東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎日更新)
海外ミステリ68位 レベッカ ダフネ・デュ・モーリア
この文春の「東西ミステリーベスト100」のあらすじ解説中、最も意味不明なポエムが書かれた本。あの解説記事だけではどんな話なのかがさっぱりわからない(笑)。で、実物の本を見てみるとこれが分厚い書物で、しかも序盤の展開がゆったりとしすぎており、中学生のときに初挑戦したときには二十ページくらいでめげた。その後何度も挑戦したが、そのたびに二十ページくらいでめげるということを繰り返し、ようやく去年の秋に読み通すことができた。
「観てから読むか、読んでから観るか」というキャッチコピーが、昔、「2001年宇宙の旅」が封切られたときに書かれたそうだが、この「レベッカ」についても同様のことがいえると思う。ヒッチコックの映画を観てから読んだほうがいい。なぜなら、この「レベッカ」という小説は、『この小説はこういう小説だったのか!』ということがわかるのが、四分の三を読んだところであって、そこまで行きついて初めて、それまでの退屈なメロドラマに隠された伏線の意味がわかるという構成だからだ。それならば、上下二段組の長編を300ページ読むよりも、映画を二時間見たほうが楽である。そして、「そういう話か」と気づいてからの怒涛のような展開は、まさに息を飲むものなのだ。
今回再読して感じたことは、展開を知ってからこの小説を読むと、これがもう抜群に面白い小説だということである。退屈だと思っていた序盤と中盤も、じわじわとくるサスペンスを感じてもうたまらない。一日で読了してしまった。
作中人物のことについて触れると、それだけでネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、語り手の「わたし」ではなく、デンヴァース夫人の立場になってこの小説を読んでみるのも面白いかもしれない。
しかし、女性陣に対して男どもの情けないことときたら、やっぱりこの「レベッカ」という小説は、女性が書いた作品なのだなあ、と痛感させられる。都築道夫はウールリッチのサスペンスとこの「レベッカ」を比較して、「ウールリッチの書いた作品には女性的な優しさがあり、『レベッカ』には男性的な厳しさがある」と書いていたが、それは逆だろう。ウールリッチは男としての自らの幻想で女を優しく描き、デュ・モーリアは女性としての辛辣な視点から、情けない男どもを容赦せずに情けなく描いたのだ。
そうした意味で「レベッカ」は、ゴシック・ロマンというよりは、イプセン「人形の家」の正当な後継者なのかもしれない。それほどまでに、この小説の女性はタフだ。語り手の「わたし」だってその例外ではないのである。戦ってこその人生ぞ。
「観てから読むか、読んでから観るか」というキャッチコピーが、昔、「2001年宇宙の旅」が封切られたときに書かれたそうだが、この「レベッカ」についても同様のことがいえると思う。ヒッチコックの映画を観てから読んだほうがいい。なぜなら、この「レベッカ」という小説は、『この小説はこういう小説だったのか!』ということがわかるのが、四分の三を読んだところであって、そこまで行きついて初めて、それまでの退屈なメロドラマに隠された伏線の意味がわかるという構成だからだ。それならば、上下二段組の長編を300ページ読むよりも、映画を二時間見たほうが楽である。そして、「そういう話か」と気づいてからの怒涛のような展開は、まさに息を飲むものなのだ。
今回再読して感じたことは、展開を知ってからこの小説を読むと、これがもう抜群に面白い小説だということである。退屈だと思っていた序盤と中盤も、じわじわとくるサスペンスを感じてもうたまらない。一日で読了してしまった。
作中人物のことについて触れると、それだけでネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、語り手の「わたし」ではなく、デンヴァース夫人の立場になってこの小説を読んでみるのも面白いかもしれない。
しかし、女性陣に対して男どもの情けないことときたら、やっぱりこの「レベッカ」という小説は、女性が書いた作品なのだなあ、と痛感させられる。都築道夫はウールリッチのサスペンスとこの「レベッカ」を比較して、「ウールリッチの書いた作品には女性的な優しさがあり、『レベッカ』には男性的な厳しさがある」と書いていたが、それは逆だろう。ウールリッチは男としての自らの幻想で女を優しく描き、デュ・モーリアは女性としての辛辣な視点から、情けない男どもを容赦せずに情けなく描いたのだ。
そうした意味で「レベッカ」は、ゴシック・ロマンというよりは、イプセン「人形の家」の正当な後継者なのかもしれない。それほどまでに、この小説の女性はタフだ。語り手の「わたし」だってその例外ではないのである。戦ってこその人生ぞ。
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レベッカ、私は映画で見ました。
オカルト映画かと思って最初からドキドキして
最後はビックリポンでした!
見たのはモノクロだったので
もう一度カラーで見たいかな。
小説はどうにも長いから
短時間で最後がわかる映画を見てしまうんですよね(^_^;)
オカルト映画かと思って最初からドキドキして
最後はビックリポンでした!
見たのはモノクロだったので
もう一度カラーで見たいかな。
小説はどうにも長いから
短時間で最後がわかる映画を見てしまうんですよね(^_^;)
- #18355 えぐ
- URL
- 2017.01/23 10:39
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Re: えぐさん
それにブクオフの中古DVDコーナーにあったんだよなあ、「レベッカ」。あの時買っておくべきだったなあ。