映画の感想

    「パイルD-3の壁」見る

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    名作。

    「刑事コロンボ」についてはもう、様々な人間が様々なことをもうすでに語り尽くすほど語ってしまっているため、つけ加えることなど何もないのだが、この作品では、メイントリックが「犯人が必要に迫られ、必然的に」行った大トリックというところがたまらない。コロンボはその「必然性」を見抜いて勝利するわけだが、そこが「すさまじいまでの頭脳戦」のサスペンスをもたらしてくれている。

    不満点といっちゃなんだが、一時間半のテレビ映画という必要上、犯人のやることに無駄がなさすぎる。もしも犯人が「ゲーム理論」を学んでいたら、コロンボの勝てる確率は低かったのではないだろうか。なにしろパイルはD-3だけではないのだ。また、パイルに目を向けさせ、注意がそれている間にどこぞに死体を処理してしまうという手もある。なにしろアメリカは広い。

    ……と書いたが、コロンボと警察は、犯人が死体を埋めるまで毎晩毎晩工事現場にいればいいのか。時間が経てば経つほど犯人にとっては死体の処分は難しくなるわけだし、後は我慢と気力と予算の問題だ。そもそも工事現場で待ちかまえなくとも、覆面パトカーを一台、犯人に四六時中張りつけておけばいい。不自然な自動車での移動があったら、そこを押さえれば死体の発見は容易だろう。トランクに隠していても、警察犬を使えば死体があるというにおいだけはかぎつけるだろうし。なにせ死体の放つ腐敗臭はひどいものがある。これも我慢と気力と予算の問題だ。警察にはそれが有り余るほどあるのだ。

    なるほど、実によく考えられている。

    コロンボがパイルを掘ったのも必然的にそうしなければならない理由があったのか。話を合わせただけではなく、実際に犯人があそこに隠している可能性を潰さないとゲーム理論もなにもないわけだから。

    犯人がコロンボに勝てる道を考えたが、結論としては、最初の時点で被害者失踪の偽装に失敗した時点で、犯人の負けゲームだったということになるか。

    頭脳戦どころの話じゃない。囲碁でいえば、布石時点ですでに負けていたことになる。

    しかしそれにしてもよく予算が下りたなあ。コロンボの警察内部での政治力、すげえ。

    名人の中押し勝ち。

    名作だ。
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    ~ Comment ~

    Re: 面白半分さん

    コロンボが警察内部にいる犯人を捜査する話もありましたねたしか。

    しかしよくもあそこまでネタが続いたもんですコロンボ。

    Re: 山西 サキさん

    ああ、あの双子が出てくるやつね、もう一度見たいな、と「2つの顔」を図書館で探したら貸し出し中だったでござる。(´・ω・`)

    Re: ECMさん

    ある意味、義眼だからこそ、あの「目の演技」ができたのかもしれません。コロンボの視線って、かなり独特のような気がします(^_^)

    NoTitle

    1回だけ見ているのですが
    ”コロンボの警察内部での政治力”が印象に残ってます。

    コロンボdvdボックス持ってるので見てみよう

    NoTitle

    あ、思い出しました。確かに名作だと思います。
    やっぱりコロンボ、面白いですね。
    サキは「2つの顔」なんかが好きですね。

    NoTitle

     コロンボ役のピーターフォークも亡くなってかなりなりますねぇ。
     片目義眼だったそうです。
     晩年は認知症で自分がコロンボだったこともわからなかったそうですね。

    Re: 宵乃さん

    たぶん今日もコロンボ見ると思います。「黒のエチュード」かな。

    昔のテレビ番組らしくていいですな~(^_^)

    NoTitle

    タイトルは覚えてるんですが、肝心の中身は記憶から消えかけてます。
    ポールさんの感想を読んだら、そういえばコロンボさんが警察の予算で大掛かりなことをしたんだっけと思い出しました。
    これが可能になるほど、警察の検挙率とイメージアップに貢献してきたんでしょうね~。

    2作品目もご参加ありがとうございました♪
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