映画の感想

    「風雲児信長」見た

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     名匠といわれるマキノ正博監督の1940年度作品。ブックオフで特売のワゴンに並んでいたDVDを買ったうちの一本。画像も音声も最悪だが、まあ、見られるだけいいや。

     というわけで見たのだが、うむ。内田吐夢監督が「大菩薩峠」で主役を片岡千恵蔵にしたのは失敗だった。主役にするなら、この1940年の片岡千恵蔵を据えるべきだったのだ。そう思えるくらい、この映画での片岡千恵蔵は若くてしかも威厳があってカッコいい。さらにどこかニヒリスティックなものも感じるのだ。まさか尾張のうつけといわれていたころの若き織田信長をやらせてあれほどはまるとは思わなかった。

     音声については、戦前の作品ということもあって最悪で、黒澤映画以上になにをいっているのか聞き取りづらかったのだが、まあ画面を見ればだいたいのことはわかるから有名人の史劇は得だ(笑)。濃姫との縁談から桶狭間直後までやっているのだが、なんということか、合戦のシーンがまったくない。GHQに切られたんだろうか。それにしちゃあつながりが自然なのだが。調べてみたら初出時に比べて14分もカットされていたそうだ。自粛したな東映。

     実戦のシーンがないということで、弟たちを謀略で破って尾張を統一するところもなければ桶狭間で義元の首級を上げるシーンもない。そのため信長がジュブナイルの登場人物みたいに見える。竹千代といわれていた若き徳川家康を親兄弟同様にめんどうを見、桶狭間の合戦の後は、人質にしていたはずの竹千代少年を傷ひとつつけずに三河へ帰しているのだ。上杉謙信をしのぐ、戦国武将とは思えぬ大人物ぶりである(笑)。(史実ではこのとき松平元康(家康)は今川家の武将として今川義元の上洛に参加している。義元が討たれてからは、壊乱する今川家の諸隊の中で、部隊の統制を保ったまま整然と退却した。余談でした)

     信長に振り回されて切腹の羽目に陥る「爺」平手政秀を志村喬が好演。ほんとなんでもやるなこの人。斉藤道三役の高木永二も、貫禄と悪辣さとそれでいながらユーモアを持った演技が気にいったのだが、ウィキペディアの記録を見て悲しくなった。どうやって死んだのかもわからないらしい。生きている可能性もあるが、だとしたら現在120歳だ。出ている映画もほとんど現存しておらず、ほんと戦争ってやつは。

     織田信長の話が面白くなるのはここからだろう、というところで終わっているので、ちょっと肩すかしではあったが、無責任に時代劇を楽しむにはいい映画である。落ち込んだとき見るか。辛気臭さは皆無だし。
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    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    織田信長で明朗痛快かつ天皇絶対イデオロギーに反しない時代劇をやろうとすると、あそこで切っておくしかなかったんだろうな、と、今になって思います。

    あそこ以降の信長はほんと「中世の破壊者」ですからねえ……(^_^;)

    NoTitle

    また珍しい時間軸を取り上げた作品ですね。
    織田信長と言えば、桶狭間や美濃攻めなど戦いを取り上げる部分がたくさんありますけど。外交や人物像を描いた・・・という話になるのかな。

    Re: miss.keyさん

    さすがに笑点の黄色い着物のかたのモノマネほど聞き取りづらくはなかったです。

    あの映画くらいでしょうなあ、「天皇の忠臣」を自称し、「天子さまの都での御窮状」に心を傷め、「天子さまのために平和な世界を作るのだ」と徳川家康に説教する信長が見られる映画って。(^_^;)

    ブルッブップップップー

     この背中の桜ふブップップップー。ブルップップップー。ブルップップップー。ブルップップップー。

     何だか判らん?ちえぞーさんの台詞ですよ、セリフ。いやもう、あの台詞回しは個性の塊。後にも先にも彼だけです。
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