ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1984年(2)

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     だが。

     修也もすでに小学五年生であり、春が来れば六年生になるのだった。

     ファミコンだったら自力で買えるかもしれない。

     すでに、あのファミコンにキーボードがつくらしい、という噂が流れていた。もしそれが正しかったとしたら、あの「マリオブラザーズ」のような、カラフルでスムーズな動きをするゲームが、自分でも作れるということではないか! だとしたら、それは家にある、使わせてもらっていないPB-100とは比べ物にならないほどすごいことなのではないだろうか?

     キーボードがいくらするかは知らないが、足しても『ぴゅう太』よりは安いであろう。おそらくは『ZX-81』よりも安いに違いない。さらに、そのキーボードは『日本語』まで扱うことができるはずだ、と修也は考えていた。PB-100はアルファベットしか使えないが、これだけ綺麗な絵が描けるファミコンならば、きっとどんなゲームでも作ることができるだろう。

     修也はそう考えるだけでわくわくしてきた。そのためには、むろん、あのPB-100でも持て余しているBASICを覚える必要があるわけだが、それは時間が解決してくれるだろう。たぶん。きっと。

     それからも、暇を見つけては修也はNの家に遊びに行った。テレビアニメでは「じゃりン子チエ」と「ドラえもん」が大好きだ、とNは語った。

     双葉社から出ていたコミックス第9巻を持って行ったとき、Nはたいへん喜んだ。修也はアニメが放送される前、スーパーで立ち読みし、「おいしいお好み焼きの作り方」を解説していた回が面白かったので買ってしまったのだ。当時の感覚としては、大人向けの漫画週刊誌に載っていた漫画の単行本を買うなど、とてもではないがほめられたことではなかったのだ。

    「実は」

     Nはいった。

    「ぼくも全巻持ってるんだ」

     修也は意外に思ったが、冷静に考えてみれば当たり前の話だった。Nには本屋で漫画を物色する、という当たり前のことができないのだった。

    「読むかい?」

     Nにいわれた修也は首を振った。修也には、今は「じゃりン子チエ」や「ドラえもん」よりもファミコンのほうがいくらか重要事だった。

     Nはちらっと寂しそうな表情を浮かべたが、やがてコントローラーを取り、修也とのゲームに付き合ってくれた。

     修也はNにファミコンで発売されるというキーボードと、それで作ることができるだろう素晴らしいゲームについて語った。

     Nは笑みを浮かべて聞いていた。
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    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    そして修也くんが作るゲームとは何であるのか、そもそも修也くんはゲームが作れるのか、続きはまた次回に(^^)

    NoTitle

    私もゲームは作ったなあ。。。
    まあ、それは大人になってからになったのですが。
    いつの時代でも、いつのご時世でも、
    少年心を忘れない。
    自分で作ったゲームはいつまでも宝物ですからね。
    (*^^)v
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