ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1980年(3)

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     脱出者がひとりふたりのうちはまだよかったが、三人、四人となると、さすがに修也も混乱してきた。あっという間に三人の犠牲者が地面に墜死して天国へと旅立ち、ゲームオーバーとなった。

     あそこでああしていれば……!

     と修也は思ったが、後ろがつかえていた。修也はおとなしく、また列の最後尾に並んだ。そのくらいのことがわからぬ小学二年生ではなかった。

     

     ゲームウォッチはたしかに欲しかった。しかし、両親にいわせると「まだ早い」ということだった。「身の回りもちゃんとできない子が、そんな小さくて高いゲームを持ったらなくすだけでしょう」というのがその理由だった。

     まあそれもそうかな、と修也は思った。ゲーム&ウォッチのことを忘れさせるほどに、おもちゃ業界が毎週のデパートのちらしで売り込んでくるさまざまなおもちゃは、修也の目をくぎ付けにして放さなかった。

     それはさまざまな合体ロボットであり、さまざまな電子ゲームであり、さまざまなボードゲームであった。

     学研の学習誌を開けば、最後のページには折りたたまれた新製品の広告があった。

     修也があこがれの対象としていたものが、そこにあった。

     電子ブロック!

     パーツを組み合わせることで、さまざまな回路が組み立てられる、という可能性は、修也の好奇心を刺激してしかたがなかった。

     修也にとってその「電子ブロック」は、ただのおもちゃではなかった。その先には、前年、1979年に発売され、会社や大学などに浸透しつつあった、修也にとっては雲の上の存在のような、絶対に手が届かないだろう存在があった。

     PC-8001。それがそんな呼ばれ方をしているとは、修也はまだ知らない。だが、世の中には、「マイコン」というものが実際にあって、それを使うことにより見たこともないようなゲームができるのだ、という事実は、修也をどきどきさせた。

     ゲームができるだけではない。

     修也は父親に連れていってもらった勤務先のダムで、キーボードを使用してダムの情報を調べる父を見て、あこがれとともに強く思っていた。

     キーボードがあれば、「自分にもゲームが作れる」かもしれない!

     修也には「電子ブロック」が、そこに至るための足掛かりのように見えたのだった。

     しかし、修也が電子ブロックを手にすることはなかった。小学校の友人Wの言葉で、真実を知ってしまったからだ。

     Wはいった。

    「電子ブロックじゃ、ゲームはできないよ」

     まさしく青天の霹靂だった。
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    ~ Comment ~

    Re: らすさん

    「ゲームウォッチならお兄ちゃんに買ったからいいでしょ!」とかいっているご両親の顔が目に浮かぶようです。(涙)

    当時の4800円って今の一万円くらいの破壊力ありましたからねえ……。

    Re: ダメ子さん

    そこらへんの理想と目標と現実については後述します(^^;)

    この小説、今のうちいっておきますけど、作者の構想では、そうとうの大河連載ですよ。まだ序章の中でも最初の部分でしかありません(^^:)

    Re: LandMさん

    小学館の学習雑誌とその付録についてはあえて外しました。

    あれを入れるとゲームからそれて、話が全編「小学生にとってウルトラマンとはなんだったのか」になってしまうもので(^^;)

    NoTitle

    こんばんは(´∀`)

    ゲーム&ウォッチは実家に3個ぐらいあります。
    全て兄の物で当時はなかなか遊ばせてもらえず、
    自分は兄がいない時にこっそりと遊んでいました。

    久しぶりに遊びたくなってきたので、
    今度帰省しときに押し入れを探してみようと思います。

    NoTitle

    このまま進んでいればゲームクリエイターになっていたかもしれないですね、惜しい…

    NoTitle

    昔は確かにアレですね。色々な玩具に興味を持っていましたね。
    カートや組み立て式の玩具。
    1年生の付録の玩具とかにも楽しんでいた記憶が呼び戻される。。。

    Re: 椿さん

    パソコンを持っていればいくらでもゲームがタダでできるんですよ! あこがれないわけがない!(笑)

    なにせ上野の国立科学博物館に「コンピュータの」「ゲームが」展示品として展示されていて、そこで遊ぶのに行列したという時代ですから。

    「月面着陸ゲーム」というタイトルだけでどれだけ好奇心が刺激されたか、当時の科学なガキには東京は夢の世界で……(^^)

    NoTitle

    マイコンに興味を持っていたとはスゴイ! さすが修也くん!
    この頃のコンピューターのイメージって、『博士が使う物』でした(笑)
    自分で触る日が来るなんて、正直1980年の自分は思ってもみませんでしたねー。
    時代は変わるものだ……。
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