字幕で見たせいかもしれない。これが吹き替えだったらたぶん三十分で挫折していたと思う。

     ストーリーもシンプルである。戦後の混乱期、仕事のために自転車を質屋から受け出した男が、泥棒に自転車を盗まれ、探しても見つからず、泥棒を見つけるも居直られ、警察も頼りにならず、やけくそになって自分も自転車を盗もうとして捕えられる、というただそれだけの話。

     そんな暗くてやりきれない話なのに、実に面白い映画だった。次に起こることがなんなのかわかっていても、画面から目が離せない。主役の男もいいが、それ以上に、男といっしょに自転車を探して歩く息子ブルーノを演じた子役が反則的なまでに魅力的である。

     これがもう、けなげのひとこと。あの視線には誰も勝てない。たぶん節子でも勝てない。

     ラストシーンのふたりの背中に、なにを感じるかだが、どういうわけだか、「どうしようもない貧困と現実の重さからくる悲劇性」よりも、一種の「救い」を見出してしまった。

     デ・シーカ監督の政治信条についてはよく知らないが、カトリック的な「神による救い」というものが強く感じられるのである。救いとはいっても、野球で言えば八回表まで相手チームに毎回得点を許し、こちらは一点も取れない、というゲームで、九回表にようやくこの回を零点に抑えた、みたいな救いではあるが、神の救いとは畢竟、そういうものだと思う。

     そんなことまで考えさせられる面白い映画だった。世をはかなんでいる人には特にお勧め。生きてりゃそのうちいいこともあるさ。
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    ~ Comment ~

    Re: 白くじらさん

    ほんと安いですね(^^;)

    今度は名作の誉れ高い「天井桟敷の人々」を見るため、同じように安いフランス名作映画10枚セットのほうも買ってみようかと考えていますが、置き場が……(^^;)

    こんばんは。

    許可ありがとうございます。(^^)
    チケット作り直しました(知っている人でないと誰のブログかわかんないですけど)。

    ホント、いい表情が随所に見受けられましたね。
    素人とは思えない…というか、実体験している素人だからこそ出せる表情なんですね。

    こういう10枚組のセットが出ているんですね。
    それにしてもとんでもない値段ですね。1枚当たり200円を切っているんですけど。や、安い!
    情報、ありがとうございました。(^^)/

    Re: 白くじらさん

    今日も小説をひねくりながら「自転車泥棒」を見ました。

    ブルーノもアントニオも、悲しくなるくらいいい顔をするんですよね。喜んでいる時も、悲しんでいる時も。

    アントニオがブルーノをカッとなって殴ってしまうシーンでは、痛みが伝わってくるようでした。双方から。

    急に雨が降ってくるシーンもよかったです。濡れないようにコートを頭の上までかぶるブルーノの瞳がいい。

    もちろんラストシーンの手をつないで歩いて行くところも。

    ネオレアリズモ作品については、宅配サービスで1本1本レンタルするとけっこう高くつくと思うので、もし、まとまったところをご覧になりたいと思うのなら、この10枚組のDVDセットを買うのがいちばん手っ取り早いと思います。

    今だからいいますが、今回この企画を立ち上げたのも、「無防備都市」に感激した後、このセットを買う理由づけにしたというのも半分……(^^;)

    今日も「自転車泥棒」を再見しましたが、ほんとこんな名作がこんな値段で見られていいのか、と思うほどの内容です。

    http://www.amazon.co.jp/3%E5%A4%A7%E5%B7%A8%E5%8C%A0%E5%90%8D%E4%BD%9C%E9%9B%86-DVD10%E6%9E%9A%E7%B5%84-%E9%83%B5%E4%BE%BF%E9%85%8D%E9%81%94%E3%81%AF%E4%BA%8C%E5%BA%A6%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%92%E9%B3%B4%E3%82%89%E3%81%99-%E7%A5%9E%E3%81%AE%E9%81%93%E5%8C%96%E5%B8%AB%E3%80%81%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%B3-BCP-061/dp/B00ATB3OQW/ref=sr_1_3?s=dvd&ie=UTF8&qid=1453383553&sr=1-3&keywords=%E7%84%A1%E9%98%B2%E5%82%99%E9%83%BD%E5%B8%82

    ブログ記事のそういう形での引用については別にかまいませんよ(^^)

    チケットかっこよかったです!

    こんにちは、初めまして。

    MOVIE-DICの白くじらと申します。
    今回の「ブログ DE ロードショー」の企画に参加させてもらっています。
    たまたま観た作品が「自転車泥棒」でしたので、古い記事にはなりましたが、こちらにコメントとリンクおよびトラックバックをさせて頂きました。

    実際の当時の貧困は知る由もありませんが、自転車を手に入れた時の喜びから、盗まれてどん底に突き落とされるショックは観ていてなんとも言えませんでした。
    ラストまでやるせなさがつつんでいましたが、息子ブルーノの存在により、光がさした感じでした。
    ブルーノの表情が素晴らしいですね。

    いい企画をありがとうございました。
    他の作品も観たくなって探しましたが…今のレンタル屋だとないです。(@@;;もう少し、都会にいかないと。

    あと、1つお願いがあるのですが、今回のチケット(?)画像を作り直しているのですが、ポールさんのページを1枚キャプチャーして差し込もうと思っています(宵乃さんやmiriさんのものと重ねて使用するので小さなものです。(^^;)。
    よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

    Re: 星 あかりさん

    お返事遅れて申し訳ありません。

    ようこそいらっしゃいました!

    これで父親が牢獄入りして犯罪者になったら、それこそ救いのなにもない結末だったでしょうね。

    あの映画は、悲惨な日常のもとでは、同情すべき善良な男でも犯罪者になってしまう、ということを痛いほどえぐり出して描いているので、見ていてほんとに引き込まれました。

    これからの日本を考えると、他人事じゃない、と思います。

    NoTitle

    はじめまして。星あかりと言います。
    この映画、観ました。
    お父さんのヌケっぷりに子供がけなげで、何とも言えない喪失感があったのですが、救いを感じられるという貴説には、うなってしまいました。なるほどです。
    ええ、生きていれば、いいことが、ある、かも、しれませんね。

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    Re: ROUGEさん

    こちらこそブログでご無事を知って安心いたしました。

    いったいあの降りかたはなんなんだ、とぼやきたくなるほど降りましたもんねえ……。

    NoTitle

    そちらも無事で良かったわ~
    やっぱり心配になるよね~
    コメント下さってありがとう。
    お陰で無事が確認出来てホッとしたわ(*^_^*)

    Re: ECMさん

    心配してくださってありがとうございます。

    どうやら雨は小康状態になりましたが、ほんとバケツをひっくり返したような大雨でした。

    いちおう高台にあるのでさほど恐怖は感じませんでしたが、土浦でもたぶん川沿いや霞ケ浦のごく近くにある家では気が気ではなかったろうと思います……。

    Re: 野津征亨さん

    そんなBLものを書いたらこのブログが星人向けになってしまうではありませんか!(笑)

    擱座したM1A1にここぞとばかりにT-72が迫る、というシチュエーションも考えてみましたが、擱座したM1A1が3両のT-72と戦闘になって勝った、という実話もあるようですし、よほどシチュエーションをうまく考えないと無理だろうからなあ。うむむ。

    いかん本気でコピー誌が作りたくなってきた。コミケからは足を洗ったつもりでいたのに(^^;)

    Re: かえるママ21さん

    考えればあのフェリーニの「道」もイタリア映画ですから、別にイタリア人がまじめな映画撮ったってなにもおかしいことはないんですが、人徳というものでしょうか。

    ふだんメチャクチャ明るくふるまっている人が、いざ本心を覗いてみたら荒廃の塊だったなんて話もよくありますし……(^^;)

    Re: miriさん

    正直、見る前は自分に楽しめるのか不安でしたが、見ているうちに引き込まれてしまいました。

    他の作品も見ようと思います!

    Re: 宵乃さん

    子供が子供でいられないような社会っていうのはやっぱりどこか深刻な病を抱えているのではないかとも思いました。

    でも当時のローマではあれが現実だったんでしょうねえ……。

    主人公が自転車泥棒をした後の展開は、「神」が主人公の一家を破滅から救ったのではないかと思わせられました。

    面白かったです。
    • #16331 ポール・ブリッツ 
    • URL 
    • 2015.09/10 12:48 
    •  ▲EntryTop 

    NoTitle

     特別警報がでているようなのですが、大丈夫ですか?
     静岡市は大丈夫でしたが、ちょっと心配です。

    先生!
    拙宅にて頂戴した『T-72×M1A1』の暗号ですが、当方手持ちの資料では読解できません!
    大変心苦しいお願いながら、どうかこの不出来な学生めに模範解答をお恵みくださいませm(_ _)m

    こんにちは^^

    宵乃さん、miriさんがコメントされてるので、かえるままもこちらへ〜^^
    陽気なイタリア人が作った真面目な社会派映画には興味あります。
    貧困という不条理はこちらの人間の永遠のテーマですね。(二の腕同様に)

    こんにちは☆

    >そんなことまで考えさせられる面白い映画だった。世をはかなんでいる人には特にお勧め。生きてりゃそのうちいいこともあるさ。

    ポール・ブリッツさんにとって良い時期での良い鑑賞になられたようで、良かったですネ♪
    良い作品ですよね~。

    けっこうリアルタイムに撮られた作品のようで、21世紀になってから作っても嘘っぽいし、この時に作って頂けて良かったですネ!
    私もまたいつか見たいと思います☆


    .

    NoTitle

    去年の4月に観ました。
    観る時のテンションによって重く感じたり、意外と大丈夫だったりしますよね。
    ホント、少年の健気さが救いでした。作中で描かれる短い期間の間にしっかり成長してるのが見て取れて、近いうちに家族を支える大人になるんだろうなぁと、ポールさんとはちょっと違う意味でラストに救いを見ることができました。
    名作ですね。
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