映画の感想

    「メトロポリス」見る

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     ブログDEロードショー企画の一環として見る。サイレントなので原稿を書く間のBGVにちょうどいいかな、と流したら見入ってしまった。最初から最後までむやみやたらに面白すぎる映画。

     なんだかんだいってもブリギッテ・ヘルムさんの映画である。聖女マリアも、悪女マリアも、ロボットマリアもそれぞれにメチャクチャ魅力的。いちおうヒーローであるフレーダー役のグスタフ・フレーリッヒさんがメーキャップのせいとはいえ「こいつ10まで数を数えることができるのだろうか」と心配になってしまうくらいのバカ殿のような面のため、よけいにブリギッテさんの美貌が引き立つという……フリッツ・ラング監督、ほかに二枚目俳優はおらんかったとですか。

     ロボットのマリアが悪女マリアに変身するシーンは今の目で見てもじゅうぶんドキドキできる。舞い踊る光線、ボコボコ泡立つフラスコ、特にロボットマリアを包むように上下する光の輪の演出は、1927年の映画ということを忘れさせる。もしこれが、「3Dスキャン」という技術を想定しての演出だったら、その予言力はまさに神がかり的である。

     労働者の町が水没するシーンのスペクタクルなんて、「イントレランス」のバビロン陥落のスペクタクルとは別の意味で、観客の度肝を抜いたことだろう。1927年の映画とは思えない。これでマッドサイエンティストの右手からレーザーガンでも出てくれば文句ないところだったのだが、当時はまだサイボーグという概念は乏しかったらしい。

     しかしやっぱりブリギッテ・ヘルムさんである。これがデビュー作とは信じられない。ついでに18であるとはとても信じられん。清楚でいてかつ妖艶、完全にほかの俳優を食っている。それにしてもラング監督、18歳の乙女にあんな変態的な踊りをさせたのか。きっついなあほんと。個人的に妖艶さでは、同じ18歳にして、「極道の妻たち」では岩下志麻がやるような役を「忠次旅日記 御用編」でやってのけた伏見直江さんのほうが勝っていると思うが。

     現存しているのが全体の70パーセント強というのがまことに残念な映画。誰か発見しないものだろうか。「裁かるるジャンヌ」も発掘されたそうだから、発見される可能性はゼロではないと思うのだが。

     SF映画ファンなら一度は見ておくべき傑作だ。人類の知的資産である。
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    ~ Comment ~

    Re: miss.keyさん

    いや、現実はSFを通り過ぎています。

    メトロポリスで主人公の男が叫ぶ言葉にこういうものが。

    「10時間労働というのは辛すぎます!」

    日本はまさにSFの先を行ってますな。とほほ。

    Re: かえるママ21さん

    今の世界というよりは、「手塚治虫が描いた未来世界」のモデルがこの映画です。それほどに後世にムチャクチャ影響を与えまくってます。これ以前とこれ以後のSF映画、というのはそれほど意味がないというか、「未来社会を描いたSF映画」はこの作品から始まる、というか。

    それほどまでの傑作です。絵空事を描くときも真剣になって描いてしまうドイツ人の生真面目さがよく出てますね。

    Re: 宵乃さん

    未来さがたっぷり詰まった特撮のことも思い出してください(^^;)

    マリアが立ち上がるところなんか、今見てもセンスオブワンダーを感じます。

    海外の方は、フィルムアーカイブが充実していたから今でもグリフィスの作品はじめ多数の作品が見られますが、日本なんてもうひどいもんです。何だよ15%しか戦前の作品が現存してないって(^^;)

    2001年も2010年も既に過ぎてもうた

    未来は意外と早く来た。しかし幸か不幸かSFには程遠い。携帯だけは予想を超えとるけどね。

    こんばんは

    SFファンなので見ておくべきですかね?
    1927年のSFですか?世界恐慌の前ですね。
    今の世界が未来世界になってるのかな?
    すごいです。その時代のSFかー。

    NoTitle

    おはようございます。
    好きですね~。確かにブリギッテさんのダンスは強烈でした。もはやそこしか覚えてませんが(汗)
    この作品に限らず、失われたフィルムの発見は映画ファンにとって悲願ですよね。
    2作品目もご参加ありがとうございました♪
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