ゲーマー!(長編小説・連載中)
1984年(9)
それでも、続々と発売されるファミコンのゲームがべらぼうに面白いことは修也でも認めざるを得なかった。
「ドンキーコング3」「ギャラクシアン」といったアーケードの人気ゲームが移植されたのも大きかったが、この1984年のファミコンのゲームソフトで、ゲーム界に衝撃を与え、人気を不動にした立役者は、なんといっても、ハドソンの移植した「ロードランナー」と、ナムコが移植した「ゼビウス」というふたつのキラータイトルである。
どちらも、ファミリーベーシックで幻滅していなかったら、修也もファミコンのユーザーになっていたであろうというほどの魅力に満ちていた。
「ゼビウス」についてはこれまでさんざん語ってきたように、アーケードでの発表以来常に人気のトップを走っていたゲームである。その、現役でありながら「伝説」になりつつあったゲームが、家庭で遊ぼうと思ったら、パソコンに20万円も投資しなければならなかったゲームが、わずか14800円のファミコンで動くのだ! あの美しいグラフィックがそのままで動くのだ!
そして「ロードランナー」は、はじめて一般の家庭にやってきた、アクションパズルゲームだった。ひとつひとつのステージに、謎と罠とがイヤというほど詰め込まれ、全50面をノーヒントでクリアするのは至難の業だった。
さらに、この「ロードランナー」にはプレイヤーのやる気を刺激する機能までついていた。エディットモードである。
キーボードを使わずとも、コントローラーを操作するだけで、自分で好きなように画面をデザインすることが可能なのだ! 自分で画面を作り、罠を張り、それを突破しようと友人たちが苦労するのを見るのは、いわくいいがたい快感があったし、友人が趣向を凝らして作った罠をかいくぐってステージクリアをするのは、さらにいわくいいがたい快感があった。
修也はただただ圧倒されるばかりだった。
それは、修也の中でひとつの、よくいえばユニークな考え方であり、悪くいえばねじ曲がった偏見をはぐくんでいった。
『ファミコンなんかでここまで面白いゲームができるならば、もっと自由なパソコンでは、もっとはるかに面白いゲームができるに違いない』
その手掛かりは、修也の買ったベーマガにすでに載っていた。
PB-100よりも一世代前のプログラマブル関数電卓FX-702P。そこで発表された、修也がこれまで聞いたこともないタイプのゲーム、「異世界ファリナ」。異世界を旅し、怪物を倒し、武器を整え、傷を癒し、悪の手に落ちた姫を救出しようとする……。
それは修也が初めて目にする「ロール・プレイング・ゲーム」だった。
「ドンキーコング3」「ギャラクシアン」といったアーケードの人気ゲームが移植されたのも大きかったが、この1984年のファミコンのゲームソフトで、ゲーム界に衝撃を与え、人気を不動にした立役者は、なんといっても、ハドソンの移植した「ロードランナー」と、ナムコが移植した「ゼビウス」というふたつのキラータイトルである。
どちらも、ファミリーベーシックで幻滅していなかったら、修也もファミコンのユーザーになっていたであろうというほどの魅力に満ちていた。
「ゼビウス」についてはこれまでさんざん語ってきたように、アーケードでの発表以来常に人気のトップを走っていたゲームである。その、現役でありながら「伝説」になりつつあったゲームが、家庭で遊ぼうと思ったら、パソコンに20万円も投資しなければならなかったゲームが、わずか14800円のファミコンで動くのだ! あの美しいグラフィックがそのままで動くのだ!
そして「ロードランナー」は、はじめて一般の家庭にやってきた、アクションパズルゲームだった。ひとつひとつのステージに、謎と罠とがイヤというほど詰め込まれ、全50面をノーヒントでクリアするのは至難の業だった。
さらに、この「ロードランナー」にはプレイヤーのやる気を刺激する機能までついていた。エディットモードである。
キーボードを使わずとも、コントローラーを操作するだけで、自分で好きなように画面をデザインすることが可能なのだ! 自分で画面を作り、罠を張り、それを突破しようと友人たちが苦労するのを見るのは、いわくいいがたい快感があったし、友人が趣向を凝らして作った罠をかいくぐってステージクリアをするのは、さらにいわくいいがたい快感があった。
修也はただただ圧倒されるばかりだった。
それは、修也の中でひとつの、よくいえばユニークな考え方であり、悪くいえばねじ曲がった偏見をはぐくんでいった。
『ファミコンなんかでここまで面白いゲームができるならば、もっと自由なパソコンでは、もっとはるかに面白いゲームができるに違いない』
その手掛かりは、修也の買ったベーマガにすでに載っていた。
PB-100よりも一世代前のプログラマブル関数電卓FX-702P。そこで発表された、修也がこれまで聞いたこともないタイプのゲーム、「異世界ファリナ」。異世界を旅し、怪物を倒し、武器を整え、傷を癒し、悪の手に落ちた姫を救出しようとする……。
それは修也が初めて目にする「ロール・プレイング・ゲーム」だった。
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Re: 黄輪さん
黎明期というより、FCが出てからSFCが出るまでの間は、日本のゲームにとっての「青春時代」だと思っています。SFCが出て、98がほぼ全国制覇を終えて、ようやく「成熟期」に入った、そんなように考えるのです。それまでのソフトハード両面においての群雄割拠ぶりときたらそりゃあもう……ってご存知ですね(^^)
Re: ECMさん
当時の国産機でウィザードリィが動くPCは存在しませんでした。国産機ユーザーは悔し涙を噛み殺しながら「ザ・ブラックオニキス」をプレイしていたのです。
そんな中、風穴を開けるようなすごい奴が、アーケードで夏に、PCで年末に登場します。そのふたつの作品が、日本のRPGの方向性をほぼ決定してしまうのですが、その話はまた後日、というより今書いてます。泥縄(^^;)
そんな中、風穴を開けるようなすごい奴が、アーケードで夏に、PCで年末に登場します。そのふたつの作品が、日本のRPGの方向性をほぼ決定してしまうのですが、その話はまた後日、というより今書いてます。泥縄(^^;)
NoTitle
あー。汎用タイプと専門特化タイプに求められるスペックは全く違うのですよね。大人にだって知らない人が多いことなのですから、そう思ってしまっても無理はない。
逆に大多数の人は知識がないからこそ「ファミコン買ってみよー!」と思えたのかもしれないですね。
……今、世の中を見てもファンタジー好きの人がとりわけ多いと思えないのに、なぜドラクエはあの時あそこまで爆発的に流行したのかがすごく不思議な自分です(^-^;
逆に大多数の人は知識がないからこそ「ファミコン買ってみよー!」と思えたのかもしれないですね。
……今、世の中を見てもファンタジー好きの人がとりわけ多いと思えないのに、なぜドラクエはあの時あそこまで爆発的に流行したのかがすごく不思議な自分です(^-^;
NoTitle
物心付いた時から僕の右親指にゲームだこがあるのは「ゼビウス」のせいです。
PCプラットフォームのゲームも、RPGが出てからが黎明期な感じですね……。
PCプラットフォームのゲームも、RPGが出てからが黎明期な感じですね……。
NoTitle
RPGですか。
当時のRPGといえばウィザードリィとかになりますかねぇ。
初めてやったRPGといえばファンタシースターです。
当時のRPGといえばウィザードリィとかになりますかねぇ。
初めてやったRPGといえばファンタシースターです。
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Re: 椿さん
FCで本格RPGができる、ということだけでバカ売れが確定だったところにあの内容ですから、そりゃあ売れるわな、と……。
そのころの修也くんときたら、もう中二病満開でヒネちゃってヒネちゃってたいへんだったのですが、その話はあとで(笑)
それに、あくまでもこの小説は、フィクションであり、特定のモデルはいません(笑)。