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    映画の感想

    キラキラ☆プリキュアアラモードを振り返る

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     年末の今に至って、このどこに向かって進んでいるのかわからなかった「キラキラプリキュアアラモード」という番組の裏のメインテーマと、それが番組が始まってからいかにぶれていなかったかを思い知らされて愕然としている。

     間違っていなければ、今年のテーマは、「大切な人と別れたとき、人間はどうあるべきか」ということだろう。思えば、第一話から、いちかと母の別れだった。

     それからいちかは無数の人間と出会うことになる。キラパティのメンバーをはじめ、無数の「大切な人々」とだ。ではあるが、いちかはそうした大切な人々と「別れなくては」ならない。ひまりとも、あおいとも、ゆかりとも、あきらとも、最終的には別れなくてはならないのである。

     そうした「別れ」については、すでに「Go! プリンセスプリキュア」の結末がラディカルな形で描き出していた。その最終回では、全世界に散らばった四人が、再び巡り会うことができることを暗示して終わっていた(はるかたちが手にしていたキーの存在はそれの象徴であろう)。だが、この「キラキラプリキュアアラモード」という作品でもそうした「再会」が待っているか、再びキラパティを復活できるか、といわれたら、この脚本陣は、そういう結末にはしないのではないか、という可能性の方が高いと思われるのである。そこでは、「プリキュア」「キラパティ」という集団が、発展的解消を遂げること、それ自体がいちかたちの成長である、と描かれるのではないか。

     そうなってくると、ノワールたちがなぜ「黒のキラキラル」を集めるのかが問題になってくる。彼らの真の目的が何なのか、われわれの目の前にはまだ明らかになっていない。

     おそらく、ノワールたちの目的は、世界から一切の「運動」をなくすことではないかと思われる。

     「キラキラル」は創造のエネルギーであろう。そのネガティブな形でのエネルギーの象徴が、「闇のキラキラル」である。「闇のキラキラル」の本質が単純な「破壊」ではないところが、本作の焦点ではないだろうか。光にしても闇にしても「キラキラル」自体は、創造のエネルギーであり、同時に対立する「キラキラル」に対しては破壊のエネルギーでもあるのだ。そうしたゾロアスター教的な二元論により「運動」が説明される。「運動」とはすなわちヘラクレイトスが唱えた「万物流転」である。ノワールの部下たちは、いずれも「運動」「万物流転」の結果として、「大切な誰か」と別れたことにより精神にダメージを受けたものたちばかりである。

     エリシオの語っていた言葉が、彼らの目的を、少なくともエリシオがやりたかったことを如実に表している。「光と闇のどちらか一方に染めることができれば」、もしそれが可能ならば、光の側からの創造と破壊は存在しなくなり、世界から「運動」自体が消滅する。「二人はプリキュアMaxHeart」や「スマイルプリキュア!」で示されたような、「みんないつまでもいっしょだね」というハッピーエンドが固定化される世界が現出するのだ。

     つまり、今回のプリキュアたちが戦わなければならないのは、「ハッピーエンド」それ自体なのである。常に生成し、流転を繰り返す世界には、「エンド」それ自体が存在しないし、するべきではない。物事が百パーセントハッピーかつパーフェクトに終わったとしても、終わった後も人間は生きて死んでいかなくてはならないのであり、その結果として、人間は無数の「大切な人との別れ」を甘受しなくてはならないのだ。

     「スマイルプリキュア!」からよくもここまでテーマ的に成長したな、と思わざるを得ない。

     問題はそれが「プリキュア」というフォーマットの中で処理可能なテーマかどうか、であろう。現在のところ、このテーマは、「キラキラプリキュアアラモード」という番組の中ではかなり消化不良を起こしていると思わざるを得ない。「ハッピーエンド」という概念それ自体と対決するその結果を、「ハッピーエンド」にまとめなくてはならないのだ。「無数の別れがあるけれど、代わりに無数の出会いがある!」と、「プリンセスプリキュア」のはるかはいうであろう。だが、「キラキラプリキュアアラモード」においては、「『ひまりとの別れ』は『あおいとの出会い』でチャラになるべきものなのか、『あきらとの日常』があれば『ゆかりとの非日常』は存在しなくてもいいのか」、という問題を突きつけられることになる。『ひまり』は『ひまり』であり、『あおい』は『あおい』であり、それぞれに交換のきかない、特別な存在なのだ。

     今になって、キュアホイップがどうしてイチゴショートケーキでなければならなかったのかわかった。「一期一会」のシャレであろう。

     そうした一期一会を、「今この瞬間の取り換えの利かない特別性」を、この「キラキラプリキュアアラモード」がいかにして幼稚園児にもわかるような結末にするのか、今から最終回が楽しみである。喜劇となるのか、悲劇となるのか、それさえもわたしには想像がつかない。

     最終回の成功を祈る。
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    Re: blackoutさん

    ナースエンジェルりりかSOSは、前番組「赤ずきんチャチャ」をコメディとして演出して注目を浴びた大地丙太郎が監督に抜擢され、プロデューサーからそれを聞かされた大地監督が、冗談で「僕の初監督作品は、悲劇なんかどうですかね」といったところ、なぜかプロデューサーに「そうだ! 悲劇で行こう!」といわれ、本人も何が何だかわからないままに制作会議で「ガチガチの悲劇」として決定されてしまい、「こんなはずじゃなかった……」と思いながら監督したそうであります。

    プリキュアも完全ハッピーエンドが15作続いたわけだから、もしかしたら今年か来年あたり「ガチガチの悲劇」演出が来るかもしれないなあ……。

    NoTitle

    懐かしいですね

    ナースエンジェルりりか以外だと、愛天使ウェディングピーチとか、美少女戦士セーラームーンとかw
    あとは、魔法騎士レイアースですかなw

    妹がテレビで観てたのをそれとなく観たりしてましたw

    今思えば、どれもわりとシリアスな展開が多かったような気がします

    もしかすると、主人公が女性で、時代的に女性の社会進出、みたいなことが言われ出してたから、その辺りを焦点にしてたか?って気がしなくもないです

    過酷なオトコ社会へ勇猛果敢に立ち向かう、強く、しなやか、気高い、そして美しい女性、みたいな感じで

    Re: ECMさん

    新機軸とかいって「ナースエンジェルりりかSOS」みたいな真似をやってくる可能性も(ない(笑))

    NoTitle

     まあプリキュアはハッピーエンドと決まっているので、大胆な悲劇はないでしょうねぇ。
     キラキラプリキュアアラモードはどうなるか期待しています。
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