東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ64位 ホッグ連続殺人 ウィリアム・L・デアンドリア

     ←「ミロクローゼ」見る →手斧を持ったサンタ
     これを読んだのは大学に入ってからである。名前は聞いていたが、64位というこの微妙な位置と、古本屋に入っていなかったことと、本屋の早川書房の棚は気安く買うには少々高価だった、という理由からなかなか読まなかったのだ。

     読む本を仕入れる古本屋で見つけ、MWAか、まあつまらないだろうけれど(嫌な男である)、ためしに読んでみるか、と読んでみたらべらぼうに面白く、デアンドリアを探した時には遅かった。せめて「マット・コブ」シリーズは全巻揃えておくんだった、と後悔したけれど後の祭りである。

     本書を評するときにいちばん興味の中心となるのはその大胆極まりなく、かつ説明されれば一ページで誰でもうなずくであろう強烈なトリックであるが、その内容を知った後でこの本を再読すると、この本がむしろ「キャラクター小説」として評すべきことに気がつくだろう。それほどまでに、名探偵ニッコロウ・ベイネデイッティ教授をはじめとする探偵側は魅力的だ。もうとにかく、カッコいいのである。捜査の進展とともに絵を描いて、「完成したら解決ということさ、アミーコ(友よ)」、と宣言し、謝礼の一部として、「逮捕前の犯人との二時間のインタビュー」を求める、教授のカッコよさと頼もしさと来たら、もうこたえられんのである。

     かくしてこれを読み終えたデアンドリアファンは、出ているという続編が和訳されるのを首を長くして待っていたのであるが、それがなかなか出なかった。「ウルフ連続殺人」というタイトルの続編が十数年後に福武書店から訳出されたときには、ミステリファンが大騒ぎしたものである。むろんわたしもどきどきしながら読んだわけであるが、早川が手を引き、コアなミステリファンがそろって落胆したのも無理からぬ話だな、と思った。

     だが、「ウルフ連続殺人」で落胆した人は、デアンドリアという作家の楽しみ方を大事なところで勘違いしているのではないかと思えてならない。あくまでもデアンドリアのやりたかったのは現代においてカッコいい名探偵をカッコよく活躍させることで、そのためにはトリックが残念でもさしたる問題ではないのだ。日本の某コナンくんがトリックやシチュエーションよりもキャラクターの面白さだけで話を進めているように、「ウルフ連続殺人」でもベイネデイッティ教授がカッコよく名探偵ぶりを示すからそれでいいのだ。だから早川でも創元でも論創でもいいから、早く未訳のシリーズ第三作「マンクス連続殺人」を和訳して発表するのだ。内容が駄作であろうことはうすうす承知しているのだが、わたしはベイネデイッティ教授の冒険譚を読みたいのだ。内田康夫あたりに支払う原稿料を少しばかり削って、なんとかならないもんかのう。くやしいのうくやしいのうギギギ。
    関連記事
    スポンサーサイト



    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    【「ミロクローゼ」見る】へ  【手斧を持ったサンタ】へ

    ~ Comment ~

    Re: 面白半分さん

    「東西ミステリーベスト100」では微妙な位置にありますけど、これは本物の傑作です。読んだときは、やられた、と思いました(^^)

    本格謎解きファンは読んで損はないでしょう。(^^)

    NoTitle

    私は読んでいないです。
    避けていたわけでなく入手できなかったからだと思うのですけど。
    そんなに強烈なトリックなのか、そして探偵役がカッコいいのか。
    これは気になりますね
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【「ミロクローゼ」見る】へ
    • 【手斧を持ったサンタ】へ