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ナーヴァ「The death of friends」備忘録日記2
ベイの家へ向かう道すがら、わたし(ヘンリー・リオス)は、マクベス刑事は十五年前のクリスの逮捕についてどれだけのことを話したのだろう、と思った。十五年前、彼は淫行容疑で警察に逮捕され、わたしは留置場まで彼を迎えに行ったのだ。すでにクリスとベイとの間には、ジョーイという息子がいたが、結婚前のことを思い出したクリスは、愚かにもゲイバーに足を向け、藪の中でトラブルに巻き込まれたのだった。
現代のベイの家では、いまや二十歳になったジョーイがわたしに敵意の籠もった視線を向けてきた。キッチンでベイと遭ったわたしに、彼女はいった。「あんたはクソ野郎よ」
「クリスがゲイだったことか」
「十五年まえ、クリスは男といっしょに藪の中にいたところを捕まったそうね。刑事さんが全部話してくれたわ」
「これはそんな単純な話じゃ……」
「あたしたちの存在はなんだったのよ。そして、そのことで、あなたはずっとあたしたちをだまし続けてきたのよ。それが友達のすること?」
ジョーイが入ってきた。
「父さんは、長年にわたって裁判官だった。そして、長年にわたってオカマ野郎だったんだ。父さんが死んでうれしいよ。父さんは家族をぶっ壊したんだ」
ベイはジョーイを平手打ちした。わたしは黙っていることしかできなかった。
マクベス刑事はザックのこともベイたちに話していた。ベイからわたしは予想外のことを知らされた。ザックはクリスから遺産の分与を受けていたらしい。これまで、ザックにクリスを殺す動機はないと考えていたのだが、多額の金は人を殺すためのじゅうぶんな動機となる。それとも、ベイは嘘をついているのか。
ベイが嘘つきだと? それならわたしはもっと嘘つきじゃないか。二十年も、クリスがゲイであることを隠したまま友人づきあいをしてきたのだから。わたしはベイの家を辞することにした。
ジョーイとの会話により、ジョーイは、ザックが話していた凶器である、大理石で作られたピラミッド状の学位の記念品でクリスが殺されたことを知っていたことをわたしは気づいた。現場にそれが残っていたら警察が気づかないわけがない。そして警察は凶器を知らない。では、ジョーイはどうしてそれを知ったのか?
わからないまま、わたしはサム・ブライに会いに行った。
サムの助手だというトミー・カレンという若者との、豪邸の門前での押し問答の末に遭うことができたサム・ブライは、下半身が義足だが、元気そうな老人だった。彼は自分がゲイやレズビアンを対象にしたポルノ映画を作っていることを悪びれる様子もなかった。「わしは必要とする人間にファンタジーを売っているだけにすぎん」
「ザックはどこにいます」
「出て行ったよ。昨日な。君は彼を見つけてどうしようと思っているのだね」
「殺人事件の容疑者として警察が彼を血眼で探しています。彼はわたしのところへやってきて助力を乞い、わたしが答える前に逃げました。彼の救いになるかどうかはわかりませんが、警察よりはまだマシでしょう。いっておきますが、彼が殺したとされているのはわたしの友人です」
「チャンドラー判事か」
「彼を知っているんですか?」
「わたしがザックと彼を引き合わせたのだよ」
11章終わりまで。全体の32パーセント。
現代のベイの家では、いまや二十歳になったジョーイがわたしに敵意の籠もった視線を向けてきた。キッチンでベイと遭ったわたしに、彼女はいった。「あんたはクソ野郎よ」
「クリスがゲイだったことか」
「十五年まえ、クリスは男といっしょに藪の中にいたところを捕まったそうね。刑事さんが全部話してくれたわ」
「これはそんな単純な話じゃ……」
「あたしたちの存在はなんだったのよ。そして、そのことで、あなたはずっとあたしたちをだまし続けてきたのよ。それが友達のすること?」
ジョーイが入ってきた。
「父さんは、長年にわたって裁判官だった。そして、長年にわたってオカマ野郎だったんだ。父さんが死んでうれしいよ。父さんは家族をぶっ壊したんだ」
ベイはジョーイを平手打ちした。わたしは黙っていることしかできなかった。
マクベス刑事はザックのこともベイたちに話していた。ベイからわたしは予想外のことを知らされた。ザックはクリスから遺産の分与を受けていたらしい。これまで、ザックにクリスを殺す動機はないと考えていたのだが、多額の金は人を殺すためのじゅうぶんな動機となる。それとも、ベイは嘘をついているのか。
ベイが嘘つきだと? それならわたしはもっと嘘つきじゃないか。二十年も、クリスがゲイであることを隠したまま友人づきあいをしてきたのだから。わたしはベイの家を辞することにした。
ジョーイとの会話により、ジョーイは、ザックが話していた凶器である、大理石で作られたピラミッド状の学位の記念品でクリスが殺されたことを知っていたことをわたしは気づいた。現場にそれが残っていたら警察が気づかないわけがない。そして警察は凶器を知らない。では、ジョーイはどうしてそれを知ったのか?
わからないまま、わたしはサム・ブライに会いに行った。
サムの助手だというトミー・カレンという若者との、豪邸の門前での押し問答の末に遭うことができたサム・ブライは、下半身が義足だが、元気そうな老人だった。彼は自分がゲイやレズビアンを対象にしたポルノ映画を作っていることを悪びれる様子もなかった。「わしは必要とする人間にファンタジーを売っているだけにすぎん」
「ザックはどこにいます」
「出て行ったよ。昨日な。君は彼を見つけてどうしようと思っているのだね」
「殺人事件の容疑者として警察が彼を血眼で探しています。彼はわたしのところへやってきて助力を乞い、わたしが答える前に逃げました。彼の救いになるかどうかはわかりませんが、警察よりはまだマシでしょう。いっておきますが、彼が殺したとされているのはわたしの友人です」
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