東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ52位 百万ドルをとり返せ! ジェフリー・アーチャー

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     浪人生以来25年ぶりに再読。あのころも面白かったが、今読んでも実に面白いコン・ゲーム小説。読んでいるあいだじゅう口元がにやけっぱなしで、とても楽しかった。

     コン・ゲーム小説とは、主人公が「詐欺」をはたらき、カモから大金をまきあげる小説を指す。本書はそのお手本のような作品である。いかがわしい商売で成り上がった投機家の陰謀にはまり、四人そろって総額百万ドルをだまし取られた素人の男たちが、その投機家から「百万ドルぴったり」巻き上げてしまおう、という、いうなれば大人のおとぎ話だ。

     この手の小説で難しいのは、カモに「自分が詐欺にあった」ということを気づかせないという縛りである。なぜなら、カモが「自分は詐欺にあった」ことに気づいてしまったら、当然のごとく警察が動いて、海外へ高飛びでもしないかぎり、素人の詐欺師たちはあっという間に逮捕されてしまうからである。なにしろアマチュアの素人が自分の身を守るための詐欺行為であるから、本人たちの表向きの生活が破綻してしまってはいけないのだ。大金をだまし取りながらさらにカモに感謝までされなければならないのである。

     この小説における捧腹絶倒のさまざまな大作戦は、素人の初めて行うことであるから、大小さまざまなミスや想定外の出来事などが続いて順風満帆とはいかない。中には「これはちょっとないだろう」と思われるような作戦もあるが、いや作戦のほとんどはそんなものだが、そこは「大人のおとぎ話」である。きちんとハッピーエンドになる。後味も非常によろしい。

     軽いユーモア小説が読みたいときにはぴったり。40年前の小説なので現代の世の中では前時代的に見えるテクノロジーもあるが、背後を流れる発想は今でも十分面白い。読んでみるものである。

     日本の作品で、こういうタイプの小説は小林信彦「紳士同盟」くらいではなかろうか。日本のエンターテインメントは、詐欺を行ったとしても、それにより相手が破滅するのを金を握って高笑いするというパターンが多いから、そちらのほうがウケるのかもしれない。日本人のまじめさというか。こんなタイプの小説でも人が死なないとおさまらないというか。

     もちろん、この作中でも映画「スティング」のことは触れられているが、小説で読むぶんにはアーチャーのこの小説のほうがはるかに面白い。むやみやたらに人を殺せば面白くなるというもんでもないからなあ。
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    トランプが怖いのは、支持率が低下すると「戦争」に訴えて支持率向上を狙うという小ブッシュみたいなことをしでかしかねないことなんですよね。ブッシュの醜態とオバマの就任を渦中で見ているヒラリーはそれができるようなアホじゃないけど、トランプならやりかねない。

    要するに銀英伝1巻的展開ですな。とほほ。

    NoTitle

    > どうもトランプ氏はファシストよりも信用できん。

    ま、こう言っちゃぁなんだけど、ヒラリーさんよりは面白そうかなーと(爆)
    ファシストよりも信用できんって言うか、我々ニッポンにとっては、リベラル派の方が意外に信用できないっていうのもあると思いますよ(笑)

    ま、トランプなんてもんは、しょせん博打(笑)
    楽しめばいいの!(爆)
    (いや。博才皆無なんで、バクチはまったくなんですけどねwww)

    トランプさんだって、泣いても笑っても4年なんだから。
    2期目をやるとしたら、それはいい政治をしたってことだし。
    逆にイメージ通りのことやるんだとしたら、中間選挙で大負けしちゃんじゃないですかね?
    その辺がどうなるんだろ?って。
    安倍さんは、何考えてるんだろうって。
    いやはや、考えてるとすごく面白いんです(笑)

    Re: ひゃくさん

    > われわれがトランプだと思っていたのは、実は劣化したエリツィンだったんだー!
    >
    > 「な なんだってー! 地球はどうなってしまうんだキバヤシ!」
    >
    > ……(笑)

    Re: ひゃくさん

    暗君になるためには別にヒトラーほどの才能が必要だというわけではないですしねえ。

    どうもトランプ氏はファシストよりも信用できん。

    NoTitle

    > スピンラッド「鉄の夢」を再版するべきだと思うな

    鉄の夢て、なに?鉄道オタクの人の夢、みたいな?(笑)
    ていうかアマゾンで見たら、古本で1000円だの1800円だのなんて本、買えまっかいなー。

    ただ、どうなんでしょうね。
    確かに私も、トランプ氏が出てきた時はヒットラーって思ったけど、たぶん、ヒットラーみたいな人よりは全然生臭い人ですよね。
    ていうか、ヒットラーが出てきたのには英仏等が悪かったからという面というのも相当あったわけで、トランプさんがヒットラーになるのだとしたら、それだけ今の世の中が悪いってことなんじゃない?とも思いましたね。

    IT万能、ITバラ色ってみんなが思い込んでいる今の世界への、オールドファッションの逆襲なのかな?って。
    それはそれでスッゴク面白そうだーって思うようになりました(笑)

    Re: ひゃくさん

    トランプが当選した今こそ、スピンラッド「鉄の夢」を再版するべきだと思うな、と、当時買い逃した自分がいってみる(笑)

    NoTitle

    ヒラリーさん、結局大統領になれなかったわけでー。
    『ロスノフスキ家の娘』が実現するのは、いつになるんですかねー。

    ていうか、ヒラリーさんが当選してたら、『ロスノフスキ家の娘』再発してたかもなー。

    Re: ひゃくさん

    言い間違えた。

    「アーチャーの作品に罪はない」(^^)

    NoTitle

    > まあアーチャーに罪はない(笑)

    アーチャーに罪はあるでしょう。
    だって、服役したんだもん(笑)

    あ、でも、服役したってことは、今は罪はないってことか?

    Re: 面白半分さん

    この話は読んだことないですねえ……というよりも、星先生が「夢魔の標的」と「人民は弱し官吏は強し」のほかに長編を書いていたこと自体初耳でした(^^;)

    「声の網」もあったか。

    Re: ひゃくさん

    なんたっていま読んでいる「東西ミステリーベスト100」の原本が1986年ですからねえ。当時気になっていた女の子ねえ。

    まあアーチャーに罪はない(笑)

    NoTitle

    これは面白かった記憶が残っています。
    また読みたくなってきました。

    日本作品では
    星新一先生の「気まぐれ指数」なんて凄いのもあります

    NoTitle

    ジェフリー・アーチャーかー。

    ジェフリー・アーチャーといえば、ずいぶん前(そうとう昔www)。
    当時、気になっていた女の子が、『ケインとアベル』が好きだとか何だとかのたまうもんだから。
    何となく読んでみたら、いっやー、面白いのなんのって。
    そのまま、『ロスノフスキ家の娘』まで一気読みしたことがあったなー(笑)

    というか、なんともスカした女で、さんざんな目にあったっていうのが、ジェフリー・アーチャーにまつわる思い出。
    ていうか、思い出したくもない!(爆)
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