東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎日更新)
海外ミステリ9位 僧正殺人事件 S・S・ヴァン・ダイン
この作品を読むのはこれで三回目だが、やっぱり傑作だとは思えない。というか、「凡作」という感じしか受けないのである。
犯人を知らないで読むと、その展開の遅さにイライラすることになり、犯人を知ってから読むとこれがまた名探偵ヴァンスがどうしようもないバカにしか見えて来ないという寸法で……「東西ミステリーベスト100」では「サスペンス」と書かれていたが、これがサスペンスなら「黄色い部屋の謎」のほうが遥かにサスペンスフルだ。同じヴァン・ダインでも「グリーン家」のほうが何倍もマシである。
未読だが、山田正紀先生が「僧正の積木歌」で、ヴァンスをけちょんけちょんにしたというのも、このあたりのもやもや感があったからではないだろうか。そんなことまで考えてしまう。
少なくとも、これが9位というのは過大評価もいいところだろう。
改訳の必要性があるのではないかと真剣に思うが、別な訳者で読んでもつまらなかったからなあ。
それにしてもあまりに回りくどい犯人である。
オールドファンには悪いが、西洋でヴァン・ダインが過去の作家になってしまったのもよくわかる作品。
同じ読むなら小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」のほうが遥かに面白い。あれくらい過剰でないと衒学とは呼べん。
ただ疲れた。
犯人を知らないで読むと、その展開の遅さにイライラすることになり、犯人を知ってから読むとこれがまた名探偵ヴァンスがどうしようもないバカにしか見えて来ないという寸法で……「東西ミステリーベスト100」では「サスペンス」と書かれていたが、これがサスペンスなら「黄色い部屋の謎」のほうが遥かにサスペンスフルだ。同じヴァン・ダインでも「グリーン家」のほうが何倍もマシである。
未読だが、山田正紀先生が「僧正の積木歌」で、ヴァンスをけちょんけちょんにしたというのも、このあたりのもやもや感があったからではないだろうか。そんなことまで考えてしまう。
少なくとも、これが9位というのは過大評価もいいところだろう。
改訳の必要性があるのではないかと真剣に思うが、別な訳者で読んでもつまらなかったからなあ。
それにしてもあまりに回りくどい犯人である。
オールドファンには悪いが、西洋でヴァン・ダインが過去の作家になってしまったのもよくわかる作品。
同じ読むなら小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」のほうが遥かに面白い。あれくらい過剰でないと衒学とは呼べん。
ただ疲れた。
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NoTitle
八つ墓村とおんなじで、関係者が死に過ぎですね。
最終的には二択だったように覚えています。
そこまで事件を阻止できなかったら、名探偵とは言えませんよねー
ところで、『月長石』を買ったままなんですが、どうしたらいいでしょう。
最終的には二択だったように覚えています。
そこまで事件を阻止できなかったら、名探偵とは言えませんよねー
ところで、『月長石』を買ったままなんですが、どうしたらいいでしょう。
- #16678 こみ
- URL
- 2015.12/08 20:50
- ▲EntryTop
Re: 面白半分さん
なんというかヴァンスもので残念なのは、そういったカッコよさをうまく使いこなせているとするには疑問符がつくことでしょうか。
もっともこれは、圧倒的なペダントリーをぶちまけてみせた小栗虫太郎や、哲学談議で煙に巻くことが非常にうまい笠井潔といった後々のミステリ作家を堪能できる現代の日本人だからこそ抱く感想かもしれませんが。
というか僧正は、「グリーン家」ほど読みやすくないし、「ケンネル」ほどユニークなシチュエーションでもない、というところで損していると思います。
もっともこれは、圧倒的なペダントリーをぶちまけてみせた小栗虫太郎や、哲学談議で煙に巻くことが非常にうまい笠井潔といった後々のミステリ作家を堪能できる現代の日本人だからこそ抱く感想かもしれませんが。
というか僧正は、「グリーン家」ほど読みやすくないし、「ケンネル」ほどユニークなシチュエーションでもない、というところで損していると思います。
NoTitle
真っ先に
”ヴァン・ダインは英米では忘れ去られた作家”っていうフレーズが思い浮かんでしまいます。
しかし
ヴァン・ダイン
ファイロ・ヴァンス
ジョン・F・X・マーカムって名前がかっこいい気がするのです
”ヴァン・ダインは英米では忘れ去られた作家”っていうフレーズが思い浮かんでしまいます。
しかし
ヴァン・ダイン
ファイロ・ヴァンス
ジョン・F・X・マーカムって名前がかっこいい気がするのです
- #16672 面白半分
- URL
- 2015.12/06 19:52
- ▲EntryTop
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Re: こみさん
大学在学中、近所の図書館に置いてあったのを読みましたが、「あっ、乱歩のあのネタの元ネタはこれか!」という思いの方が先で、内容をちっとも覚えていません(^^;)
ほんと、冒頭とエピローグしか覚えていない。
いい機会だから図書館に取り寄せてもらって再読してみたい作品のひとつですが、謎解きもすごく強引だったような覚えがあります。真相だけをポンと取り出されて吟味したら頭を抱えますね。
今読んだら気持ちも変わるかなあ。なんせ、当時はつまらんとしか思ってなかったクロフツの「樽」が意外と面白かったからなあ……。
51位だから評価は1年くらい待ってください(^^;)