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    ゲーマー!(長編小説・連載中)

    1984年(12)

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     29800円!

     センセーショナルと表現するにはあまりにも極端な価格であった。

     まず、MSXがいかなるものかから説明する必要があるだろう。MSXとは、日本独自の、パソコンの統一規格のことである。ハードウェアとソフトウェアを公開し、廉価な部品でも作ることができるようにすることによって、各メーカーの自由な参入を促し、国民の間にパソコンを根付かせよう、という壮大なプロジェクトだった。

     松下、ソニー、サンヨー、日立、東芝、ヤマハ、富士通……様々なメーカーが参入した。ソフトの面でも、発起人であるアスキーをはじめとして、様々なソフトハウスが参入していた。アスキーが発行した専門誌「MSXマガジン」には、毎号様々なゲームのみならず、様々な周辺機器、実用プログラムなどの広告が踊り、他のいわゆる「ゲームパソコン」とは一線を画した形になっていた。

     おそらく、MSX各社の仮想敵は、ファミコンではなく、NECのPC-6001シリーズであったろう。他のゲームパソコンに比較して1ランク上の、6~7万円といった価格設定と、メインRAMを最大64KBまで拡大可能なことや、フロッピーディスクドライブにプリンター、漢字ROMにFM音源といった充実した拡張機器は、明らかにPC-6001シリーズのシェアを奪うためにあるものだった。

     だがそれが一気に29800円である。メインRAMこそ規格の最低水準である8KBでしかないが、拡張性については他のMSXと同じなのだ! そして、ソフトについても、それまでにMSX用ソフトとして発売された膨大なソフトがすべて動くのだ!

     例えばそのときの電波新聞社が出していたMSX用ソフトを見てみよう。ギャラクシアン、パックマン、ラリーX、ボスコニアン、ワープ&ワープ、ギャラガ、タンクバタリアン、マッピー、キング&バルーン、エクセリオン……電波新聞社だけでも、それらのソフトがすべて動作するのだ。29800円の機械で!

     将来はプログラマーになりたい、と考える人間にとって、この超廉価パソコンは、福音そのものであった。本体だけでなくディスプレイも必要とし、それらだけで15万円の予算を見込まなくてはならないPC-6001mk2やPC-6601は、よほどのNEC支持者しか買うものではなくなっていた。シャープのMZ-1500シリーズもほぼ同様である。また、ぴゅう太やMAXMACHINEはもちろん、ソードのM5、バンダイのRX-78、セガのSC-1000といった他の3万円台の価格帯の機械も、PV-7とファミコンとに市場を奪われることになる。

     修也は考えた。MSXなら……MSXが本気を出せば……「ハイドライド」を自宅で遊ぶこともできるのではないだろうか?
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    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    いや、当時からゲームはけっこう高かった(^^;)

    当時の3800円はまだしも、9800円レベルとなるとそうおいそれと買えたものではなかったです。

    それがクソゲーだったときのショックと言ったらもう耐えがたいもので。

    もっとも、買えない人間は買えない人間で、400円程度のベーマガやプログラムポシェット、PIOといった雑誌を買って、プログラムをチクチク入力して遊んでいたのですけどね(^^;)

    Re: ECMさん

    せっかくQDという絶好の外部記憶媒体を持ちながら、それを単なるゲームの販売用としか活用しようとしなかった任天堂とディスクシステムをわたしは30年たっても許してません(^^;)

    MZ1500自体は憎からず思っていたのですが、あれでファミコンに対する敬意とかリスペクトとかが吹っ飛びましたよもう。

    この幻滅と落胆についてはのちに書きます(^^)

    NoTitle

    あのころのゲームは夢がありましたね。
    どこまで進化するのか。
    どこまで面白くできるのか。
    安くて、面白い。
    それがどこまでできるのか。
    それが夢と希望があったのですが。。。
    今は結構廃れてきましたねえ。。。

    NoTitle

    MZ1500にはクイックディスクがついていましたなぁ。
    クイックディスクは一枚500円だけど、その後の2Dや2DDのフロッピーのほうが安くなったという。

    Re: らすさん

    MSXでカセットテープでエロゲー……

    「聖女伝説」ですね。

    それしか考えられません。なぜならそのころは、グラフィック機能が飛躍的に向上しているうえに基本的にFDDも実装されているMSX2が発売されており、主なエロゲーはそっちのほうに行ってしまったからです(^^;)

    ちなみにそのテープが出たころ、うちの中学ではワルガキ連中がそのソフトをもってパソコンショップへ行き、ロードして、みんなで「さわれ」だの「なめろ」だのと大はしゃぎしていたそうですが、わたしはハブられて紳士だったので、そのゲームで遊んだことはありません(^^;)

    Re: 椿さん

    今は中古市場がやたらと発達しているから、インターネットにつなぐだけだったら29800円あればそれなりの性能のパソコンが買えるような気がする(^^;)

    完全オフラインでパソコンを学習するだけだったらなおのこと(^^;)

    NoTitle

    こんばんは('ω')

    MSXは中学の時に同級生が2人持ってました。
    それぞれのお宅で遊ばせてもらいましたが、
    一人は「ドラクエ」、もう一人はエロゲー専門でした。
    カセットテープみたいなのを読み込ませるのですが、
    それにものすごく時間がかかって遊ぶ時間がありませんでした(´Д`;)

    NoTitle

    29800円は破格ですね。
    そんなものが出ていたのか……。各メーカーが協力して廉価なものを作りパソコンを普及させようとしたというエピソードがいいなあと思いました。

    今の世の中にもそういう話はないものか(^-^;
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