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    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    日本ミステリ65位 ナポレオン狂 阿刀田高

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     これは中学生のときに、図書室にあるものを読んだ。ブラックで軽い短編集として面白く思ったのを覚えている。30年ぶりに再読。というかなぜ蔵書にないのだ土浦市立図書館。

     で、読んでみたわけだが、良くも悪くも、「ブラックで軽い短編集」だった。それ以上でも以下でもない。面白いのであるが、65位というのは過大評価ではないかとも思える。直木賞受賞の表題作はおいても、日本推理作家協会賞の「来訪者」などは、悪夢のようなやりとりを描いた恐るべきサスペンスであるのだが、「これならミステリを書いていた時の山田風太郎のほうがうまく料理するのではないか」と思えてならないのだ。

     そう考えると、「短編の名手」というタイプの人たちは、この手のベストをやると不利であるなあ。シリーズキャラクターでもいないと、「どれが面白いか」で票が分散するからだ。実績を考えたら、筒井康隆が入っているこのリストにも、星新一が入っていてもおかしくなさそうなのに、それがないのはちょっと納得がいかない。

     つまり、阿刀田高は「ナポレオン狂」という短編集を出したこと自体を評価されたわけか。「ナポレオン」と「狂」というこのふたつの言葉を組み合わせたインパクト大なタイトルで、いつまでも読者の心の中に残り続けるということであるか。うーん、タイトルは重要だなあ。わたしの小説がちっとも評判にならないのも、インパクトあるキャッチーなタイトルを付けるのがヘタクソだからか……って違うよな。

     また、今回読んだ感じでは、阿刀田高が「オチ」で勝負するタイプの作家ではないこともよくわかった。阿刀田高の小説では、「オチ」自体よりも、「オチ」へ行くまでの、好んで脇道を歩いて行くようなトリビアを交えた語り口のほうがよっぽど面白いのである。その顕著な例が「ゴルフ事始め」だろう。あの小説、普通に小説を書いている人間ならば書いているうちに誰でも思いつく、「これはやめておこう」と考えるようなオチであるが、そのオチへもっていくまでのホラ話ぶりはまさに名人芸である。

     それだからさまざまなエッセイや、「新約聖書を知っていますか」などのうんちく本が書けたんだろうなあ。自分もうんちく本が書けるくらいの教養とエスプリを身につけたほうがいいのかもしれない。例えば「シミュレーションゲームを知っていますか」……ダメだ、読者になってくれる人間がひとりも思いつかん。この「東西ミステリーベスト100挑戦記」も、ブログの読者を減らす役割のほうがどうやら大きいらしいものなあ。しょせんはいばらの道か。とほほ。
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    ~ Comment ~

    Re: 匿名さん

    えーと、CPAP機器に、プラスチック爆薬と雷管と時限装置を取り付ければどなたでも簡単に……(笑)

    NoTitle

    おいおい、○のなかが、NGワードでした。このくらいいいでしょ!

    NoTitle

    CPAP殺○事件を書いて欲しいです。機械と症状の特性を悪用して、患者を○す、誰にでも簡単にできる方法を・・・・・(笑)

    Re: 鍵コメさん

    生きてますよ~。

    CPAPは単につけて寝るだけなので、何のドラマ性もないので、これって書く必要性あるのだろうか?と(^^;)

    Re: miss.keyさん

    あのオチだけはいつまでも忘れないもんですな(笑)

    これと、エレキシィなる薬にまつわる話と、締め切り間際でも原稿が書けない作家の話は、30年間忘れていませんから、阿刀田先生はやはり短編の名手ですなあ……。

    Re: 面白半分さん

    アベレージヒッターってだいたいそうですよね。

    2012年度版では、「法月綸太郎」が完全圏外だった、という、意外な結果が出ましたが、あの人もアベレージヒッターといえばそうですな(^^;)

    今日の段階で、日本編ベスト100のうち99%の再読が終了しまして、残りあと一冊、というところまで来たので、後はその一冊をいつ読みながら、一人祝杯を上げるかを考えてるところです。まあ、今後半年は、毎週の更新に困ることはないなあ、と……(笑)

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    ナポレオンの生まれ変わりのおぢさんは何処へ

     フグの干物(でしたっけ?)が届かないのは何故なんでしょう。江戸川乱歩の蝋人形ナンチャラと重なって見えますな。結構こういうユーモアは好きです。

    NoTitle

    読んだけど内容忘れてしまい印象うすいです。
    阿刀田さんや佐野洋さんあたりってそんな気がします。
    手堅いイメージの方がむしろそうかもしれないですね。

    さて
    食いついておりますので
    「東西ミステリーベスト100挑戦記」続けてください
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