映画の感想
「終着駅」見た
ブログDEロードショー参加。イタリアネオレアリズモの代表といってもいいデ・シーカ監督によるメロドラマだそうだ。恋愛映画はあまり得意なジャンルではないのだが、90分で終わるんだったらまあ見てみようか、である。「真昼の決闘」と同様、上映時間と映画内の時間がシンクロしている趣向らしい。これなら恋愛映画苦手の自分でもついていけるかもしれない。
見た。
面白かった。「感動して涙を流す」タイプの映画というよりは、見終わった後にコートの襟をちょいと立てて哀愁と無常を味わう、そんなタイプの映画である。
ベタベタなまでの不倫もの。ヒロインを演じるジェニファー・ジョーンズはわたしのストライクゾーンから完全に外れたところにいる顔をしているのだが、「外国まで来て夫と子供がいる身で浮気する女」の生活感と独善性、それでいて妙にモラリスティックな面を見事に演じている。
こんな女に惚れてしまったイタリア人青年をモンゴメリー・クリフト。こいつがまた情熱的、というより思い込みが激しいやつであった。
傍から見ていると、「くっついたところでどっちも不幸になることがわかり切っているカップルなんだからさっさと別れちまえ」なふたりなのだが、映画を見るにつれこれは「そうでもしなければ満たされないものを抱えたどうしようもない男と女の話」なのだということに気づき、映画の進行とともに「ふたりを応援してしまう」自分に気がつくという映画なのだ。
ネオレアリズモの映画らしく、画面からはしっかりと生活感が、いささか過剰なほどに流れてくる。
こういう「大人の苦み」がぎっしり詰まった映画である以上、別れる結末になろうと結ばれる結末になろうと、「哀愁」と「無常感」しか出てくるわけがないではないか。
そんな意味も含めて、いい映画である。濃密な90分だった。満足。
見た。
面白かった。「感動して涙を流す」タイプの映画というよりは、見終わった後にコートの襟をちょいと立てて哀愁と無常を味わう、そんなタイプの映画である。
ベタベタなまでの不倫もの。ヒロインを演じるジェニファー・ジョーンズはわたしのストライクゾーンから完全に外れたところにいる顔をしているのだが、「外国まで来て夫と子供がいる身で浮気する女」の生活感と独善性、それでいて妙にモラリスティックな面を見事に演じている。
こんな女に惚れてしまったイタリア人青年をモンゴメリー・クリフト。こいつがまた情熱的、というより思い込みが激しいやつであった。
傍から見ていると、「くっついたところでどっちも不幸になることがわかり切っているカップルなんだからさっさと別れちまえ」なふたりなのだが、映画を見るにつれこれは「そうでもしなければ満たされないものを抱えたどうしようもない男と女の話」なのだということに気づき、映画の進行とともに「ふたりを応援してしまう」自分に気がつくという映画なのだ。
ネオレアリズモの映画らしく、画面からはしっかりと生活感が、いささか過剰なほどに流れてくる。
こういう「大人の苦み」がぎっしり詰まった映画である以上、別れる結末になろうと結ばれる結末になろうと、「哀愁」と「無常感」しか出てくるわけがないではないか。
そんな意味も含めて、いい映画である。濃密な90分だった。満足。
スポンサーサイト
もくじ
風渡涼一退魔行

もくじ
はじめにお読みください

もくじ
ゲーマー!(長編小説・連載中)

もくじ
5 死霊術師の瞳(連載中)

もくじ
鋼鉄少女伝説

もくじ
ホームズ・パロディ

もくじ
ミステリ・パロディ

もくじ
昔話シリーズ(掌編)

もくじ
カミラ&ヒース緊急治療院

もくじ
未分類

もくじ
リンク先紹介

もくじ
いただきもの

もくじ
ささげもの

もくじ
その他いろいろ

もくじ
自炊日記(ノンフィクション)

もくじ
SF狂歌

もくじ
ウォーゲーム歴史秘話

もくじ
ノイズ(連作ショートショート)

もくじ
不快(壊れた文章)

もくじ
映画の感想

もくじ
旅路より(掌編シリーズ)

もくじ
エンペドクレスかく語りき

もくじ
家(

もくじ
家(長編ホラー小説・不定期連載)

もくじ
懇願

もくじ
私家版 悪魔の手帖

もくじ
紅恵美と語るおすすめの本

もくじ
TRPG奮戦記

もくじ
焼肉屋ジョニィ

もくじ
睡眠時無呼吸日記

もくじ
ご意見など

もくじ
おすすめ小説

もくじ
X氏の日常

もくじ
読書日記

~ Comment ~
NoTitle
ふっふっふ~~。
それが不倫なのさ!!
(´▽`*)
ってことですね。
確かに不倫っていうのはどこにいっても損なことの方が多い。
得することはあまりない。
だけど、結ばれないと満たされない。
倫理では説明できない、合理性では説明できない。
情動という愛がそこにあるってことですね。
それが不倫なのさ!!
(´▽`*)
ってことですね。
確かに不倫っていうのはどこにいっても損なことの方が多い。
得することはあまりない。
だけど、結ばれないと満たされない。
倫理では説明できない、合理性では説明できない。
情動という愛がそこにあるってことですね。
Re: 宵乃さん
なにせ10枚組のDVDセットを買ったので、見ておくうちに見ておかなければ、と。
いまのところハズレを引いたな、と思ったのがヴィスコンティの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」だけだったので、そのレベルの高さに驚き興奮しています(^^)
いいなあ映画って。
いまのところハズレを引いたな、と思ったのがヴィスコンティの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」だけだったので、そのレベルの高さに驚き興奮しています(^^)
いいなあ映画って。
Re: blackoutさん
この映画、主役のふたりがあまりにもどうしようもないので、自分の中の「ダメ性」がそんなふたりのダメダメさをわかってしまうというか、たぶんこれを日本語吹き替えでやられたらわたし最後まで見ていられなかったろうと思います。
男も女も身勝手で……。
男も女も身勝手で……。
NoTitle
>「そうでもしなければ満たされないものを抱えたどうしようもない男と女の話」
不倫ものは苦手ですけど、そういう視点で観れば案外楽しめそうかも。ポールさんも苦手な恋愛ものなのに楽しめたようですし。
苦手なタイプも魅せてしまうイタリア・ネオリアリズム…深いですね~。
4作品目もご参加ありがとうございました♪
不倫ものは苦手ですけど、そういう視点で観れば案外楽しめそうかも。ポールさんも苦手な恋愛ものなのに楽しめたようですし。
苦手なタイプも魅せてしまうイタリア・ネオリアリズム…深いですね~。
4作品目もご参加ありがとうございました♪
NoTitle
愛、特に性愛は麻薬みたいなもんですからねぇ(汗)
え!?
なんで??
でも、そこまで相手を想えるならおk
って感じですしw
え!?
なんで??
でも、そこまで相手を想えるならおk
って感じですしw
~ Trackback ~
卜ラックバックURL
⇒
⇒この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
Re: LandMさん
それを清算しようとすると修羅場になるよね、
という映画かなあ、皮肉な視点で見ると……。