ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1979年(3)

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     「機動戦士ガンダム」の内容は修也の想像をはるかに超えていた。こんなにわけがわからなくて理不尽なロボットものがあるだろうか、というのが偽らざる思いだった。無理もなかった。ガンダムブームが起こるのは本放送からさらに後のことであったし、ストーリーや登場人物たちの葛藤は、小学一年生にはあまりに難解すぎるものであった。

     「ザ☆ウルトラマン」も修也にとっては不満だった。何しろアニメである。円谷プロが職人芸と狂気すれすれのこだわりを見せて作り出したあの迫力を、アニメで再現することは難しい。ものが違うのだから不可能なのだが、修也にとっては「これではない」という思いの方が強かった。

     それよりも修也の心をとらえたのは、「ドラえもん」だった。毎日の午後六時五十分は、修也にとって神聖なものとなっていた。「明日もドラえもんがある!」修也はそれだけでうれしかった。

     アニメの「ドラえもん」が面白かったら、当然、漫画も欲しくなる。修也にとって、それはコミックスだった。ほかにどこで「ドラえもん」を読むというのか。

     しかし、小学校最初の夏休みに、修也は無知を突きつけられることになる。

     コロコロコミック!

     親戚の家で最初にそれを見せられたとき、修也は混乱した。このものすごく分厚い本はなんなのだろう、と。自分が読んではいけないのではないだろうか。幼稚園のころに耳鼻科で読んだ「サンデー」とか「チャンピオン」とかは難しくてわからない話ばっかりだったし。

     だが、表紙に大きく描かれたドラえもんの絵の誘惑には勝てなかった。修也はページを開いた。

     なんだこれは。

     修也は「ドラえもん」「オバケのQ太郎」「パーマン」「ミラ・クル・1」といった藤子漫画の傑作群の洗礼を受け、頭がしびれるようだった。

     それだけではない。「金メダル刑事」「ゴリポン君」「ウルトラ兄弟物語」……次から次へと繰り出されるパンチに、修也は眼が回った。

     そして、その中でも特に修也の目を引き付けて離さない、すさまじい作品があった。

     すがやみつる「ゲームセンターあらし」!

     修也は腰が抜けるようだった。

     そこで堂々と行なわれているのは、修也がやりたくてもできなかったインベーダーゲームであり、出てくる人物は、皆それぞれが、驚くほどダイナミックにゲームを遊んでいたのである。

     なにも知らない修也の精神には、あらしの繰り出す必殺技「ムーンサルト」は劇薬にすぎた。

     ゲームってこんなに面白いのか!

     修也には息を呑むことしかできなかった。
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    ~ Comment ~

    Re: フラメントさん

    ガンダムやエヴァやまどマギは、「ジャストのタイミング」で出会ってないといかんタイプの作品だと思うであります。ガンダムはわたしが幼すぎてぐっとこず、エヴァはわたしがヒネクレすぎててぐっとこず、まどマギはわたしが疲れすぎていてぐっときませんでした。

    やっぱりタイミングだよなあ……。

    ガンダムの人気はおおげさかと当時は思ってました

    高校生の頃だったせいでしょうか

    後のシリーズもよく見ていましたが

    SFずきとしては まあまあかと

    エヴァンゲリオンよりかは ましかな??

    Re: LandMさん

    コロコロは昭和の小学生の通過儀礼ですよ。あれには小学生を夢中にさせるものが高純度で詰まっています。

    今はどうなのかなあ。

    NoTitle

    コロコロとドラえもんは子供の定番でしたね。
    私も通った道です。私達ぐらいの世代はほとんどはまったのは覚えています。今はもう漫画も持ってないですけど。。。
    思い出には残っています。
    (^○^)

    Re: キングハナアルキさん

    あの風船はわたしも強く印象に残っています。

    しかしそれ以上にこたえたのが、純粋に「戦時」であるとはどういうことかをリアルに追求したあの世界観で、「平時」ってもんがどこにもなかったのが、それまでの「平時 → アクションシーン → 平時」というロボットアニメの流れに慣れた人間には理不尽の塊と映ったのであります。ちょっと小学1年生にはつらいアニメでありました(^^;)

    関東ではドラえもんは月~金 18:50~19:00放映でしたので、「サイボーグ009」とは重なっていなかったのであります(^^) あれも難しい話だったなあ。

    コロコロは修也くんは小学三年生まで読んでいたという設定であります。まあ作者であるわたしがそこらへんでコロコロからガンプラに転んでしまったからですが、根っからのゲーマーである修也くんはどうして転んだかというと……それは後でのお楽しみ(^^)

    NoTitle

    小学生の頃ガンダムを最初に見た時、それは衝撃でした。
    スペース・コロニーから抜ける空気の恐怖!ホワイトベースにから抜ける空気を塞ぐ風船!
    それは強烈なセンス・オブ・ワンダーとして私の心に刻みつけられました

    ザ☆ウルトラマンは特撮より無理がない気がして結構好きでした

    ドラえもんはコロコロコミックで好きだったけど私は裏で放送していたサイボーグ009に心を奪われていました

    コロコロコミック!
    中学生になるまで毎月買ってました
    私もゲームセンターあらしに心を奪われたでありますのです
    宙返りしながらレバー操作しても得点高くなるわけ無いだろってツッコミ入れつつも、あのバカバカしくもダイナミックな必殺技に惹きこまれてました
    ゲームセンターあらしに出てくるゲームは貧乏小学生の私にはほとんど遊ぶことはできなかったので憧れでした。

    Re: 椿さん

    あらしとガンダム抜きにゲームは語れません(`・ω・´)

    わたしの場合そこに「ゴジラ」が関わってくるのですがそれは後の話(^_^)

    Re: blackoutさん

    いちおう、ゲームに絡んでこない情報はわざとこの小説から外してますが、作者であるわたし自身もそりゃあもう幼少期から妙な小説を父の本棚から引っ張り出しては妄想に……(笑)

    NoTitle

    こんにちは。
    「あらし」に出会ってしまいましたか! これは致命的いえ、運命的な出会い!(^O^)

    ガンダム、小1には難しいですよね……私は再放送を中2で見てハマりました。再放送で人気でたの分かる気がします。
    1週おきの放送だと前の内容を忘れて分からなくなっちゃうんですよ……Zが完全にそうでしたもん(^-^; 毎日見てれば分かるストーリーラインも、1週ごとの放送だと分からないですよ……。

    ドラえもんやハットリくん、パーマンの帯放送は楽しかったですね。
    いい時間を過ごさせてもらいました。懐かしいな~。

    NoTitle

    とはいえ、幼少期に大人向けの難解なものに触れてみるのも大いにアリだと思いますです

    そこで多少なりとも自分を知ることができると思うので

    投げ出すのも全然いいと思いますし
    わけがわからないが、惹かれるものを感じるのでも全然いいと思いますし

    そういう自分は、江戸川乱歩の大人向けの小説たちを、幼少期にうっかり読んでしまったんですが、わけがわからないが惹かれるものを感じてしまったヤツですw
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