紅恵美と語るおすすめの本

    J・P・ホーガン 星を継ぐもの

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    「こんにちは。私立探偵兼ミステリ愛好家の紅恵美です」

     アシスタントのポール・ブリッツです。

    「なんで作者が出てくるのよ」

     だって小説が書けないんだもん……。

    「あなたねえ。……まあいいわ。ええ、このコーナーでは、あたしがこれまで読んだミステリの中から、とびきりのおすすめ本を紹介します」

     それで最初がこのSFですか。

    「境界線上の作品なことは認めるわ。でも、世の中にミステリは山ほどあるけれど、これ以上に独創的でショッキングな出だしで始まるミステリはそうそうないわね」

     月面に降り立った宇宙船が、見たこともない宇宙服に包まれた「地球人」の死体を発見するんですよね。しかも死んでから途方もない時間が経っているやつを。

    「どきどきするわね。それを地球側の人間たちが、徹底的に『理詰め』で迫っていく。これがミステリの醍醐味よ」

     その論理の進め方が、完全にSFのそれなんですが……。

    「正確には『J・P・ホーガンの考えた「科学者たちはこう考えるであろう」という発想法』による論理の進め方ね。でもそんなことに目くじらを立てていたらソーンダイク博士ものは読めないわよ」

     作品発表年代に半世紀も差があるじゃないですか!

    「じゃあ、ジェフリー・ディーヴァーの『リンカーン・ライム』もので」

     「ボーン・コレクター」、面白かったですもんね。そういやあれも全身麻痺で動けない科学者探偵が理詰めで遠隔地の犯罪を暴いていく筋書きでしたね。

    「『星を継ぐもの』に話を戻すと、そのミステリ的な論証から、壮大な歴史がじわじわとその姿を現していくのが読みどころね。死体の謎がそのまま人類の謎にシフトしていくのがたまらないわね」

     続編の「ガニメデの優しい巨人」と「巨人たちの星」はどうですか?

    「話としては面白いし規模もどんどん壮大になっていくけれど、それだけに、作者のホーガンの『楽天的な保守派白人』の持つ能天気さが鼻についてくるのも事実ね。たぶん、ベトナム戦争がものすごく影響を与えてるんでしょうね」

     つまり、「自由と平和を語る正しい民主主義」がベトナム以降負け戦続きなのはよからぬ誰かが陰謀を企んでいるからだ、というような世界観ですか?

    「陰謀、というよりも、摩擦係数みたいなもんじゃないかしら。理論上はすんなりとナイフが通るはずなのに、摩擦のせいで途中でナイフが止まってしまう、みたいな苛立ち。だからホーガンのSFでは、たいてい『正しい道理』さえきちんと保っていれば、主人公側は難問をすいすいと解決してしまう。解決できなかったとしたらそれは『正しい道理がわかっていない人たち』のせい。そうでないと作者としては面白くなかったんでしょうね」

     2010年に亡くなってますが、いま生きていたとしたらどんな話書いていたでしょうかね。

    「絶対、『啓蒙思想』の側に立って、『愚かなイスラム教徒』のような立場のものを教導するような作品をやっていたわね。反権威主義を読み取る人もいるけれど、その反権威って、『啓蒙思想』から演繹された意味での反権威だから。みんなが意図的に何かについてはタブーにして触れないでおいている世界、っていうのが大嫌いなのよ」

     その「タブー」が、「星を継ぐもの」では、「死体」ですか?

    「それについては、『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』と読んでいってじわじわと分かることだからここではいわないでおくわ」

     まあ、「タブー」にするのもわかりますよね。あの「死体」の正体を知ったら。

    「ちょっとなに。あなた、あの小説の『ネタ』を割っちゃうの?」

     まさか、あの死体の正体が……。

    「わーっ! わーっ! わーっ!」

     『芯の山』へのワタリに成功した、猿飛佐助だったなんて……。

    「…………」

     え?

    「竜崎。このバカの右腕をへし折ってやりなさい。遠慮はいらないわ」

     わっ。ちょっとちょっと。なにするんですか。やめて。やめて。うぎゃああああああああっ!
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    ~ Comment ~

    Re: ひゃくさん

    中井紀夫先生は、「世にも奇妙な物語」のノベライズも任されていたほどの作家さんですから、絶対怪談好きのひゃくさんの好みにどストレートのストライクだと思ったんですがねえ。残念であります。

    もっとも好きな人は熱狂的にハマり、嫌いな人は見向きもしないというタイプの作家であるのも事実ですが(^^;)

    NoTitle

    > Kindleで468円じゃあ。買うよろし(笑)。

    やなこった!(爆)

    Re: ひゃくさん

    > > 「ブリーフ、シャツ、福神漬」、アマゾンで見たら万単位の値段がついてました(泣)
    >
    Kindleで468円じゃあ。買うよろし(笑)。

    NoTitle

    SFっていうのは、そのホラ吹き度合いとか、アホな世界観とか、そういうとこはすごく面白いと思うんです。
    思うんですけど、SF(ファン)の上から目線に、なんかカツンとくるんだと思います(爆)

    怪談好きな私でも、今の「心霊」の概念っていうのは無茶苦茶変だと思うんです。
    それをバカ扱いしたくなる気持ちも、とってもわかる(笑)
    でも、屁理屈こねてそれをバカ扱いしてる人が、フォースだの魔法だのを許容しちゃえるその頭ん中が理解出来ない(笑)

    あ、いや。魔法やフォースが出てくるお話がつまんないとかくだらないとかっていうんじゃなくって(ていうか、それはそれで全然面白いと思います)。
    科学的な根拠がどーのこーのってた一方で、魔法を飲み込めちゃえるって、それって心霊的な概念とどこが違うの?って気がしちゃうんですよねー。
    (そういう世界観のお話なんだって読めば、それは同じなんじゃないだろうか?)

    ほら。ウルトラセブンのウルトラホークが飛び立つ時、横に移動したり、英語で何かアナウンスがあったり。
    ま、確かに私もそこはカッコイイって見てたわけですけどね。
    でも、SF(ファン)って、そういう部分みたいな。個人の趣味にグッとくる部分がすごく好きで、ソレ(感覚)があればなんでもOK。なければ(屁理屈つけて)ケチョンケチョンっていう気がしちゃうって言ったらいいのかな? ←偏見(笑)

    ま、いろんな人の感想をいくらでも読めちゃう、ネットの悪しき面なのかもしれませんね。
    次、どのSFを読もうかなーって、いろんな人の感想を読んでいてイヤになってきたっていう面はあったんで。
    あと、誤解しないでほしいんですけど、『星を継ぐもの』はとっても面白かったです。
    ある意味、2部、3部を読んでないから、SFにはっちゃけられない面もあるのかな?(笑)

    > 日本のになると今度はラノベ風作品ばかりで自分としてはちょっと、というのもあります。

    ま、今の小説のマーケットはそこ!っていうのはあるんでしょうけどねー。
    でも、あまりにソコ中心すぎな気がしますよね。

    > 中井紀夫の短編集「ブリーフ、シャツ、福神漬」「山手線のあやとり娘」とかがひゃくさん好みじゃないかなあ。

    「ブリーフ、シャツ、福神漬」、アマゾンで見たら万単位の値段がついてました(泣)

    Re: miss.keyさん

    まあそんなものでしょうねえ。まだまだ宇宙は謎だらけですな。人間の精神世界の神秘の方が先に解明されちまうかもしれませんなあ。

    Re: ひゃくさん

    第二部と第三部の「能天気人間&異星人ソープ・オペラ」は見ていて楽しいのになあ(笑)

    最近はとんとSFも読まなくなってしまいましたが、今はSFを買うのはSFマニアがほとんどになってしまったので新刊はマニア向け作品しか売っていない、というのもありますね。

    日本のになると今度はラノベ風作品ばかりで自分としてはちょっと、というのもあります。

    だからミステリばかり読むようになってしまった(笑)

    SFとも怪談ともミステリともつかぬ、中井紀夫の短編集「ブリーフ、シャツ、福神漬」「山手線のあやとり娘」とかがひゃくさん好みじゃないかなあ。入手する機会があったら読んでみては。

    アステロイド帯の総質量

    大した事ないそうで。地球の様な大きな天体の残骸にはなりえないそうな。残念。

    NoTitle

    「星を継ぐもの」は、一昨年くらいかな?読んで。もちろんスゴク面白かったんですけど、3部作の次は読んでないですね。
    なんだろ?
    息が切れちゃったというのはありつつ、SF独特の臭みを敬遠しちゃったのかな?

    SFは青井さんの影響で1年くらい入れ込んだんですけど、なんだろう?SFって、所詮は、SFファンの、SFファンによる、SFファンのためのお話なんだなーって(笑)
    なんだよ?やたら理屈をこねまわしてるけど、その辺は怪談オタクと全然変わんないじゃんって思っちゃったと(爆)

    もぉ少し、範囲を広げてくれると面白いと思うんだけどなー。 ←エラそうですみません(笑)
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