ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1984年(4)

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     そんな日常の中のある日。

     修也は本屋にいた。ごく普通の小学生男子にとって本とはマンガのことである。修也はもちろん、立ち読みをするためにそのコーナーに行ったのだが。

     ふと、雑誌の棚で足が止まった。何か引き寄せるものがあったのか。

     棚に山積みにされていた雑誌にちらりと目をやった。

     「マイコンBASICマガジン」というタイトル。表紙には、カラフルなパソコンゲームの写真がいくつも載っていた。

     修也は、それまでパソコンの雑誌には興味がなかった。二年前の、NHKの「マイコン入門」の印象がいまだに強くのしかかっていたからだ。十万円以上する機械の広告と、どこで売っているのかもわからないゲーム。なにをいっているのかわからない記事。だいたい……。

     修也はページを開いた。雑誌には別冊付録があり、それは外れないようゴムで止められていた。

     修也が開いたのはゴムが挟まれた別冊付録のページだった。そこには、「ペーパーアドベンチャーゲーム」の文字が躍っていた。

     なんだこれは、と修也は思った。

     B5判の雑誌の2ページにまたがり、数字がふられた細かい文字がびっしりと並び、いくつもの矢印と数字が書かれていた。ルールを読んでみると、数字1から始まる行番号の横に書いてあるのはゲームの一場面で、読み手は、その場面ごとに出てくるさまざまな行動を選択し、その行動で指示された行番号を読んで、自分がとった行動の結果を読み、さらにその場面で出てくる行動を選択し……という具合にして、作者の仕掛けたさまざまな罠をかいくぐり、敵を倒し、ゴールを目指すというゲームらしい。

     修也は1行目を読んだ。

    「1 道に大きな穴があいている。
     見る→49 ジャンプ→19 穴に入る→36」

     とりあえず見てみよう、と思った修也は49行を読んだ。

    「49 とても深そうだ。 →1」

     修也はふたたび1行目を読んだ。

     よし、穴に入ってみよう。

    「36 ゴロゴロ! 岩が転がって入口をふさいでしまった →65」

     どうしよう。修也は65行を読んだ。

    「65 道が三つに分かれている。
     左へ行く →125 真ん中へ行く→94
     右へ行く →76」

     修也はぞくぞくするような興奮を覚えた。

     ……これだ!

     ……こういうのがやりたかったんだ!

     修也は取りつかれたように数字を追い続けた。本屋にいられる時間内にはゴールにたどり着けそうもなかった。

     修也は雑誌を握り、レジへと駆け出した。
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    ~ Comment ~

    Re: きみやすさん

    我ながらおっさんホイホイもいいところの小説で(笑)

    構想ではさらにマニアックに(笑)

    NoTitle

    こんばんは~。すごく楽しく読ませて頂いています。
    ベーマガからゲームブック。
    もう笑いが止まりません。

    Re: miss.keyさん

    最近では、あのゲームブックブームの時に中高生だった人間が大人になりいくらか余裕も出てきて、好事家向けに過去のゲームブックが再版されたり、新作が発売されているようです。ほんとにマニア向けの趣味になったせいか、新書版のうえに値段も2000円クラスという、ほんとにマニア以外誰も買わない(笑)。アナログゲーム専門のホビーショップなんかによく売ってますね。アマゾンでも買えますよ。

    Re: 椿さん

    とりあえず、きのう一日原稿も書かずサイトと取り組んでいたらだいたいわかってきました。

    連休中にでもチャットルームにいらしてくれれば(^^)

    当たりハズレが極端

     ゲームブックはハズレを引くともう大変。何を選んでも行き先が同じになってしまう。時に、ゲームブックって今でも有るんですかね。

    NoTitle

    おお……TRPG、興味はあるけどやったことないんです。
    良かったらぜひお声がけくださいませー。
    よろしくお願いします。

    Re: ECMさん

    そういうサービスもあったのですか。「悪魔のホスピタル」というゲームが記憶にありますが、あれはQ2だったかな。

    当時も当時でありとあらゆる手段がつかわれてましたしねえ……。

    NoTitle

     いやさすがにダイヤルQ2は請求書でばれるので、通常回線の通話料のみの電話番号でした。
     うちは黒電話だったのでダイヤルがめんどうでしたなぁ(笑)

    Re: ECMさん

    懐かしのダイヤルQ2ですね。

    あれ、一度ハマると、ものすごい額の電話代の請求書が来るので、その金でゲームソフト買ったほうが安かったという(笑)

    なんだかんだいってバブリーな時代の発想で作られたゲームでしたなあ。(^^)

    NoTitle

     テレフォンアドベンチャーならやったことがあるのですが、ペーパーアドベンチャーは、漫画のパソコン入門しかやったことがないですなぁ。
     固定電話しかなかったので、プレイは親のいない時間帯にやってました。(笑)

    Re: 椿さん

    この当時の資料をひっくり返していたら、無性にTRPGがやりたくなってしまい、オンラインでTRPGができるチャットルームに登録してしまいました。

    https://trpgsession.click/

    まだ使い方をよく把握していないのですが、把握したら試しにやってみませんかTRPG? システムは、「火吹き山の魔法使い」でおなじみの、「ファイティング・ファンタジー」です。その界隈では「史上最もシンプルなルールのTRPG」と呼ばれていますから初心者も安心(^^)

    NoTitle

    私も初めてゲームブックを見た時はすごくテンション上がりました(笑)
    たまたま行った親の故郷の書店で、海外物の翻訳のゲームブックシリーズがズラーっと平積みされてて、この世にこんなものがあるんだっ! これ絶対面白いぞ! って思いましたね。

    そんな私は今もノベルゲー大好きです。
    ……あの形式は情報量が多くないとね……(^-^;

    Re: LandMさん

    あれをブログで再現できないかとやってみましたが、ブログ向きではない表現様式のゲームですな(^^;)

    エクセルでマクロが組めると作りやすいんでしょうけど、今はほぼ手作業ですからねえ。

    NoTitle

    あ、懐かしい。(⌒‐⌒)
    ゲームじゃないですけど、ゲームブックにははまりましたねー。
    いまでも、解決警部で使ってますです。
    (。^。^。)
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