自炊日記(ノンフィクション)
特別編・九州旅行記2015
まあそんなわけで、11月14日から16日にかけて、はるばる九州まで行ってまいりました。
主目的は、熊本県で行われる大学時代の友人の結婚式に、そのころのサークル仲間とともに新郎側友人として参列することだったが、わたしには裏の目的があった。そのため、他の友人たちとは別行動を取ることにした。
その裏の目的とは、「博多の屋台でとんこつラーメンをはじめとするご当地グルメを楽しむこと」であった。「クッ○ングパパ」を読んで以来二十数年、あこがれていた博多の屋台ととんこつラーメン。その夢の前では馬刺しもからしレンコンも、涙を飲んでブッ切るしかなかった。友人たちは前夜祭で、その熊本の新郎おすすめの店で馬刺しを堪能していたらしいが、二十年来の重みの前では、熊本空港ではなく福岡空港への道を選んだわたしを誰が責められようか。(現実には、最悪の展開で急に仕事が入った場合、遅めの便を取らざるを得ないから、その前提で飛行機を選ぶと、福岡空港行きしかなかった、というのもあるのだが)
11月14日
かくして飛行場にわたしは向かった。ほっとしたことに仕事は入らなかったので、そのぶん余裕をもって空港にたどり着けたが、しかし時間的余裕があったからといって、「出発時刻の三時間前」に空港のロビーにたどり着いたのはやりすぎだった。(当たり前である(^_^;))
最近の空港というやつが、初めての一人旅の人間でもわかるよう、あれほどわかりやすく作られているとは思わなかった。切符のチェックがバーコードをピッで終わるのだから(それも自宅のPCでプリントアウトした旅券で)、下手に近未来SFなど書けたものではない。
暇を持て余したわたしは旅のお供に持ってきた本を読み始めた。
飛行機の出発時刻が来るまでに、持ってきた四冊のうち「やぶにらみの時計」と「朱漆の壁に血がしたたる」の二冊を読み終えてしまったのは計算外だった。
手続きをして飛行機に乗ると、常磐線のグリーン車より狭い座席に座ることになった。でもわたしはちょっと興奮していた。なにしろ人生における初ジェット機である。
フライトは、思ったよりは酔わなかったし楽だった。忌々しい悪天候のせいで下がほとんど見えず、代わりに本を開いて、CAのかたに飲み物などを頼みながら、空の旅を楽しんだ。機内で一冊読了。ボワロー&ナルスジャック「悪魔のような女」
博多空港に到着すると、外は雨だった。この条件を考えると、もっとも賢い選択は、駅構内でラーメンを食べて(ガイドブックには、駅の地下街にある、うえやまとち先生おすすめの店が載っていたので、最終日に食べようと思っていたのを前倒ししたのだ)、そこからホテルに移動、荷物を置いてさらに屋台、というコースであろう。
この合理的判断により、駅地下でそのラーメン屋を探したが見つからない。ようやく見つけたときには足が棒のようになっていた。
うえやま先生のおすすめラーメン……。
残念ながらわたしの魂には響かなかった。まあいいや。屋台があるし。
外は雨だった(笑)。
ほうほうの体でホテルにたどり着いたときは、屋台を回ろうなどという考えは百万光年のかなたに吹き飛んでいた。
わたしはシャワーを浴びて、ホテルの寝間着を切ると、ベッドに潜り込んで寝てしまった。まあいいや、明日の夜もあることだし。
11月15日
ホテルの朝食を、なぜポテトサラダがないのだ、などと文句をいいつつがつがつ食らう。
プリキュアを見てから着替えをし、ネクタイなんぞをひさしぶりに締めて駅へ。外はきれいに晴れていた。くそう十二時間でいいから違っていたら、と血涙を流す。
九州新幹線(これも楽しみだった)に乗って式場へ向かう。
式は素晴しかった。新郎新婦がまあ幸せそうで。
当然酒食が出てくるわけだが、写真を撮るのがためらわれたので、わたしの言葉から察して欲しい。
「こ、こんなにフォアグラ食ってよかとですかっ!?」
二次会まで参加し、いやひさしぶりに痛飲。
とりあえず目に留まったラーメン屋で熊本ラーメンを堪能。
……響かない。
帰りの博多行きの新幹線車内で、ふと足元に違和感を覚える。まあいいか、と持ってきた文庫の四冊目「ねらわれた学園」を読む。中学生や高校生の課題図書にしたくなる恐ろしい本だった。手遅れになる前に読めてほんとに良かったと思う。
博多にたどり着き、晴れたことだしさあ屋台だ! と一歩を踏み出したとき、違和感の原因に気付く。
靴が壊れかけている!
屋台どころの話ではない。コンビニでボンドを買い、またもやほうほうの体でホテルへ。靴はホテルのエレベーターで力尽きた。
部屋で撮った写真がこれである。↓

ボンドの説明書を読み、動かなくなるまで45分、くっつくまで3時間、安心できるまで24時間という記述に心のなかの何かが折れる。
ふて寝。
11月16日
いつ靴が再び壊れるか考えると、怖くて福岡観光などできたものではない。ホテルで朝食を取ってから、おとなしく駅ビルへ。
ふとそばにあったモニタを見ると、プリキュアの劇場版がやっているそうである。即座に券売機に1800円ぶっ込み、屋上の映画館へ。
内容は満足そのものだったけど、「おれは九州まで来てなにをやってるんだろう」と自問。
熊本の駅ビルの本屋で買った「黄色い部屋の謎」新訳版を読みながら飛行機に乗って帰る。
ほんとおれはなにをやってるんだろう。
実存的不安(笑)。
主目的は、熊本県で行われる大学時代の友人の結婚式に、そのころのサークル仲間とともに新郎側友人として参列することだったが、わたしには裏の目的があった。そのため、他の友人たちとは別行動を取ることにした。
その裏の目的とは、「博多の屋台でとんこつラーメンをはじめとするご当地グルメを楽しむこと」であった。「クッ○ングパパ」を読んで以来二十数年、あこがれていた博多の屋台ととんこつラーメン。その夢の前では馬刺しもからしレンコンも、涙を飲んでブッ切るしかなかった。友人たちは前夜祭で、その熊本の新郎おすすめの店で馬刺しを堪能していたらしいが、二十年来の重みの前では、熊本空港ではなく福岡空港への道を選んだわたしを誰が責められようか。(現実には、最悪の展開で急に仕事が入った場合、遅めの便を取らざるを得ないから、その前提で飛行機を選ぶと、福岡空港行きしかなかった、というのもあるのだが)
11月14日
かくして飛行場にわたしは向かった。ほっとしたことに仕事は入らなかったので、そのぶん余裕をもって空港にたどり着けたが、しかし時間的余裕があったからといって、「出発時刻の三時間前」に空港のロビーにたどり着いたのはやりすぎだった。(当たり前である(^_^;))
最近の空港というやつが、初めての一人旅の人間でもわかるよう、あれほどわかりやすく作られているとは思わなかった。切符のチェックがバーコードをピッで終わるのだから(それも自宅のPCでプリントアウトした旅券で)、下手に近未来SFなど書けたものではない。
暇を持て余したわたしは旅のお供に持ってきた本を読み始めた。
飛行機の出発時刻が来るまでに、持ってきた四冊のうち「やぶにらみの時計」と「朱漆の壁に血がしたたる」の二冊を読み終えてしまったのは計算外だった。
手続きをして飛行機に乗ると、常磐線のグリーン車より狭い座席に座ることになった。でもわたしはちょっと興奮していた。なにしろ人生における初ジェット機である。
フライトは、思ったよりは酔わなかったし楽だった。忌々しい悪天候のせいで下がほとんど見えず、代わりに本を開いて、CAのかたに飲み物などを頼みながら、空の旅を楽しんだ。機内で一冊読了。ボワロー&ナルスジャック「悪魔のような女」
博多空港に到着すると、外は雨だった。この条件を考えると、もっとも賢い選択は、駅構内でラーメンを食べて(ガイドブックには、駅の地下街にある、うえやまとち先生おすすめの店が載っていたので、最終日に食べようと思っていたのを前倒ししたのだ)、そこからホテルに移動、荷物を置いてさらに屋台、というコースであろう。
この合理的判断により、駅地下でそのラーメン屋を探したが見つからない。ようやく見つけたときには足が棒のようになっていた。
うえやま先生のおすすめラーメン……。
残念ながらわたしの魂には響かなかった。まあいいや。屋台があるし。
外は雨だった(笑)。
ほうほうの体でホテルにたどり着いたときは、屋台を回ろうなどという考えは百万光年のかなたに吹き飛んでいた。
わたしはシャワーを浴びて、ホテルの寝間着を切ると、ベッドに潜り込んで寝てしまった。まあいいや、明日の夜もあることだし。
11月15日
ホテルの朝食を、なぜポテトサラダがないのだ、などと文句をいいつつがつがつ食らう。
プリキュアを見てから着替えをし、ネクタイなんぞをひさしぶりに締めて駅へ。外はきれいに晴れていた。くそう十二時間でいいから違っていたら、と血涙を流す。
九州新幹線(これも楽しみだった)に乗って式場へ向かう。
式は素晴しかった。新郎新婦がまあ幸せそうで。
当然酒食が出てくるわけだが、写真を撮るのがためらわれたので、わたしの言葉から察して欲しい。
「こ、こんなにフォアグラ食ってよかとですかっ!?」
二次会まで参加し、いやひさしぶりに痛飲。
とりあえず目に留まったラーメン屋で熊本ラーメンを堪能。
……響かない。
帰りの博多行きの新幹線車内で、ふと足元に違和感を覚える。まあいいか、と持ってきた文庫の四冊目「ねらわれた学園」を読む。中学生や高校生の課題図書にしたくなる恐ろしい本だった。手遅れになる前に読めてほんとに良かったと思う。
博多にたどり着き、晴れたことだしさあ屋台だ! と一歩を踏み出したとき、違和感の原因に気付く。
靴が壊れかけている!
屋台どころの話ではない。コンビニでボンドを買い、またもやほうほうの体でホテルへ。靴はホテルのエレベーターで力尽きた。
部屋で撮った写真がこれである。↓

ボンドの説明書を読み、動かなくなるまで45分、くっつくまで3時間、安心できるまで24時間という記述に心のなかの何かが折れる。
ふて寝。
11月16日
いつ靴が再び壊れるか考えると、怖くて福岡観光などできたものではない。ホテルで朝食を取ってから、おとなしく駅ビルへ。
ふとそばにあったモニタを見ると、プリキュアの劇場版がやっているそうである。即座に券売機に1800円ぶっ込み、屋上の映画館へ。
内容は満足そのものだったけど、「おれは九州まで来てなにをやってるんだろう」と自問。
熊本の駅ビルの本屋で買った「黄色い部屋の謎」新訳版を読みながら飛行機に乗って帰る。
ほんとおれはなにをやってるんだろう。
実存的不安(笑)。
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Re: えぐさん
ヒールのかかとならまだわかりますが、
「靴底が気づいたらベロン」
ですからねえ。
焦った以上に、
「これが式の後でよかった……」
という思いも強かったです。
式場で取れていたら、会場が爆笑の渦になってわたしが大恥をかいて新郎からにらまれていた可能性が(^^;)
「靴底が気づいたらベロン」
ですからねえ。
焦った以上に、
「これが式の後でよかった……」
という思いも強かったです。
式場で取れていたら、会場が爆笑の渦になってわたしが大恥をかいて新郎からにらまれていた可能性が(^^;)
Re: ROUGEさん
九州まではるばる行った最大の収穫は、
こってり系はこってり系でも、
「わたしは味噌派だった」
ということだったかもしれません(^^;)
次は味噌ラーメンの本場に(こりてない(^^;))
こってり系はこってり系でも、
「わたしは味噌派だった」
ということだったかもしれません(^^;)
次は味噌ラーメンの本場に(こりてない(^^;))
NoTitle
おつかれさまでした。
そんな時に限って靴が壊れるとは……;;
しかし、バンドの追っかけが趣味の職場の後輩によると、「福岡は日帰りで行く場所」だそうです! いつかまた、ご縁があるかもしれません。リベンジを楽しみに♪
そんな時に限って靴が壊れるとは……;;
しかし、バンドの追っかけが趣味の職場の後輩によると、「福岡は日帰りで行く場所」だそうです! いつかまた、ご縁があるかもしれません。リベンジを楽しみに♪
- #16657 椿
- URL
- 2015.12/01 21:59
- ▲EntryTop
NoTitle
落ち込んでいた私を思いっきり笑わせてくださって
ホントありがとございます。
ポール・ブリッツさんの焦った様子が目に浮かびました。
私もヒールのかかとが片方取れちゃったり
冬のべちゃべちゃ雪で長靴の底が割れてぬいで帰りたくなったことありましたよ(^^;)
でも、結婚式の楽しい思い出ですね!
ホントありがとございます。
ポール・ブリッツさんの焦った様子が目に浮かびました。
私もヒールのかかとが片方取れちゃったり
冬のべちゃべちゃ雪で長靴の底が割れてぬいで帰りたくなったことありましたよ(^^;)
でも、結婚式の楽しい思い出ですね!
- #16655 えぐ
- URL
- 2015.11/29 20:58
- ▲EntryTop
NoTitle
靴は残念だったけど結構楽しんでたのね。
ラーメンは好き嫌いの出る食べ物
特にとんこつはね。
私はあっさりがいいなぁ
ラーメンは好き嫌いの出る食べ物
特にとんこつはね。
私はあっさりがいいなぁ
Re: ECMさん
わたしが入ったシネコンで、プリキュアを見にホールに入ってきた観客の半分は子供でしたねえ。わたし入れて6人中3人(笑)。
子供らに、そもそもお前らなにやってるんだ。平日の午前10時やぞ、といいそうになってしまったところを見ると、わたしも旧人類でしかなさそうであります(^^;)
子供らに、そもそもお前らなにやってるんだ。平日の午前10時やぞ、といいそうになってしまったところを見ると、わたしも旧人類でしかなさそうであります(^^;)
NoTitle
プリキュアの映画を観ましたか。
ガルパンの劇場版を観るために、劇場へいったときにはロビーでさかんに宣伝してました。
そのときプリキュアを観る衝動にかられましたが、時間もないし子どもが多くてうるさそうなのでやめておきました。
ガルパンの劇場版を観るために、劇場へいったときにはロビーでさかんに宣伝してました。
そのときプリキュアを観る衝動にかられましたが、時間もないし子どもが多くてうるさそうなのでやめておきました。
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Re: 椿さん
羽田も成田も土浦から軽く2時間かかるしなあ(^^;)