ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1983年(10)

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     液晶画面上にスコアが出た瞬間、修也は、ぞくぞくするほどの興奮を覚えた。

     スコア70点!

     ある意味、これは、修也が自ら望んで行った最初の作業であり、最初の報酬であった。そうだ。半日という時間をかけて、神経を使う仕事である入力を一心に行い、その褒賞として、爆発する敵と、70点のスコアとが画面に表示される。

     脳内麻薬物質、という言葉を修也は知らなかったが、もし、脳内の変化を分析できる計器があれば、そのときの修也は驚くほどのドーパミンを出していた、という観測結果を得られたのではないか。

     「バトロイド・バルキリー」は、ゲームとして見た場合重大な欠陥があった。敵を次から次へと最善のやり方で撃破しても、燃料切れで自機を失う以外のゲームオーバー方法が存在しなかったのである。

     この時代のゲームにはよくあることだった。不本意だったら自分でエンディングをプログラムして作ればいいのである。どう作ればいいのかはわからなかったが。

     朝食を食べ、修也は学校へ行った。帰ってきてから、また遊ぼう、と修也は考えた。学校へいる間中、修也は『自分のゲーム』について考えていた。思い出すたびに脳内にはドーパミンがあふれ出てくるのだった。

     本にはゲームがまだまだ載っていた。修也はそれを片端から遊んでいくつもりだった。新しくプログラムを入力するにはもとのプログラムをすべて消してしまわなければならないというのは残念だったが、しかたのないことだった。この時の修也はまだ外部記憶装置というものをよくわかっていない。



     PB-100のゲーム集が手渡されたころ、修也はまた、それとはまったく別のゲームの世界と遭遇した。

     デパートのおもちゃ売り場の一角にいきなりそれは現れたかと思うと、爆発的に増殖を始めたのだ。

     修也はそれと同じようなものを数年前にも見たことがあった。

     これまで遊んでいたすごろく系のボードゲームとは違い、高級感のようなものを思わせるA4版の箱。そこには一見プラモデルかと思わせるようなさまざまなイラストが描かれていた。それは前進する歩兵のイラストであり、火を吹く戦車のイラストだったりした。

     しかし中でも飛び抜けて多かったのは、『機動戦士ガンダム』をはじめとするSFロボットアニメやSF映画の美麗なイラストだった。箱の裏には精緻なバックグラウンド説明や絶妙な煽り文句が、これでもかとばかりに記されていた。スクラムを組むかのようにして大量にやってきたそれらは、シミュレーションゲームというジャンルの裾野を、大幅に拡大することに成功していた。

     いわゆるアニメゲームである。
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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    バッテリバックアップはあったのですが、カセットインターフェースは別売りだったのです。それが当たり前の世界で……(^_^;)

    今だったらフラッシュメモリに一発なんですけどね。時代は変わるもんです。

    Re: LandMさん

    やることをやりつくしたらなにもできず死ぬのを待つだけ、というゲームも、昔よくありました。なにしろ1KBという制約下でしたから(笑)。

    プログラムの1文字は血の一文字でもありましたね(笑)

    NoTitle

    全部消す(ToT) 厳しい……
    それをそういうものだと思って出来てしまうところが、時代ですね(^-^;

    NoTitle

    ああ、そういえば、昔のエンディングって質素でしたよね。
    ないものもありましたもんね。
    エンドレスゲームみたいな。。。
    そう言う流れだったんでしょうけど。
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