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    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    日本ミステリ42位 斜め屋敷の犯罪 島田荘司

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     これも「東西ミステリーベスト100」で知ってからなかなか読む機会がなかったのだが、浪人中、松戸の古本屋でノベルスを発見、大喜びで買い、読んだ。その時の興奮は今でも覚えている。たしか模試の前日だったかな。勉強そっちのけで読んだので、試験の結果はハレホレヒレハレになったが、本人は非常に満足であった。それ以来、何度読んだかわからない。不可能としか思えない事件なのに、それが補助線一本を引くだけで簡単に理解できる、シンプルで大胆で大バカにもほどがあるトリックは、「占星術殺人事件」と並んで、島田荘司ミステリのひとつの到達点といえよう。この脳髄がしびれるような感覚は、いわゆる「謎解きミステリ」が嫌いな人にもぜひ味わってもらいたい。

     と書けば終わってしまうんだよな、このミステリの感想。1985年版の「42位」というランキングは、まさにこの作品のためにあつらえたような位置である。2012年版の「21位」というのは、ちょっとひいきの引き倒し、という感が強いんじゃないかなあ。島田作品をそれほど読んでいるわけじゃないけど、なんとなく「占星術殺人事件」の縮小再生産、という感が強いのだ。そういいだすと島田荘司の本格ミステリ作品は全部がそうなってしまうけれども。21位にするんだったらその票を法月綸太郎にくれてやってもいいような気がするがなあ。

     この「斜め屋敷の犯罪」のいいところは、奇人としての名探偵・御手洗潔の真骨頂が読めるところだろう。この作品での御手洗の壊れ方と、ワトスン役の石岡和己のやけくそめいたフォローは読んでいて実に楽しい。御手洗潔は、以降「異邦の騎士」「暗闇坂の人喰いの木」「水晶のピラミッド」とどんどん抑鬱的かつおとなしくなっていって、小説からもユーモア成分がどんどん失われていく。冒頭からやたらと暗い「アトポス」や、石岡和己がひとりで事件に立ち向かう「龍臥亭事件」なんてもう、読んでるこっちがつらくなってくるような悲惨な出来であった。

     「占星術殺人事件」のところでも書いたが、やはり御手洗潔は、エキセントリックな占星術師として貧乏生活をさせておくべきではなかったかと思う。そんな社会的地位にとどまらせておけなかったのが島田荘司の作者としての内面的成長ゆえであるのなら、そんな内面の成長など犬にでも食わせておけばいいのだ。

     島田荘司ファンには失礼なことに、作品の内容とはまったく関連のない難癖ばかりになってしまったが、それもこれも「可愛さ余って憎さがナントヤラ」だと思って許してほしい。今回の再読でも読み始めたら夢中で読んでしまい、今は夜中の23時。明日は早く起きないといけないのだが。ああこの本好きにしかわからぬたまらぬ背徳感。うひひ。
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    ~ Comment ~

    Re: 椿さん

    読んでないとしたらこれ以上もったいないことはないです。

    屋敷が傾いて建ってるやつです。

    読んでたらたぶん、屋敷の見取り図を見ただけで「あれか!」とわかる作品(笑)

    どこの図書館にもあると思うので是非お探しを(^^)

    NoTitle

    御手洗潔はそこそこ読んだはずなのですがこの話は覚えていない……もしかして読んでいないのかな? シリーズで何冊か読み落としたものがあるようなのでそうなのかも。読まなきゃですね(^-^;

    Re: 面白半分さん

    イラスト一枚で説明されたときにはほんとにびっくりしました。

    でも、「異邦の騎士」以降はそういう「絵で見ればわかる一発トリック」にいいのが出てない気がします。後は「北の夕鶴2/3の殺人」くらい?

    「暗闇坂の人食いの木」の「巨人の家」のトリックなんかひどかったもんな(^^;)

    NoTitle

    これは大バカトリックがさく裂し楽しいです。
    初読の時は確かに脳髄がしびれました
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