ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1982年(2)

     ←荒野のウィッチ・ドクター(23) →現代音楽(加筆)
     どちらかといえば修也がお気に入りだったのは「Dr.スランプ アラレちゃんゲーム」のほうだった。カードを使った一種のスゴロクであるが、「ゴールしたプレイヤーが負け」という逆転の発想がすばらしいゲームである。

     プレイヤーはそれぞれ一定額の所持金を持った状態でスタートする。色違いのアラレちゃんが複数並ぶ姿はそれだけでも楽しい。数字が書かれたカードを使用して、その目の数だけコマを進める。山から一枚引いて手札に加え、そこから一枚選んで使う、というものだ。マスにはいろいろと指示が書いてあり、それによって手持ちの資金が増減する。マスに書かれた指示のほかに、ランダムで引かれる「ガッちゃんカード」の指示にも従わなくてはならない。たまに「ピロリンキャンデーを取れ」という指示が出ることがあり、そのときはゲーム版中央に参加プレイヤー数にひとつ足りない数のピロリンキャンデーを早い者勝ちで取らなければならず、取れなかったひとりはペナルティを受けねばならない。全員にいくらいくらの罰金を手渡す、というものだったが、ミスを続けるとなかなかばかにならない出費になった。

     ゲームの勝者は、誰かがゴールに入った時点で、もっとも多額の所持金を持っていたプレイヤーである。コマはカードで動かすのだが、スゴロクなので基本的には「進む」ことしかできない。では、どうやってゴールに入らないで粘るのか。ゴールに向かって一定のマスの数以上進むと、プレイヤーは「ゴール」も含めたマスが円周を描いて並んでいるエリアに入ることになる。そこでは、プレイヤーが相手の存在するマスに入ると、そのプレイヤーを、自分の進んできた数だけマスから押し出すことができるのだ。2マス進んで来たら相手を2マス、3マス進んで来たら相手を3マス。さらにこれは連鎖するのだった。ここで押し出され、ゴールに押し込まれてしまったプレイヤーは、押し込んだプレイヤーに全財産を渡して最下位となる。よって後半は優位な位置を占めることが肝心となる。隙あらば相手をゴールに押し込もうと、一種微妙な焦燥感の中、コマであるアラレちゃんたちが円周をぐるぐる回るのは奇妙な興奮を覚えるものだった。

     バンダイのボードゲームでも、目的のわかりやすさと、運と戦略とがミックスされたシステムと、ゲームバランスの相対的なよさといい、まさに傑作ゲームと呼べるものだった。盤上に描かれたウルトラマンや怪獣たちも含め、小学四年生の心をわしづかみにするゲームだった。

     そんな修也であったが、ある日、プラモデルを買いに来たホームセンターで、奇妙なゲームと遭遇した。ガンダムのゲームなのだが、やけに細かい字、サイズにしては重い箱。

     ツクダホビー社の「ソロモン攻略戦」。

     運命の出会いというものはあるのだった。
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    Re: LandMさん

    意外とみんな知らないのか……大好きなゲームなんですけども。

    再版は難しいだろうなあ。なにしろウルトラマンがぞろぞろ出てくるし、版権難しいだろうなあ……。

    NoTitle

    アラレちゃんも懐かしいね。ボードゲームが出ていたのですね。
    それは知らなかったですね~~。

    しかし、早く辿り着いたから価値ではない。
    それを考えた人は素晴らしいですよね。
    総資産とかもあって、勝ちが決まる。。。
    またやってみたいなあ。。。。ああいうゲーム。

    Re: 椿さん

    アラレちゃんゲームはコマーシャルを見てほしくてほしくてたまらなくなったゲームです。雑誌の記事にもなっていましたね。誕生会の必須アイテムだったものです。やりこみましたねえ……。

    このゲームとの悲愴極まる別れは近いうちにぜひ書きたい。

    いや悲愴だと思っているのは本人だけで、傍から見れば単なるギャグですが(笑)。

    NoTitle

    アラレちゃんは一世を風靡しましたねー。そしてアラレちゃんのボードゲームにそんな秀逸なものがあったとは。

    おおそのゲームは? 未プレイですが噂を聞いたことがある気がしますよ。
    四年生でまた運命の出会いを?!
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