映画の感想

    「ベリッシマ」見る

     ←limeさんのイラストからのショートショート! →海外ミステリ17位 死の接吻 アイラ・レヴィン
     正直なところ、ヴィスコンティ監督は、期待していた「郵便配達は二度ベルを鳴らす」がイマイチだったので、この映画についてはまったく期待していなかった。そのため、後回し後回しにしていたが、ブログDEロードショーの期間も今日を入れてあと四日になってしまった。これはいま見なくては一生見ないな、と判断、コタツに入ってウーロン茶をなめながらDVDをセット。

     感想。

     うん、これに比べたら「郵便配達は二度ベルを鳴らす」はただの習作だ。そう思うくらい、この「ベリッシマ」はよかった。この冷笑的で冷酷非情(笑)なわたしが、不覚にも涙ぐんでしまった。たしかにこれは名作だ。

     子供を映画の子役スターにしようとする母親が……という出だしを書いただけでストーリーとオチまでの展開が想像つく、まあそういう話なのだが、演出とカメラワーク、それに主役の、母親を演じるアンナ・マニャーニの強烈なまでの熱演により、画面から目を離せなくなってしまった。

     とにかく、中盤を通り越して後半にたどり着くまで、アンナ・マニャーニがしゃべるしゃべる。ものすごくパワフルなイタリア女。よくもまあ次から次へとぽんぽん言葉が出てくるものだ、と感心してしまうくらいだ。そしてこいつが、まあイヤになるくらいの、娘をスターにすることしか考えていないバカ母ぶりをさらけ出しているのである。お前子供を育てるのには向いてないよ、と突っ込みたくなるところが多々なのだ。笑えるシーンもいくつかあるし、観客サービスのつもりなのか時折見せる着替えのシーンでは「アンナ・マニャーニって着やせするタイプだったのか……」と思えるような豊満な肉体をチラ見させてくれる。

     しかしこれが、終盤に入り、これまでのバカ女ぶりはすべて脚本と演出の陰謀だったのか、とうなってしまう反転を見せるのだ。アンナ・マニャーニの演技はここからが真骨頂を見せる。タイトルの「ベリッシマ」というイタリア語が、二重三重の意味を持って迫ってくるのだ。

     繰り返すが、不覚にもわたしは涙ぐんでしまった。「自転車泥棒」を見ようとも、「靴みがき」を見ようとも、「ウンベルトD」を見ようとも「ドイツ零年」を見ようとも思索的にはなったが涙ぐむことはなかったわたしが涙ぐんでしまった。

     もしかしたらこういうベタベタなのにわたしは弱いのかもしれない。ルキノ・ヴィスコンティ、「山猫」とか図書館のDVDにあるから見てみようかな。

     いい映画だった。これだけいい映画を見せてもらったにもかかわらず、「イタリア映画3大巨匠名作集」10枚組DVDセットが新品で1886円、というのはどうかしていると思う。

     総括として、いちばん涙ぐんだのがこの「ベリッシマ」だとしたら、いちばん衝撃的だったのは「靴みがき」だな。「靴みがき」にはバッドエンド賞もあげたい(なんだそれは)。総合的な話の面白さでは「無防備都市」がいちばんバランスが取れていると思う。

     しかし、アマゾンのレビューでも誰か書いていたが、10枚中9枚までがバッドエンドだというこのセット、連続で見るとけっこうダメージがでかいので、時おりちょこちょこ見る、というのが正解かもしれない。

     面白かった。企画立ち上げてよかった。自分の趣味に人を巻き込むな、といわれたら返す言葉もないが……。
    関連記事
    スポンサーサイト



    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    【limeさんのイラストからのショートショート!】へ  【海外ミステリ17位 死の接吻 アイラ・レヴィン】へ

    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    娘を演じるこの子役がまたかわいいのよ。

    ほんとイタリア人、子役の使い方がうまいのであります。

    そんな中でも容赦ないなあ、と思うのは、髪を切れ、といわれて娘の長髪をばっさりやってしまう床屋の小僧ですなあ。うむむ。

    NoTitle

    ほほう。ポールさんが涙ぐむとは・・・!!!
    それだけ秀作だったということなんでしょうね。
    ちょっと見る価値がありそうな。。。
    ベタなストーリーは演技とカメラワークでどうにかできますからね。
    そういう努力はいいですよね。

    Re: 宵乃さん

    ぽーる・ぶりっつ は としょかんから いきる を かりてきた!

    ぽーる・ぶりっつ は おびえている!

    さいせい が できない!

    ふとん の こうげき!

    ぽーる・ぶりっつ は ねむってしまった!

    とほほ。

    NoTitle

    いやいや、あれはあくまで安らぐ程度のものだから、面白くて夢中になれたのは、作品が良くて、ポールさんの好みに合っていたということだと思いますよ。
    心がとても疲れてたら、きっと何かを楽しんだり夢中になることも難しいんじゃないかな?

    私が言ったのは、「落ち込んだ時に明るい作品を見たりして、さらに落ち込んでしまう理由」を聞きかじっただけなので、あんまり気にしないで下さいね~。

    Re: 宵乃さん

    「ベリッシマ」いうのは「もっとも美しい女性」いう意味だそうです。

    アンナ・マニャーニさんの演技よかったですよ。さすがスターですな。

    いやー、今回は楽しかったです。こういう暗くて重い映画がムチャクチャ面白かったというのは、やっぱりわたし疲れて病んでる……のかなあ(汗)

    NoTitle

    この作品は観たはずなんですが、もう記憶のかなたで…。でも、ポールさんの記事を読んでいたら再見したくなってきたかも。「ベリッシマ」の意味も知りたいし。
    イタリアのパワフルなお母さんっていいですよね~。

    今回はリクエストとたくさんのご参加、本当にありがとうございます♪
    この企画がなければ観なかっただろう作品も観られましたし、イタリア・ネオリアリズムについてもじっくり考えることができました。それもぜんぶポールさんのおかげです。

    ところで、来月は恒例の「真冬のファンタジー企画」がはじまります。
    期間は2週間後の2月12日(金)からですので、よかったら観たい作品を探してみて下さい。
    では、これからも映画をみんなで一緒に楽しみましょうね~。
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    一緒にイタリア・ネオリアリズム作品を観ませんか?

    <みなさんの記事>クリスタルの断章 戦火のかなた/「ドイツ零年」見た/「無防備都市」再見/終着駅/靴みがき/ウンベルトD/「自転車泥棒」再見/神の道化師、フランチェスコ/ベリッシマ MOVIE-DIC 自転車泥棒(ステキなチケット画像あり)/無防備都市 newしずくの水瓶 「道」/自転車泥棒/ 『無防備都市』 セピア色の映画手帳 「無防備都市」 鬚禿観察日記ヒゲハゲカンサツニッキ 映...
    • 【limeさんのイラストからのショートショート!】へ
    • 【海外ミステリ17位 死の接吻 アイラ・レヴィン】へ