ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1984年(10)

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     世界初のRPGである「ダンジョンズ&ドラゴンズ」が1974年に発表されてから、この魅力的なゲームをパソコンに移植できないものか、という試行錯誤は行われてきた。そしてそれは、海外においては一種の完成形を見せていた。1981年に発表された「ウィザードリィ」と、「ウルティマ」である。

     しかし、日本のPCに対する移植は遅々として進まなかった。言語の壁とPCの性能の壁は厚く、しかもアクションゲーム全盛の日本で、果たして売れるのかどうか、という懸念もあっただろう。

     1984年という年は、そうした日本のコンピュータRPGに関して、まさに「開港」の年であった。

     最初にその重い扉をこじ開けたのは、「ザ・ブラックオニキス」だった。極限までコンパクトにされわかりやすくされたウィザードリィとでもいうべきこのソフトは、複数のキャラクターによる戦闘、様々な敵キャラクター、疑似3D画像によるダンジョン探索、キャラクターの成長、ヒットポイントの管理、そして難解な謎と困難な最終目的といったRPGの押さえるべき要素をきちんと押さえており、少年ジャンプなどといった雑誌には特集も組まれた。

     「ザ・ブラックオニキス」は、ヒットした。魔法ルールとさらに巨大なダンジョンを追加した「ザ・ファイアクリスタル」という続編も発表され、それもまたヒットした。

     日本ファルコムは「ドラゴンスレイヤー」という、一種のアクションRPGを発表した。膨大なギミックと、当時のソフトの常識をはるかに超える種類の敵キャラクターが登場するこのゲームもまた同様にヒットした。

     そして夏には、アーケードゲームにRPGが登場するまでになる。日本におけるファンタジーゲームの方向性を完全に決定してしまったそれは、まさに革命的ともいえるゲームだった。

     ナムコ「ドルアーガの塔」。全60面という、アーケードゲームとしては暴挙とも呼べる巨大なダンジョン(正確には塔を登るわけであるから『地下』ではないが)と、各階にひとつずつ、神経症的に配置された宝物。宝物はそのひとつひとつに意味があり、60面をクリアしてヒロインを救出するには、宝物の内容を完璧に把握していないといけないという凝りようであった。例えば1面の宝物である「カッパー・マトック(銅のつるはし)」を出すには、グリーン・スライム3匹を殺せばよく、そしてこの宝物の効果は、使うと壁のひとつを破壊することができる、という具合である。

     そしてこの難解すぎるほど難解なゲームが、これまでのアーケードゲームとは別な意味で難しいゲームを求めていた当時のゲームファンの心をわしづかみにし、大ヒットを記録するのである。60面をクリアできたものは、まさに英雄扱いであった。
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    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    わたしはあまりにもヘタクソすぎて、宝箱の出し方は覚えたものの、1面のグリーンスライム3匹を倒すことすらまともにできず、アホらしくなって「ゼビウス」や「スターフォース」で遊んでました。そういやスターフォースも革新的なゲームでしたのう。ずずず(渋茶をすする)

    Re: 椿さん

    宝箱の出し方に「1プレイヤー・ボタンを押す」などというやりすぎなものもあったくらいに、ドルアーガの塔は無茶なゲームでしたが、なんというかもうすごいのは、ゲームが登場した翌月のベーマガには、「全国90人の皆さん」が60面クリアして名前が載っていたことでしょうな。

    2年後の86年には、このゲームの続編として、「リターン・オブ・イシター」という、ナムコが総力を結集した、アーケード機でやるコンピュータRPGとしてはある意味究極なゲームが出てそれなりにヒットしたのですが、あまりにも「やりすぎ」なゲーム内容ゆえか、それともマニアばかり遊んで儲からなかったせいか、アーケードでここまで無茶な謎解き型RPGは見たことがないです。

    NoTitle

    お、やったことあるゲームだ!!
    ・・・・3面までしかクリアできなかったけど。。。
    ( 一一)

    NoTitle

    全部超有名タイトルなのに全部やってない悲しみ(^-^;
    ウィザードリィやウルティマはやりたかったな……

    アーケードは基本やらない主義なのでドルアーガはスルーだったのですがそんなすごいゲームだったのですか。ナムコ攻めたなー。
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