映画の感想

    「怪傑ハヤブサ」見る

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     前に桜井麻美氏の活弁で見た「争闘阿修羅街」が脱力映画として個人的にえらくツボにはまったので、同じハヤブサヒデト監督主演作品ということで見た。こちらは戦後の作品で、もちろん内容なんかにちっとも期待はしていない。なにせハヤブサヒデトだから、大都映画社ゆかりの作品である。期待するだけ損である。

     で、桃缶と麦茶を片手に50分間見て思ったのだが、作品的には「E級レベルの怪作」であった。もちろんそんなことは予期していたのでゲラゲラ笑いながらストレスも覚えず楽しんだが、初見の人にとっては「苦痛の50分間」だと思われる。ある意味予想以上だったといってもいいかもしれない。これに比べると「争闘阿修羅街」はまだまともな映画である。

     まず音楽。普通の映画ならテーマ曲なりとも作曲する、というのが今の考えであろう。しかし、1949年の日本の弱小プロにそんなものを要求してはならない。クラシック音楽の使いまわしである。そしてまたこの選曲のセンスがまたすばらしい。悪い意味で。

     演技であるが。まさか1949年の映画で、「無声映画のような」アクションシーンが見られるとは思わなかった。それが、極度に効果音と台詞を節約した音声と相まって独自の世界を作り出している。そうとでも脳内補正をかけないととても見られたものではない。しかも、ハヤブサがバイクを使って疾走するシーンでは、追うカメラまでもがぐらぐら揺れるのである。ここまでぐらぐら揺れるカメラは、「仁義なき戦い」を……いやそこまではいかないか。

     ストーリーだが、フィルムの欠落があるのではないか、と想像しているが、黒澤映画などとは比べるだけ間違っている劣悪な音声ゆえに、「今いったい何が起こっているのか」がよくわからない。つなぎのシーンはすべてハヤブサがバイクを飛ばしているシーンで埋められているため、見ていると話が飛びまくっているように思えるのだ。痛快娯楽作品を撮ろうと懸命なのはわかるが、予算が絶望的なまでに足りなかったのだろう。それとも編集の失敗かもしれない。なにせフィルムは高価なのだ。

     思うに、音声を消して、活弁をつけたら面白くなるのではないだろうか。演出といいカットといいそうしたほうが絶対に合っていると思うのだが。

     戦後日本映画の行く末を真面目に心配したくなるような作品。いや、物資難のおりにハリウッドとタメを張れる日本ならではのアクション映画を撮ろうとしたその意気込みは大いに共感するが、作品としてはツッコミを入れてギャグとして楽しむしかないような代物。ここから「月光仮面」「まぼろし探偵」「少年ジェット」につながっていくのだな、ということはわかるが、「これが月光仮面を経て66年後仮面ライダーゴーストになるのか」と考えると信じられなくなる。66年の歳月は長い。

     ネタとして一回見られてよかった、と思うが、同時に「一回でいいな……」と思えたのも事実。

     この手の、「頭の悪い映画」が大好きな人はすぐにブクオフへ行こう! レンタル落ちが108円で買えるぞ! たぶん。

     もう一度見ようかな……。
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    ~ Comment ~

    Re: miss.keyさん

    この映画はもっとすごいです。

    空中にロープを張ってそこを命綱なしで伝っていく怪傑ハヤブサを下からギャングが拳銃で狙うんですが、

    なぜか「怪傑ハヤブサ本人」でなくて「ハヤブサが伝っているロープ」を狙って撃ちます。(ウソではない)

    しかもロープに弾が当たります。(ウソではない)

    ぜひ一度見てもらいたい映画ではあります(^^;)

    月光仮面のおぢさんはー

     カブを盾にして僅かに三メートルの至近距離で銃撃戦を展開するあの発想の凄さ!!しかも弾がさっぱり当たらない!!!きっとあの頃の映画の中は一般常識とはかけ離れた自然法則がまかり通っていたに違いない。
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