東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ59位 もっとも危険なゲーム ギャビン・ライアル

     ←荒野のウィッチ・ドクター(25) →オタ句 11月20日
     「ゲーム」という英単語に「獲物」という意味があることに気づかないと、面白さが半減してしまう作品である。だけれど、「もっとも危険な獲物」だと、インパクトが弱いし、ここはどうしても「ゲーム」でなければならなかったんだろうなあ。タイトルのその意味に気が付かなかったので、熟練したチェスプレイヤーの白熱の頭脳戦、みたいなものを期待していた中学生のわたしは裏切られたような思いをし、一度読んだ後は「つまらん」と思ってしまった。

     三十過ぎて再読すると、これがまた異常なまでに面白い小説で、夢中になってページを繰って読みふけってしまった。それからまた十年くらい過ぎて今になって読んでみると、そのときよりもさらに面白くなっていた。もうにやにやしっぱなし。読んでいたサイゼリヤで店員さんから奇異の目で見られた。大人の小説なのだからどうか許してほしいものである。

     「もっとも危険なゲーム」が「もっとも危険な獲物」だとして、その「もっとも危険な獲物」とはなにか、といったら、それはもちろん、「銃を持った人間」である。この小説を読めばその危険さは実によくわかると思う。ほんとに怖いんだよ、才能があり訓練を積んだ、銃を持った人間って。

     とにかくカッコいいわけだ。フィンランドの山地でおんぼろな飛行艇に乗りあるはずもない鉱物資源を探す仕事についている、風采の上がらぬ貧乏パイロットのビル・ケアリも、アメリカ人の大富豪で、猛獣狩りが大好きで、これといった獲物はほとんど仕留めて、こんなフィンランドの田舎に熊を撃ちにやってくるフレデリック・ウェルズ・ホーマーも、彼らを取り巻く人々も、びしっと決まってカッコいい。みんなそろって頭がどこかおかしいが、それだからこそカッコいい。そんなカッコいいやつらに危険が次から次へと降ってくる。背景にあるのは東西冷戦と国際謀略。第二次大戦の遺恨がからみ、さらには宝探しまで加わって、話はどうしても回避できないクライマックスへとなだれ込む。そこがまたいいのだ。冒険小説とはそういうものなのだ。もちろん、その中には燃えるような恋までもあるのだ。

     それにしても、ポケミスの裏表紙で、あらすじのかわりにクライマックスの決闘シーンの展開と結末だけを要約して載せた早川書房の当時の編集者、バカじゃないのか、と思えてならん。

     いや、冒険小説って、いいですな。
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    ~ Comment ~

    Re: 面白半分さん

    あの「太陽黒点」ですね。怖くてまだ読んでません(^_^;)

    Re: ひゃくさん

    > まあ本を読むにしても時と所が備わらないと読めないので(^_^;)
    >
    > 夢に積ん読の早川の名作SFが現れて、脂汗をかきながら目が覚めたこともあります(笑)
    >
    > ごめんハイペリオン! いつか読む!(笑)

    NoTitle

    文庫の裏表紙のあらすじやオビのあらすじ・説明は購買意欲をそそる巧いのが多いですが、行き過ぎるとまずいですよねえ。
    山田風太郎のあるミステリでは、そこでかつてネタバレをしてしまっていたとか

    NoTitle

    冒険小説かー。

    嫌いじゃないはずなんだけど、なんだろう?あんまり食指が伸びないんですよねー。
    個人的に最近はブリッツさんのように本に集中できないんで。
    謎という、モチベーション(?)をぶら下げてくれるミステリー小説の方が読みやすいっていうのはありますね。

    ま、怪談本よりは数千倍、いや、数万倍面白いはずなんで(爆)
    読んでみたいなーって、そうそう。満州国演戯が文庫になったんですよね。
    あれ、読んでみたいなー。
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