ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1983年(5)

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     修也は、毎日のように、学校からの帰り道でゲームセンターを窓から覗いた。「ゼビウス」は、窓から一番近い目立つところに、誰からも見える状態で展示されていたからだ。窓からデモ画面を見るだけでも、修也は心にときめくものを覚えた。

     たまには小遣いを握りしめ、「ゼビウス」を遊びに行くこともあった。たいていは浮遊要塞(『アンドアジェネシス』なのか、『アドーア・ギレネス』なのかについてはよく議論になった)にたどり着く前にやられてしまうのだが、修也は飽きずに五十円玉を機械に食べさせるのだった。

     そしてそんな平和な駄菓子屋を兼ねた田舎のゲームセンターにも、どうしようもない輩というものは現れるのだった。

     その日も、修也は、学校の帰り道で、友人と窓からゲームコーナーを覗いていた。

     ふいに傘をつかまれた。

     かかってきた言葉に、修也は目の前が真っ白になった。

    「おい、金あんだろ」

     そこに立っていたのは、中学生くらいの少年だった。

    「出せよ」

     考えることすらできなかったが、運がよかったのだろう。修也たちは傘を振り回し、夢中で、隣の洋服屋に飛び込んだ。

     洋服屋の主人は、修也たちのただならぬ顔と、ひん曲がった傘から、すぐに事態を把握したらしい。

     修也たちを連れて外へ出ると、少年どもを大喝し、追い払ったのであった。

     修也は周囲におびえながら家に帰り、当然のごとく、この折れ曲がった傘はどうしたのか、と親に問い詰められた。

     この恐喝未遂事件は、それからしばらくの間、小学校のPTAで大問題になったらしい。その結果として、修也たちの通う小学校では、「ゲームセンターおよびゲームコーナーに立ち入ること」が全面的に禁止であることの再確認と、その実施の徹底となって現れたのであった。修也が親から特にそれを厳しくいわれたのはむろんである。

     修也たちは困り果てたが、そんな中、突然、救世主のように「それ」がやって来たのだった。

     ひとたび姿を現した「それ」は、驚くべきほどの速さでまたたく間に子供社会に浸透し、さらには大人社会をも侵略し、日本のアミューズメント界を席巻し、さらには世界の常識まで塗り替えてしまうのであるが、まだこのときはそこまで未来を予測できる千里眼の持ち主はいなかった。

     1983年7月15日、任天堂、「ファミリーコンピュータ」を発売。定価14800円。同時発売のROMカセットは、「ドンキーコング」「ポパイ」「ドンキーコングJR.」の三本。

      『伝説』どころではない『神話』の始まりである。
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    ~ Comment ~

    Re: 宵乃さん

    了解です。近所のゲオを探してみますね~。

    Re: blackoutさん

    カツアゲをされるような歳は過ぎたけど、今は「オヤジ狩り」が怖いです(汗)

    わたしなんか襲ったって金なんか持ってないぞ(^^;)

    Re: ECMさん

    私が初めて買ったコンシューマーゲーム機は、「ゲームギア」です(笑)

    なにせMSX命でしたので。中途半端にヒネクレていたんでしょうね。PBと合わせ、廉価パソコンの王道を行っていました。もちろん徳間プログラムポシェットおよびMSX-FAN党員です(笑)

    Re: ダメ子さん

    カツアゲに二回ほど遭遇した経験からいいますと、

    あんなもの聞かなくなったということはそれだけ世の中がマシになったということです。

    ちなみにその二回とも金銭的ダメージをゼロで切り抜けました(笑)

    コツは、「泣き」と「貧乏感の演出」ですね(笑)。ひたすら「泣く」ことでいっさいの交渉が通じない感を演出し、それでもまだやってきたら、小銭しか入っていない財布を投げるんです。財布の中身は、相手に徒労感を感じさせる「五円」とか「三円」あたりがベストです(笑)。土下座でもなんでもしましょう。頭を下げることで金はかかりませんから。

    こういうことが日常生活でも徹底できていればわたしも財をなせたのでしょうが……世の中うまくいかんものです。(^^;)

    NoTitle

    ついにファミコンとうじょうですか!
    彼がこの衝撃に対してどんな反応を見せるのか楽しみです。

    ところで、今月もブログDEロードショーを開催します。作品は山田孝之さん出演の「その夜の侍」と「ミロクローゼ」。「鬚禿観察日記ヒゲハゲカンサツニッキ」のケフコタカハシさんからリクエスト頂きました。
    期間は12月16日(金)~18日(日)なので、よかったらまた映画を一緒に楽しみましょう♪

    NoTitle

    これ、カツアゲ中学生ですな完全にw

    ある意味平和な時代だったんじゃないですかねぇ
    その程度で済んでたわけなので

    今はその段階で止まらずに、リンチしてその様子をヨツべにうpしたりとか、うっかり息の根を止めちゃったから火をつけてあの世に送っちゃったとか、フツーにあったりしますからね(汗)

    NoTitle

     私が初めて買ったコンシュウマーゲーム機はマスターシステムでした。ファミコンは友人宅に行けばあったし、ひねくれものの私は、マスターシステムを購入したのでした。
     ファンタシースター面白かったなぁ。

    NoTitle

    そう言えばカツアゲとか聞かなくなりました
    ゲーセンで遊んだりしないせいでしょうか?
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