東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ6位 深夜プラス1 ギャビン・ライアル

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     この本には憧れを持っていた。「東西ミステリーベスト100」に出会う前に、もうひとつミステリのガイドブックに出会っていたからである。わたしが知らなかったミステリのジャンル、すなわち『冒険小説』の世界を教えてくれた、内藤陳「読まずに死ねるか!」だ。

     そこにリストアップされていた小説の数々。そこでわたしはジャック・ヒギンズ、アリステア・マクリーン、デズモンド・バグリイ、船戸与一、志水辰夫、北方謙三といった作家の名前に触れた。それはなんと魅惑的な光を放っていたか。

     そしてその中でもひときわ明るく輝いていたのが、ギャビン・ライアルであり、内藤陳も新宿ゴールデン街に構えたバーに名前を取ったくらいの名作といわれていた「深夜プラス1」だったのである。

     銀行家とその美人秘書を目的地に送り届けるため、シトロエンを駆って、敵方のガンマンがうようよしている国境を突破するというシチュエーション。いま考えてもしびれる。しかも運転手は時代錯誤のモーゼル自動拳銃(拳銃なのだが、スイッチを切りかえればフルオートのサブマシンガンになる物騒な代物)を使う時代錯誤のもとエージェントであり、銀行家のボディガードは凄腕だが重度のアルコール中毒なのだ。

     これで面白くなかったらウソであろう。

     だが、中学生のガキには少しばかり早すぎたらしかった。面白く読むには読んだが、ちょっと肩すかし感があったのである。「なんだこんなものか」という気分だった。

     その面白さがわかってきたのは、それからしばらく経ち、大学を病気中退して将来がまったく見えず、自暴自棄になっていたときである。ふと入った本屋で、なんとなく買って、電車の中で読み始め、後はもう何も考えずに読みふけった。

     ミステリ界では、今では「冒険小説というよりむしろスリラーに分類するべきではないか」といわれているらしいが、わたしにとってこれは『冒険小説』だ。一級の冒険小説だ。

     この小説に魅せられた人間は多い。例えば、志水辰夫先生は『深夜ふたたび』という、現代日本で『深夜プラス1』をやろうという趣向の作品を書いているし、わたしも紅恵美シリーズの一つとして、現代日本を舞台にイギリスの令嬢を北海道から九州まで、竜崎巧の運転する防弾装備のシトロエンで連れて行く……という長編を書きかけて四百字詰めに十枚の地点で挫折した。運転免許くらいもっと経済的に自由だったころに取っておくんだった、と思ったものである。ぬくく。
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    ~ Comment ~

    Re: キングハナアルキさん

    同じ男の子として生まれたら、モーゼルは欲しくなりますよね。ホルスターつきで。

    今から考えれば旧式拳銃で重いから、マシンピストルを買うのならもっと最新型の軽くて反動のない奴を(←たいていの国で違法です(^^;))

    NoTitle

    深夜プラス1!!!
    昔、モデルグラフィックスで紹介されてて、面白そうなんで読みました
    ほとんど忘れたけどセリフがやたらかっこよかったなぁ
    本棚の奥を探せばまだもってたと思うから引張り出してみようかな
    アレを読むとモーゼルとチーフスペシャルのモデルガンが欲しくなるのが困り者でありますのです。

    Re: LandMさん

    そんなことないですよ。

    「解決警部補」であれほど予想外の展開でわれわれを爆笑させてくれたじゃないですか。

    あれは立派な「ミステリ」です!(^_^)

    NoTitle

    私はミステリーに関しては完全に読者ですからね。
    小説は書けてもどうしてもミステリーは書けない。。。
    読む分にはとても勉強になりますけどね。
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