ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1977年(3)

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     この経験は、修也にとって、「テレビゲームというものはものすごく高価な、手の届かないほど高価なものである」ということを強く印象づけた。

     また、「大人にならないと買えるようなものではない」ことも強く。

     だけれども、いつか、いつか、いつか、いつか……。



     まもなく幼稚園に上がった修也は、自分が集団でやる「お遊戯」も「外遊び」も極端に不得意だということを知った。それはそれでかまわなかった。なぜ、そんなことを無理してしなくてはならないのか。笑われたりしかられたりしているうちに、修也は「集団生活」というものを、いつしか嫌悪するようになっていった。

     体力をつけなければならない、と両親は考えたのであろう。修也は、母親と、バレーボール程度の大きさのボールを使い、「ボール遊び」をすることになった。

     修也にしてみれば、いったいこれのどこが遊びで、どうやって楽しんだらいいのかわからない、というのが正直な意見だった。単にボールを投げて取るだけなのだ。わずか三十分の時間が無限の地獄かと思えた。

     もしその時の修也が現代の言葉を話せたら、ひとこと、「クソゲー」といっていただろう。

     あまりにもひとりでいすぎたせいか、修也は「友達」を作ることになった。両親が根をまわしていてのことだった。Nというその友人の家へ初めて行った修也は、「それ」を見て驚愕した。

     すごろくかと思ったら、ゴールが見当たらない。しかも、「お金」までついている。コマもかっこいい。そのうえ、サイコロの変わりにルーレットを回すのである。それが「億万長者ゲーム」、子供用とはいえ最初に触れた本格的なボードゲームだった。

     誘われて遊んではみたが、修也の思考能力では、ルーレットを回してコマを動かし、お金が増えたり減ったりすることしかわからなかった。しかも、どうすれば勝ちになるのかさえ理解不能だった。

     「億万長者ゲーム」は、モノポリーやそれの日本向け翻案である「バンカース」から派生したゲームである。勝利条件は、土地にビルを建てて収益を増やし、一定額の莫大な財産を貯めるか、ひとつの主要都市に三つのビルを建てるかだ。すでにビルの建っている土地に入ったら、ビルの所有者に地代を払わなければならない。株や乗っ取り、産業スパイなどのルールもあり、ゲームの開始時や破産状態に陥ったときは、資本金を貯めるためにそれ専用のトラックを回らねばならない。四歳児が遊ぶにはかなり複雑だった。

     だがそれは楽しかった。修也が考えたこともないくらい楽しかった。これほど楽しいものがあっていいのだろうか、修也はそんなことまで考えた。

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    ~ Comment ~

    Re: フラメントさん

    ボードゲームは単価が安かったですからね。あのころの廉価のゲームを買っておくんだったなあ、といまだに悔やんでいます。「マカロニほうれん荘」や「ガキ刑事」のゲームなんて、どういうものだったか知りたくてたまりません(^^)

    ボードゲームははやりましたね

    何処の友達の家にもあったりして^^

    Re: 矢端想さん

    けっこういるんですね「よけるの大好き」な人……(^_^;)

    Re: 矢端想さん

    人生ゲームは初プレイの印象が最悪で。わけもわからんうちに金ががんがん減り続け借金まみれになり人生最大の賭けも失敗して貧乏農場行きという(^_^;)

    その点、勝っても負けても手元にうなるような財産の残る億万長者ゲームのほうが好きでした。負けても鷹揚になれるゲーム(笑)。

    Re: LandMさん

    このゲームを開発したスタッフは、なんとか「モノポリー」を楽しく遊べるファミリーゲームにしようとしたんでしょうね。

    「モノポリー」のままだと子供はケンカになりかねん(^_^;)

    NoTitle

    あっ、ドッジボール!オレも一緒一緒!同志よ!

    NoTitle

    家にあったのは「億万長者ゲーム」でしたが、幼い僕には難しくてあまり面白くなかった。今でもお金の計算とかマネーゲームとか苦手なので、結局三つ子の魂な性格なのでしょう。友達の家にあった「人生ゲーム」の方がすごろくみたいにわかりやすくて面白くてうらやましかった。今の家には「きらりんレボリューション」の人生ゲームがあります。アメリカでやったときにはinsuranceという単語を初めて覚えました。
    …さて、クルマに乗っている二代目のピンクのやつをもうすぐ抜きます。(というか青い方を抜かれる)

    NoTitle

    億万長者ゲームは確かに核心的でしたね。
    ボードゲームとしての到達点の一つではありますね。
    お金を貯めるゲーム。
    新しい着眼点でしたもんね。
    懐かしい。。。

    Re: ダメ子さん

    ドッジボールはボールをよけるのが大好きでした。

    キャッチ? しません。怖いので。

    だから外野に出るとやることがなにもなくなって。

    そういう性格なのです。(^_^;)

    Re: 椿さん

    あのゲーム、ひさしぶりにやりたくなって捜したら絶版になってたようで。

    「人生ゲーム」を毎年毎年更新するよりはよほど面白いんじゃないかと思うのですが、やっぱりあっちのほうが売れるんですかねえ……。

    Re: 黄輪さん

    あのゲームのルールがなんであるかを理解するには小学三年生になるのを待たねばなりませんでした(^_^;)

    普通はこんな初プレイしたら「つまらん!」となるところでしょうけど……(^_^;)

    NoTitle

    ボール遊び…ドッヂボールとかすごく嫌でした
    一人でボールを的に当てる遊びは好きでしたが…

    NoTitle

    億万長者ゲームは楽しかったですね。四歳であれに興味を示したとすればかなりの素質ですが(笑)
    自分の妹や子供たちに教えた経験からすると、まっとうにボードゲームで遊べるようになるのは小学校三年生くらいから、という印象です。
    モノポリーまたやりたいな……。

    NoTitle

    億万長者ゲームとかモノポリーとか、そう言うタイプのテーブルゲームの楽しさ、自分も良く分かります。
    ものすごく高額の店を作って、そこに他プレイヤーが停まってしまった時の愉悦と言ったら……w
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