映画の感想
「この世界の片隅に」見た
三カ月遅れだが土浦セントラルシネマで見てきた。
すごい映画だった。アニメファンをやっていてよかった、そんな二時間二十分だった。
本作は戦時下を舞台とした日常映画である。「戦時下の日常」を描いた映画ではない。「戦時下」は単なる条件設定にすぎない。ここで中心となるのはあくまでも「日常」なのだ。日常を日常として呼吸をするかのように描く、その困難な作業を、この映画は日本のアニメの技術と演出力のすべてを駆使して画面に焼き付けていく。
この映画が単なるノスタルジックな気分を喚起するだけであったらここまでわたしの胸を打つことはなかったろう。だが、この映画を見ている間、わたしはすずであった。すずというキャラクターに感情移入していたのではない。わたしは性別もなにもかも飛び越えて、戦中を生きた一主婦として呼吸し、飯を食べ、泣き、笑い、そして痛みを感じたのだ。
砲弾の破片はまさにわたしの周りを、わたしを殺すために降ってきて、時限信管がわたしの右手とともに大事な物のすべてを奪ったときは、わたしは放心する以外になにもできなかった。
どこまでも日常。どこまでも現実。
そしてこの日常感は、そのままでわたしたちの日常とリンクしているのではないか。すずが生きている日常はわたしたちの日常と地続きなのではないか。
そしてわたしたちもまた、日常に、家族と右手を奪われて、それでも日常を生きていくのではないか?
そんなことを感じた。
とにかく見ておくべき映画。すばらしい。
すごい映画だった。アニメファンをやっていてよかった、そんな二時間二十分だった。
本作は戦時下を舞台とした日常映画である。「戦時下の日常」を描いた映画ではない。「戦時下」は単なる条件設定にすぎない。ここで中心となるのはあくまでも「日常」なのだ。日常を日常として呼吸をするかのように描く、その困難な作業を、この映画は日本のアニメの技術と演出力のすべてを駆使して画面に焼き付けていく。
この映画が単なるノスタルジックな気分を喚起するだけであったらここまでわたしの胸を打つことはなかったろう。だが、この映画を見ている間、わたしはすずであった。すずというキャラクターに感情移入していたのではない。わたしは性別もなにもかも飛び越えて、戦中を生きた一主婦として呼吸し、飯を食べ、泣き、笑い、そして痛みを感じたのだ。
砲弾の破片はまさにわたしの周りを、わたしを殺すために降ってきて、時限信管がわたしの右手とともに大事な物のすべてを奪ったときは、わたしは放心する以外になにもできなかった。
どこまでも日常。どこまでも現実。
そしてこの日常感は、そのままでわたしたちの日常とリンクしているのではないか。すずが生きている日常はわたしたちの日常と地続きなのではないか。
そしてわたしたちもまた、日常に、家族と右手を奪われて、それでも日常を生きていくのではないか?
そんなことを感じた。
とにかく見ておくべき映画。すばらしい。
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こうの史代の作品はずっと追っかけてますね。
映画は見てないですけど。
あの作者は現代のヒロシマを伝える偉人だと思いました。
映画は見てないですけど。
あの作者は現代のヒロシマを伝える偉人だと思いました。
Re: ROUGEさん
これはすごい映画です。
お身体にお障りなかったらぜひ一度映画館で見ていただきたい傑作です。
ほんとです。
お身体にお障りなかったらぜひ一度映画館で見ていただきたい傑作です。
ほんとです。
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Re: LandMさん
これまで戦争映画は何本も見ていますが、この作品ほど砲撃音と爆撃音とに迫力がある映画を思いつきません。まさに、「人間を挽肉にするため」の音でした。
映画館でやっている間にぜひ一度ご覧になることをおすすめします。