東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ5位 鷲は舞い降りた ジャック・ヒギンズ

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     最初にこれを読んだのは忘れもしない、あの悪名高き「リーダーズ・ダイジェスト」の小説ダイジェスト版であった。4冊のベストセラーが圧縮されて1冊のハードカバーになって売られていたやつである。知らない人が多いことを祈る。あれは超訳さえしのぐ、「小説の破壊」だ。

     ダイジェスト版を読んであまりのつまらなさに投げ出し、高校生になって早川文庫版のしっかりした訳で読んだときの驚きがわかるかっ! もう夢中になってむさぼり読んだ。シュタイナ中佐のもうかっこいいこと。

     だが、冷静に考えるとこの本、第二次大戦を考えるうえで大きな「つまずきの石」になっているのではないだろうか。

     われわれがちっとも疑わない、「ドイツ国防軍無罪説」の宣伝本にされてしまっているのではないだろうか。悪役はナチスという組織であり、SSであり、ヒムラーであり、対してドイツ国防軍は勇敢で立派な軍人たちだった、という、いまどきの戦記物によくあるあのステレオタイプなドイツ軍のイメージ。それを支えるうえで、この本の果たした影響は巨大なのではないかと思える。

     それは日本にも波及し、「日本軍無罪説」になってしまったのではないだろうか。ドイツ国防軍は勇敢で立派な軍人たちだった、だから日本軍も勇敢で立派な軍人たちで構成されていた、という思い込みである。

     勇敢で立派な軍人たちだけで構成されていた軍隊などはどこにも存在しない。「勇敢で立派な軍人たち」というイメージは甘美だが、それはあくまでも幻想であり、現実を認識するのにあたっては、そうした幻想は切り離されるべきだと考える。

     それにしてもシュタイナ中佐……かっこいい人だったなあ……。

     ちなみに本書は、作者によって結末が改変されたものが「完全版」として売られている。

     ヒギンズ先生血迷ったか、と思ったし、その意見はいまだ変えていない。ベストセラーは死滅するよりもつらい運命をたどることがある。とほほ。
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