東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ56位 脱出航路 ジャック・ヒギンズ

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     大学時代に図書館で借りて読んだ。それ以来の再読である。で、読んでみたのだが、内容はもうすさまじいまでに「バカ」と「頭のおかしい人」しか出てこない小説であった。ページを繰っても繰っても繰っても繰っても、「バカ」と「頭のおかしい人」しか出てこない。ここまでやってくれるとすがすがしいくらいだ。で、当然、小説としてはメチャクチャ面白く、サイゼリヤでドリンクバーをがぶ飲みしつつ、実に幸せな読書タイムを満喫できた。我ながらイヤな客である。

     なぜ、「バカ」と「頭のおかしい人」のドラマにここまで感情移入しのめり込めるのかの答えは簡単だ。この小説に出てくるバカたちは、少しでもY遺伝子を持って生まれた人間ならば、「お願いですから一緒にバカをやる仲間に加えてください!」と懇願したくなるようなやつらなのだ。

     第二次世界大戦末期に、安全なブラジルからわざわざ、戦火の真っただ中にある敗色濃厚なドイツへ、ガラクタ同然の「帆船」でもって、英米海軍がうようよしている年じゅう嵐のような大西洋を横断して帰ろうと考えるドイツ人たちもたいがいなバカだが、相手がそのような無謀極まりないことを考えていると知りながら、その心中を考えてわざと見逃すブラジルの官憲もバカであるし、そんなボロ船に同乗して同じくドイツを目指そうとする修道女たちの一団も頭がおかしいとしかいいようがない。

     こんなバカたちとかかわりを持つことになる、北スコットランドの小島で意に染まぬ休暇中の身である歴戦の海軍少将の老提督、同じく年老いた救命ボートの艇長、意に染まぬ後方勤務をさせられているこれまた歴戦のアメリカ海軍中尉もまたそれぞれに、明らかに頭がおかしい。

     そこにこの小説でもっとも頭がおかしい人物、現在英軍の捕虜収容所を脱走中である、百戦錬磨の英雄で不屈の闘志の持ち主であるUボート艦長がからみ、話は……話は……うむむ、どうしてこんな頭のおかしいバカなやつらばかりをそろえて、こんな手に汗握る、血の躍るような、恋あり友情あり涙ありの冒険小説が書けるのだ。

     どうしようもないロマンチストたちの幻想が引き起こした、登場人物の誰もが不満足な結末を迎える話だが、極上の読書時間は保証する。男性だろうと女性だろうと、必ずや満足すると思う。そして最後のページでゲリッケ少佐に涙できたら、そのときはもうジャック・ヒギンズと冒険小説なしではいられなくなっているはずだ。そうでないとすれば、作中の人物の言葉を借りれば、「地獄に堕ちればいいわい」なのである。
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    青井さんと会ったときは、その長い旅の話を聞きました。

    その中で、自分の存在がいくらかでも励ましになったのならいいのですが。

    NoTitle

    > やるとしたら会費制ですな。

    そりゃそーでしょ!
    ネットでの付き合いの人におごられちゃった日にゃぁ、恐縮しちゃって飯が喉を通りませんって(笑)

    > 夢も希望もロマンもない男(笑)。

    会費制こそロマン!(爆)

    > いい大人が集まって飲んでもおひとり様1500円(笑)

    まー、そんなもんでしょう(笑)
    ていうか、お話書くのが趣味なんて人たち、実際顔合わせたら、みんな無口でしょーしねー。
    お話を書く苦労なんて、別に聞きたくもないですしー(爆)
    (ま、どんなふうに書いてるかっていうのは興味ありますけどね)

    ていうか、ブリッツさん、飲むんですね。
    私は下戸なんで、そっちは付き合えないですけど、でもまぁバカ話なら、のればいくらでも(爆)

    > 青井さんと会った時

    あ、青井さんと会ったんですか。へー。
    で、どんな話したんです?
    興味津々(爆)


    > 土浦のうまい飲み屋なんか知らないよー(汗)

    土浦でやるんなら、意外と筑波の方でやった方が集まりがよかったりするのかもしれませんね。
    東京の人だったら、土浦に行くとなったらちょっと旅行感覚ですし。
    筑波山とか霞ケ浦とか、観光地っぽいとこでやった方がいいのかもしれません。
    (でも、それじゃ金かかるか?www)

    もうすぐ年末ですし。
    やるんなら、年明けに、福徳神社とか、もしくは弁財天詣をかねてなんていうのもいいのかも(笑)

    Re: ひゃくさん

    やるとしたら会費制ですな。夢も希望もロマンもない男(笑)。

    わたしが店を選ぶと、サイゼリヤでつまみを食いながら果てしなくワインを飲むというコースになってしまう(笑) いい大人が集まって飲んでもおひとり様1500円(笑) このコースが当然だと思っていたら、青井さんと会った時に「いいから早くこの店を出て飲みに行きましょう!」と怒られてしまった(^^;) 土浦のうまい飲み屋なんか知らないよー(汗)

    NoTitle

    > 本気で、関東近郊のメンツでいつかオフ会というものをやってみたいものですね。

    あー、それは面白そうです(笑)
    でも、何を話すんだろ?
    それを考えると、ミョーっ!に笑えます(爆)

    そんな時、ナマズ料理はいいですよねー。
    話に困っても、料理で盛り上がりそうなのがイイ!(笑)
    (ちなみに私は、なんか怪談ない?ってふりますからねwww)

    とはいえ、この際だからブリッツさんのおごりでアンコウ鍋っていうのもいいなー。
    というか、いいと思うでしょ?
    お願いだから、いいと思って!(爆)

    Re: 椿さん

    「鷲は舞い降りた」「死にゆく者への祈り」もおすすめですよ(^^)

    Re: ひゃくさん

    ナマズは何回か買って食べたけど、結構お値段が張るのであります。もともとアメリカナマズを食べる習慣がなかったので……。そろそろ根性を入れてナマズ加工工場を作って消費者に安価で提供してもとがとれるようにしないと霞ケ浦はいつまでたってもああじゃないかなあ、と……。

    普通のスーパーには売ってませんからねえ、ナマズ。

    本気で、関東近郊のメンツでいつかオフ会というものをやってみたいものですね。そのときはナマズ料理屋を探そうか。かこつけないと食えない(笑)

    NoTitle

    面白そうですね。気になる……
    密林へチェックしに行ってきます!

    NoTitle

    > サイゼリヤでドリンクバーをがぶ飲みしつつ、実に幸せな読書タイムを満喫できた。我ながらイヤな客である。

    大丈夫、大丈夫。
    たぶん、サイゼリヤの人もY遺伝子持ってると思うから(笑)

    そう、帆船といえば、霞ケ浦の帆引き船(笑)
    あれって、知ってはいたんだけど、要は船の部分は付属みたいなもんだったのね。
    知らなかったー!

    ていうか、ブリッツ氏。
    見てないでしょ?今朝の「遠くへ行きたい」(爆)
    ま、最近の旅行番組は食って、食って、食って、また食ってなわけだけど、御多分に漏れず、霞ケ浦でシラウオ食って。
    その後は、ワカサギの甘露煮食って、養殖しているナマズ食って。
    その後、鹿島神宮に行って、奈良の春日大社は鹿島神宮の神さまを移したんだって、まぁそれは知らなかったんだけど、それから焼き芋食って、最後は新米食って。
    まぁ行ってた人が渡辺徹だから。
    食い物ばっかというのはわかるんだけど、それにしても食い物ばっかだったなー(笑)

    ていうか、ナマズはウマそうだったなぁ~
    いつか、ナマズ、御馳走して!(爆)

    Re: blackoutさん

    普通はどんな小説でも、「常識人」タイプの人間がひとりふたりいるのですが、本作にはその常識人がひとりも出てこないという(笑)

    それだけキャラが立っているともいえるので、下手なマンガなんかより人間賛歌にあふれ手に汗握る面白い小説です。未読だったらぜひご一読を(^_^)

    NoTitle

    逆を言えば、どこにでもいそうなごくフツーな、というかありふれた男女が織り成す生活(性活?)、みたいな小説だったら面白くもなんともないではないですか?w

    いや、いや、いや、いや、いや、それは違うだろ?

    ってツッコミを入れたくなるか

    いや、…う〜ん………、あるかもしれん…、いや…(絶句)

    っていうのじゃないと、って思います

    ※すみません。昼間っから空きっ腹に度数9%のビールを流し込んだので、意味不明なコメントになっているかもです(汗)
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