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    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    日本ミステリ21位 占星術殺人事件 島田荘司

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     究極の一発ネタみたいなミステリである。メチャクチャ難解で複雑な様相を呈した事件のように見えて、補助線を一本引くことにさえ気づけば謎がするすると全部解けてしまうという、まさにマジック。ミステリを推理パズルとしか考えなかった坂口安吾に読ませて感想を聞きたいものである。「前半はダメだけど謎解きはいい」と評価するのではなかろうか。いや、安吾先生は謎をすっかり見破ってしまうかもしれぬ、などと妄想をたくましくするだけでも楽しい。

     本書を読んだのは、新本格がビッグバンのように現れた、高校時代も終わりのことだった。当時国産の謎解き物をバカにして冒険小説ばかり読んでいたのだが、後輩が熱心に進めてくれたのである。感謝するほかはない。二段構えの読者への挑戦には腹が立ったが、解けないものはしかたがないのでページをめくり、あまりのシンプルな解答にのけぞったのが昨日のように思い出される。それ以来「このミステリーがすごい!」を参考に、図書館に通っては読んで、浪人生時代に模試の成績がメタメタになるという結果をもたらしたのだが、それは別の話である。

     まあそれから島田荘司の作品を古本屋と図書館を往復運動して読みふけったわけであるが、「眩暈」で「?」となり、「龍臥亭事件」で「これはもうアカンのとちゃうか」と思い、以降の島田荘司作品は読んでいない。

     まあ、「占星術殺人事件」や「斜め屋敷の犯罪」のような、どんなアホでも一ページで「ああそうか!」と納得してしまうネタをそう何本も人間が思いつくわけがないので、御手洗潔シリーズは、巻を追うごとに複雑でわかりにくいトリックになるか、単純だけど飲み込みにくいトリックになるか、単純だけど作中内の論理でも納得できないトリックになるかしてしまうわけであり、そこが2012年度版の新版「東西ミステリーベスト100」での島田荘司作品の評価に直結していると思うのだが、改稿版のあとがきを読んでみると、作者である島田荘司自身がその事実に無頓着である様子が如実にうかがえて悲しい。

     今は御手洗潔は占星術師をやめて大脳生理学などを研究していると風の便りの出版社販促ブックレットで10年前にチラ見したのだが、そんな御手洗潔など見たくはない。あいつは「占星術殺人事件」で書かれていた通り、躁鬱性の激しい占星術師として、怪しげなルンペン同然の生活を送っているべきであり、もしも御手洗潔は名探偵なのにあれではかわいそうだから、いくらか社会的身分を上げたほうがいいのではないですか、などという意見を具申した奴がいたのなら、そいつは身体を切断して、アゾートの材料にされた娘たちの欠落部分にはめてしまえばいいのだ、などといささか本気で思っている。
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    ~ Comment ~

    Re: 面白半分さん

    いいたかないけど、トリックメーカーとしての島田荘司先生は、「暗闇坂の人喰いの木」の「巨人の家」で終わっている気がするのであります。

    「奇想、天を動かす」も評価が高いけど、わたしはあれ好きじゃないんだよなあ……。

    Re: 椿さん

    「眩暈」、あれはカバーが一番面白かった。本文よりも(笑)

    本格新本格社会派と、島田荘司先生は何をやるにしても本気すぎたんでしょうね。それが変な方向を向くと小林よしのりみたいになるんだけれど、まあ、公平に見てよく頑張ってると思います。

    あと「水晶のピラミッド」はなんとかならんかったんか。大風呂敷的には「暗闇坂の人喰いの木」くらいのインパクトはあったのになあ。

    NoTitle

    "どんなアホでも一ページで「ああそうか!」と納得してしまうネタ"
    これに出会うのが本格を読む喜びの一つかもしれません。

    確かに一人でそんなに思いつけないだろうなあ。

    NoTitle

    これは読みました。いろいろな意味で衝撃的な作品でした。
    「眩暈」は確かにクラクラくる話だったのを覚えています……(私もその辺でやめました)
    御手洗潔シリーズは何冊か読んだと思いますがやっぱり最初の「占星術殺人事件」が一番すごかったですね。
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