映画の感想

    「自転車泥棒」再見

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     昨晩ブログDEロードショーの参加と兼ねて、小説をひねくりながらBGVとして再見。

     思っていたよりも様々なエピソードが描かれていたなあ、というのが正直な感想。アントニオが社会主義者の集会へ行ったり、闇市で自分の自転車を探していたら突然雨が降ってきたり。そのひとつひとつがダメージになってくるのがもうなんともつらい。ああいう努力やアクシデントの積み重ねがあるから、苛立ったアントニオが息子のブルーノを殴るシーンにおけるふたりの痛みが伝わってくるのだと思う。

     それと、『靴みがき』でも思ったが、子役の微妙な表情を捉えるのが、デ・シーカ監督うますぎる。ブルーノ、ものすごくけなげだったもんなあ。ラストシーンの、絶望と成長の両方を経験した子供の瞳なんて、そうそう出せるものではないのではないだろうか。

     見ていたらなんとなく興味がわいたので、この映画の主演のふたりがその後どうなったかをウィキペディアで調べてみた。日本語版には載ってなかったので英語版を参照した。イタリア語はさすがに読めないからである。

     アントニオを演じたランベルト・マジョラーニさんはこの映画に出演したことで、映画スターになることを決意したらしい。いくつかの映画に端役として出演したらしいが、「自転車泥棒」で受けた評価をもう一度受けることはないまま亡くなったらしい。

     ブルーノを演じたエンツォ・スタヨーラさんは、いくつかの映画に子役として出演したことが確認されているらしいが、結局は、数学の教師になったそうだ。

     面白くなって、相互リンクしている宵乃さんがその後を心配していたロッセリーニ監督の「ドイツ零年」で主役の少年を演じたエドムント・ムシュケさんはどうなったのか調べたら、英語版ウィキペディアにもイタリア語版ウィキペディアにも項目がなかった。英語版「ドイツ零年」の項目によると、エドムント・ムシュケさんはサーカスで曲芸をしていたところをロッセリーニ監督にスカウトされたらしい。どうりで動きにキレがあって芸達者だったわけである。その後どうなったかがわからないらしいが、またサーカスに戻ったと考えるのがいちばん妥当だろう。なぜなら「ドイツ零年」はドイツ人から大不評を食らったそうだからだ。あのチャーリー・チャップリンは「もっとも美しいイタリア映画」と「作品を見ないで」評したそうで、ロッセリーニ監督は「この映画にかけられた言葉でこれ以上ひどいものがあるだろうか」と大激怒していたらしい。

     まあ高校でも大学でも赤点だったわたしの英文読解力では、完全に誤読している可能性も大だが……。
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    ~ Comment ~

    Re: 白くじらさん

    ランベルト・マジョラーニさんについては、勘定してみたら16本の映画に助演として出演していたようですから、それなりに評価もされていたのかな、と思います。

    「自転車泥棒」のギャラが60万リラだったそうで、それで家具をそろえて家族を旅行に連れていくことができたのが運命の分かれ目だったらしいですね。

    時代を考えると、映画には出ていなくても、劇団や、テレビドラマなんかで渋い脇役をやっていたんじゃないかな……と信じたいであります。なんだかんだで73歳まで生きたそうですし。

    Re: take51さん

    レストランのシーンは見ていてほんとつらかったです。

    今の日本の感覚に直すと、商売に絶対必要なバイクを盗まれて、わずかばかりの手持ちの金でファミレスに入って「好きなもの食え!」っていってるみたいなものですから……。

    料理の味なんかわかるわけがありません。

    胸にぐさぐさ刺さるシーンでした。

    主役と子役の表情が、まさにリアリズムですね……。

    こちらこそ趣味につきあわせてしまってちょっと後ろめたいです(^^;) 

    こんにちは。

    アントニオもブルーノも表情豊かで、とても引き込まれましたね。
    その役者さんたちのその後という切り口も面白いです。(^^)

    やっぱり2人とも、このリアルな世界を表現するためにはピッタリでしたが…でしたか。(>_<)
    これもまたリアルで無慈悲な世界なのかもしれませんねぇ。

    トラックバックありがとうございました。
    何故かトラックバックできないので、URLに入れておきました。
    ひょっとして同じ記事から2ヵ所は駄目なのかな?(?o?)ハテナ

    NoTitle

    こんばんは!

    >闇市で自分の自転車を探していたら突然雨が降ってきたり。そのひとつひとつがダメージになってくるのがもうなんともつらい。ああいう努力やアクシデントの積み重ねがあるから、苛立ったアントニオが息子のブルーノを殴るシーンにおけるふたりの痛みが伝わってくるのだと思う。

    深いですね!確かに色んな出来事が起きて、
    じわじわとダメージとして蓄積されたんでしょうね・・
    思わず手が出ちゃいましたもんね(汗)

    レストランの食事もそれらの反動のヤケ喰いですよね(^▽^;)

    >ラストシーンの、絶望と成長の両方を経験した子供の瞳なんて、そうそう出せるものではないのではないだろうか

    本当に何とも言い難い表情でした。
    凄い役者さんだ、と思ったら一般の方だったんですね(汗)
    監督さんの力は凄いと思わされました!

    企画でなければ絶対に見てない映画でしたので・・
    リクエスト、ありがとうございました!!(^.^)

    Re: 宵乃さん

    戦前の映画人であったチャップリンには、ネオレアリズモの徹底したリアリティとそれに付随するストーリーとしての破綻が気に入らなかったのかもしれません。

    もっとも、わたしが誤読している可能性も大ですが(^_^;)

    NoTitle

    最後の少年の眼差しは、本当に印象的ですよね。素人だと知った時は驚いたと同時に納得でした。
    デ・シーカ監督の腕もあるし!
    ふたりのその後については初めて知りましたよ。この映画によって人生変わったんでしょうね。
    「ドイツ零年」の少年は謎のままみたいですが(汗)

    >あのチャーリー・チャップリンは「もっとも美しいイタリア映画」と「作品を見ないで」評したそうで…

    あはは…、それが本当なら監督が怒るのも当然ですね。仲が悪いんだろうか?
    今回もご参加ありがとうございました。
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