ゲーマー!(長編小説・連載中)
1979年(4)
翌月の号も、翌月の号も待ち遠しかった。次はどんなゲームで、どんな技を見せてくれるのか。
そして自分もそのようにゲームができるようになるのか。できるはずだ、というのが修也の結論だった。あのようには無理でも、それと近いことは本当にできるに違いない。そう思わせるだけの説得力が、「ゲームセンターあらし」にはあったのだ。
同時に、そのころには、テレビゲームは修也の手にも届くようになっていた。ゲームセンターでのゲームはできなくても、誰でもゲームができる場所があったのだ。
おもちゃ売り場である。
当時の任天堂が力を入れていた家庭用テレビゲーム機、「ブロック崩し」のデモプレイが、あちこちのデパートのおもちゃ売り場で行なわれていたのだ。デモプレイなのだから、当然、タダである。
両親に文句をいわれるいわれはなかった。修也は同学年の子どもたちに交じって堂々と遊ぶことができた。
色鮮やかなカラーのブロックと、滑らかに動くボールとバーは、たしかに修也を魅了した。だが、完全に心をつかむまでには至らなかった。それはその場にいた子供のほとんども同じことだったろう。彼らが遊びたいのは、なんといってもインベーダーゲームだったのだから。
インベーダーゲームも、修也たち小学生の手に届くところまで来ていた。
比較的安価で高性能なLSIの登場が、その起爆剤だった。テレビ画面に映し出すのは無理でも、発光ダイオードや蛍光管で、インベーダーゲームらしきものを再現するのは、技術的にも完全に不可能ではなかったし、おもちゃのメーカーがこの目の前にあるドル箱を見逃すわけもなかった。
クリスマス。
修也は何度となく、「インベーダーゲームがほしい」と願い、口に出し、デパートの広告チラシを指さしたりしていた。
修也の頭にあったのは、バンダイから発売された、「ミサイルベーダー」だった。青いボディに、洗練されたインベーダーが四列縦隊になって襲ってくる、そのようなイメージの広告が、修也を引き付けて離さなかった。また、これはあの「ゲームセンターあらし」でも、あらしを倒すためだけに作られた、SF映画さながらのゲームをする順番を決めるために、手持ちのそれを使って勝負するというシーンに出てきたことから、修也のあこがれの的になっていた。
小学一年生の子供の頭では、サンタクロースはいるともいないともいえない概念的なものであった。だが、少なくとも、「いること」にしておいたほうが万事において便利であることもまた承知していた。小学一年生男児ならではの小狡さである。
そして自分もそのようにゲームができるようになるのか。できるはずだ、というのが修也の結論だった。あのようには無理でも、それと近いことは本当にできるに違いない。そう思わせるだけの説得力が、「ゲームセンターあらし」にはあったのだ。
同時に、そのころには、テレビゲームは修也の手にも届くようになっていた。ゲームセンターでのゲームはできなくても、誰でもゲームができる場所があったのだ。
おもちゃ売り場である。
当時の任天堂が力を入れていた家庭用テレビゲーム機、「ブロック崩し」のデモプレイが、あちこちのデパートのおもちゃ売り場で行なわれていたのだ。デモプレイなのだから、当然、タダである。
両親に文句をいわれるいわれはなかった。修也は同学年の子どもたちに交じって堂々と遊ぶことができた。
色鮮やかなカラーのブロックと、滑らかに動くボールとバーは、たしかに修也を魅了した。だが、完全に心をつかむまでには至らなかった。それはその場にいた子供のほとんども同じことだったろう。彼らが遊びたいのは、なんといってもインベーダーゲームだったのだから。
インベーダーゲームも、修也たち小学生の手に届くところまで来ていた。
比較的安価で高性能なLSIの登場が、その起爆剤だった。テレビ画面に映し出すのは無理でも、発光ダイオードや蛍光管で、インベーダーゲームらしきものを再現するのは、技術的にも完全に不可能ではなかったし、おもちゃのメーカーがこの目の前にあるドル箱を見逃すわけもなかった。
クリスマス。
修也は何度となく、「インベーダーゲームがほしい」と願い、口に出し、デパートの広告チラシを指さしたりしていた。
修也の頭にあったのは、バンダイから発売された、「ミサイルベーダー」だった。青いボディに、洗練されたインベーダーが四列縦隊になって襲ってくる、そのようなイメージの広告が、修也を引き付けて離さなかった。また、これはあの「ゲームセンターあらし」でも、あらしを倒すためだけに作られた、SF映画さながらのゲームをする順番を決めるために、手持ちのそれを使って勝負するというシーンに出てきたことから、修也のあこがれの的になっていた。
小学一年生の子供の頭では、サンタクロースはいるともいないともいえない概念的なものであった。だが、少なくとも、「いること」にしておいたほうが万事において便利であることもまた承知していた。小学一年生男児ならではの小狡さである。
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就職してからは 一時ゲームから離れまして
パチンコばかりww
都落ちしてからが ボクのゲーム人生の始まりですかね
今は疎遠の同級生に 誘われてボードのシミュレーションを始めたのが最初
あとは 大戦略ができる メガドライブを買って
スーファミを買って プレステを買ってww
都落ちしてからが ボクのゲーム人生の始まりですかね
今は疎遠の同級生に 誘われてボードのシミュレーションを始めたのが最初
あとは 大戦略ができる メガドライブを買って
スーファミを買って プレステを買ってww
- #17366 フラメント
- URL
- 2016.06/11 19:08
- ▲EntryTop
Re: 椿さん
世の中には、「そんなことはわかっている」けど、「まじめに信じちゃいない」けど、とりあえず「形だけでも信じておきたいこと」ってものがありますよ。それが公的に否定されたら、心理的な衝撃は避けられないでしょう。
最近のいい例は、「大相撲の八百長問題」(^^;)
最近のいい例は、「大相撲の八百長問題」(^^;)
NoTitle
サンタクロース……私は5歳の時に『この包み紙、いつもお母さんといくデパートのヤツじゃん!』と気付いてしまいましたね……。(だってデパートの名前印刷されてたし笑)
親に言ったら、『そういうことを妹の前で言うな、妹は信じてるんだから』と言われ、小学校を卒業するまでずーっと演技していたので、みんなそんなものかと思っていたのですが。
自分の娘が中学生になってから、『いくらなんでももう信じてないよね、でも念のために聞いておこう』と思って『知ってると思うけどサンタクロースって……』と話したら。ガチ信じていたらしく『そんなことは言わないでほしかった……』とすごくショックを受けていました。
本当、人それぞれなんですね……(-_-;)
親に言ったら、『そういうことを妹の前で言うな、妹は信じてるんだから』と言われ、小学校を卒業するまでずーっと演技していたので、みんなそんなものかと思っていたのですが。
自分の娘が中学生になってから、『いくらなんでももう信じてないよね、でも念のために聞いておこう』と思って『知ってると思うけどサンタクロースって……』と話したら。ガチ信じていたらしく『そんなことは言わないでほしかった……』とすごくショックを受けていました。
本当、人それぞれなんですね……(-_-;)
- #17348 椿
- URL
- 2016.06/08 18:07
- ▲EntryTop
Re: LandMさん
幼少時からヒネたイヤなガキだっただけです(^^;)
ある人がわたしに送ってきた絶交メールでいっていたように、わたしは幼少時からアスペルガー障害でも患っていたのかもしれません。とほほ。
ある人がわたしに送ってきた絶交メールでいっていたように、わたしは幼少時からアスペルガー障害でも患っていたのかもしれません。とほほ。
Re: ダメ子さん
ジェットコースターに乗っているかのような3Dアクションゲームに「爽快感」の点で敗北したんじゃないか、とわたしは考えてます。多人数共同プレイもしにくいし。
NoTitle
まだ、小学生1年生の頃はサンタクロースを信じていたじぇ。。。
そこまでの狡猾さがなかったじぇ。。。
(-_-メ)
人それぞれですね。
そこまでの狡猾さがなかったじぇ。。。
(-_-メ)
人それぞれですね。
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Re: フラメントさん
大学時最初に入ったパチンコ屋で、虎の子の5千円が30秒で溶けたとき、「これがあったらゲームが一個買えたのに」と思った瞬間、パチンコ屋から逃げ出してました。
あそこでもし万一、1万円でも勝っていたら、今ごろはパチンコ依存症で入院していたんじゃないかと思います。