ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1982年(4)

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     修也の頭の中で、宇宙空間を、二体のモビルスーツ……それはガンダムでありガンキャノンであり、ギャンでありゲルググであったりしたが……がときにビームライフルを撃ち、ときにビームサーベルで切り付ける、そのようなイメージがさっと走り抜けていった。それはテキサスコロニーにおける砂漠の戦いであり、ソロモンにおけるビグザムとの死闘であり、そして……。

     店員の視線を感じたわけではないが、修也はルールブックを箱に戻した。修也にはわかったのだ。

     自分にはこのゲームはまだ早すぎるのだということが。

     ツクダホビー側のゲームの評価からいえば、このゲームの難易度は6だった。10段階の6である。平均よりもわずかに難しい。ということは、このようなゲームをまったく見たことも聞いたこともなかった修也にとっては、買ってもあの「いい旅チャレンジ20,000キロゲーム」のごとく、理解できないで押入れの中に埋もれてしまうのではないか、修也はそう感じたのだ。

     後から考えれば、修也はここでこのゲームを、無理をしてでも買っておくべきだった。手に入る入らないの問題ではなく、今のうちに買って遊んでおくべきだったのだ。

     しかし当時の小学生に4000円以上もするこのゲームは高額にすぎた。修也は涙をのんであきらめ、後ろ髪引かれるような思いでその場を後にした。

     結局、誰かがそのゲームを買ったようで、しばらくして修也がそのホームセンターを訪れたとき、すでにそのゲームは店頭になかった。

     これでよかったのかもしれない、修也はそう思った。

     意外と、宿命の出会いというものは、こういうものなのかもしれない。一瞬の交錯と、そして取りつかれたように、その相手の面影を求めて生き続ける人生。

     もっとも、修也にとってはもっと特別な出会いがおもちゃ屋で待ち受けていた。

     1983年、トミー「ぴゅう太」発売。

     それは、ゲームセンターのゲームにも負けないほどの美しいカラーグラフィック能力と、ROMカセットによるソフト配給、それに加えて、データを入力することのできるキーボードを備えた、日本のメーカー初の「16ビットゲームパソコン」だったのである。定価は59,800円。

     それから遅れて、コモドール社が、同じくゲームパソコン「MAXMACHINE」をもって日本のおもちゃ市場に殴り込みをかけてきた。定価は39,800円。

     そして圧倒的な廉価をもって君臨するカセットビジョンと、日本の家庭用テレビゲームは本格的な戦国乱世の時代を迎えたのであった。それはパソコンの世界の戦国乱世の後追いでもあった。
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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    そこはオフビートに外してくる(←どこがオフビートや(笑))

    半分記憶だけで書いてますが、それゆえにこの時点でいろいろと頭を抱えるような記録の間違いが頻出してしまい(^^;)

    例えばMAXMACHINEの定価は実は34,800円で日本上陸も1982年の「年末」になってからだとかね(^^;)

    修正していたらきりがないので後でまとめて直すつもりです(^^;)

    「あきらめたらそれで完成です」っていうのは正論かつ真実だなあ。

    NoTitle

    難しすぎるゲームを棚に戻した……それは子供なりに考えた理性的判断だった気もしますが、後々それがどう響いてくるのか……
    再びの出会いの日にどうなるかがすごく気になりますね。

    しかし、いろんなゲーム機が出てたんですねー。
    自分、この方面に疎いんだなーって拝読していると実感します。

    Re: LandMさん

    一時期はガンダムと名前をつけておきさえすればなんだって飛ぶように売れてましたからねえ……。

    高校のころ、「ガンダムスペースコンバット3㏌1」というLSIゲームを遊ばせてもらいましたがすごかったなあ(笑)。

    NoTitle

    ガンダムのゲーム懐かしいなあ~~~。
    子どものころは訳も分からずプレイして、全クリできなかったことが何と多かったことか。。。
    それが懐かしい。。。

    或人の意見

    「あのう、この小説、おかしなところがあるんですが」

    「どこかね、文子くん?」

    「なんでアニメの話もマンガの話も特撮の話もプラモの話も怪獣の話も超合金の話も推理小説の話もSFの話も小学生の日常の話も必要最低限といっていいほどほとんど出てこないのに、どうしてここまで濃い人の話になるんですか?」

    「(目をそらす)」
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