東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    海外ミステリ70位 悪魔の選択 フレデリック・フォーサイス

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     中学時以来30年ぶりに読了。いやーおもしろいじゃんフォーサイス。たしかにトピックそのものはすでに時代遅れだけれど、第三次世界大戦ものとしては、抜群のリーダビリティを持っている。

     同時進行する複数のドラマが、「悪魔の選択」という焦点に絞られていくという構成の勝利だろうなあ。もっとも、そう期待すると、「悪魔の選択」が意外と地味なのでちょっと肩すかしを食うのであるが。日本なら、「ゴルゴ13」が出てくれば一発で解決するような話だし。だが、それを抜きにしても、その「バックグラウンド」が面白くてたまらん。まさに爆弾の上に腰かけているようなハラハラ感が味わえる。

     この小説を読んで、いちばん感情移入したのが、SIS所属の諜報部員であるアダム・マンローでもなければ、アメリカ大統領のウィリアム・マシューズでもなく、本来ならば敵方であるはずのソビエト連邦書記長、マクシム・ルージンであるというのがいやはやなんとも。彼に課せられた責任の重さを考えると、若干の狡猾さくらいは許してやれよ、と思わないでもない。そもそもこのくらいに悪知恵の働く人間でないと、国家の安全を任せるわけにはいかないのではあるまいか。

     対していちばん「もうどうにかしてくれこの男」と思ったのが、本書でもっとも過激なアマチュアのテロリストであるスボボダである。たぶんフォーサイスはこの男を作中の冒険小説パートの主人公として、ひとりの『英雄』として描きたかったのだろうと思うが、だとしたら失敗だろう。なんというかもう、迷惑極まりないやつなのだ。こいつのせいで死ななくてもいいやつが何人も死んでいる。こんなやつは銃殺刑でも生ぬるいといわざるを得ない。そういう感想を抱くのは、現代のわたしが「テロ」という行為にもううんざりしきっているからだろうな。

     フォーサイス見てきたような噓をつき、と詠んだのは内藤陳先生だったであろうか。まさにその感覚を味わった。発表当時に読んでいたら、それこそたまらなく面白かったのだろうと思うと残念である。

     結末もさして意外とも思わなかったのも残念かな。

     ウィキペディアで調べて愕然としたのだが、フレデリック・フォーサイスってまだ存命だったのか! 最新作が2008年か! なんとなく、「それってどうよ」という気がしなくもない。手法も題材も、完全に「20世紀の作家」だと思えてならんのであるが。
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