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    映画の感想

    「野良犬」見た

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     今回のブログDEロードショーはミステリー映画特集だそうである。というわけで、「天国と地獄」と並ぶ、黒澤明による刑事ドラマの古典的名作「野良犬」を見ることにした。こういう時でもなければ見ない映画である。

     というわけで見たのだが、刑事もの、というよりも、

     「三船敏郎がイライラしてくるのを愛でる映画」(笑)

     であった。黒澤監督としては、「戦後派を代表する二人の青年が精神的に追い詰められていく」過程をドラマにしたかったのだろうが、三船敏郎のスター性が際立ちすぎていて、「三船敏郎を愛でる映画」以外の何物でもなくなっている。相棒となるベテラン刑事の志村喬も、善人面をしながら効果的に三船敏郎の急所にパンチを当てていて、いや実に楽しい。

     そもそも三船敏郎演じる村上刑事がピストルを掏り取られたことに気づくシーンからして、ブラック・ジョークの極みみたいなものである。そこから事態がどんどんと悪くなっていくのを、若者である三船敏郎は悩みに悩むが、自分だけでは効果的なことはなにひとつできない。かえって捜査を混乱させる始末。そんな無力な三船敏郎が、見ているとなんかこう可愛くなってくるのだ。

     もしかしたら、タイトルの「野良犬」とは、どんな逆境にもくじけないでタフに生き抜く男ではなくて、世間に対してなんのアクションもできずに、雨に打たれながらみかん箱の中でキャンキャン鳴いている捨て犬のようなものをイメージしているのかもしれない。それは犯人もまた同じである。「戦後」という現実に対して何もできないでいる哀れなほどに無力で傷つきやすい若者たち。

     それを強引に、軟弱な世界に対峙するタフで強烈な刑事の話に読み替えたのがあの映画とあの刑事らしい。なんでも、あの映画にはこの「野良犬」という作品が大きく影響を与えているそうなのだ。福音館書店で出ているあの絵本から名前がついたとしか思えないあの刑事。

     そう、「どろんこハリー」じゃなかった、クリント・イーストウッド演じる「ダーティハリー」ことハリー・キャラハン刑事である。日米野良犬対決、真の狂犬は果たしてどっちだ(笑)
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    ~ Comment ~

    Re: LandMさん

    作り手が思ってもいなかった視点からその作品を楽しむことができたら、そのときの快感たるや批評家以外には味わえないものでして(誰が批評家や(笑))

    NoTitle

    ああ、そういうのありますよね。
    本題は何なのか。
    主人公なのか。
    物語なのか。
    それを判別するのが難しい。
    いつもまにか、物語が主体になったり。
    いつの間にか、主人公が主体になったり。
    そこも物語の醍醐味ですよね。

    Re: 宵乃さん

    わたしも最初に本で知ったときには何かの見間違いかと(笑)

    ハリー・キャラハン刑事は最初からバンバン人を撃つとんでもない刑事だけど、「マジメ人間がキレて何をしでかすかわからない怖さ」は三船敏郎のほうが上ですね(笑)

    NoTitle

    この作品は切羽詰まった感じと主人公のギラギラした目が印象に残ってます。「ダーティ・ハリー」はこの作品にインスピレーションを受けたんですね。驚きました。
    見比べて狂犬対決するのも面白そうです!
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