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    映画の感想

    「僕の村は戦場だった」見た

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     アパートに帰って、笑点でも見ようとテレビをつけたら映らない。PCを立ち上げたらネット接続不能、電話をかけたらつながらない。要するにモデムが昨日あたりの落雷かなにかで壊れたらしく、そこにわれわれはネットに依存した現代社会の脆弱さを見るのである、なんちて。

     まあネット会社の対応は明日以降の話だろうが、正直それまで退屈だ。特に今晩。というわけで、図書館から借りてきていたタルコフスキーの代表作「僕の村は戦場だった」を見ることにした。こんな日でもなければ見る気がしないタイプの映画だし。

     で、見たのだが、胃袋にこたえる95分間だった。ソ連映画、容赦がねえ。この感性は、国土を焦土にして五年間も戦った国でないと生まれてこない。日本人が作ると「この世界の片隅に」程度のうらみつらみで済むが、もし、晴美ちゃんが悪鬼のような形相になって「自分なら女で子供だから敵陣の偵察に行けます」とか口走って砲弾飛び交い機銃掃射のうなる中、アメリカ軍陣地にナイフ片手に潜入する、というシチュエーションの映画があったら、われわれはリアルに感じられるだろうか。ロシア人にとってのあの第二次大戦の五年間は、まさにそういう毎日だったのであり、この映画はそーゆー映画として、そーゆー毎日を切り取っているのである。

     たしかにタルコフスキーの好む「水」の演出は冴えていて、画面はモノクロながらため息が出るほど美しいが、この映画のそういうところを褒めるのは、ちょっと違うのではないかと思える。愛国心昂揚映画と考えるバカは論外だ。

     この映画のキモは、若い頃にやんちゃして、やんちゃが過ぎて人を殺して服役して社会からはじかれて、今は孤独な中年になったようなやつが、若い頃のやんちゃぶりを思い出し、もうどうしようもない諦念でもって、「昔はおれも悪くて人をこの手で……」といってるような、そーゆー感覚の映画なのである。ばりばりの反戦映画である。いかなる意味であれ、実際に人を手にかけたやつでないと、あの映画の問題をリアルなものと感じることは難しいのではないか。

     戦後半世紀を、「形ばかりの反省」を貫き通し、内的な総括から目をそらし続け、あまつさえ自国の犯した戦争のいわゆる負の部分について指摘されると逆ギレする、盗人猛々しいレベルの被害者意識国民は見ないほうがいい映画である。

     もちろん、わたしの前段落の煽りを読んで、何クソ、と思う日本人はもう、積極的に見るべき映画であるのはいうまでもない。今のネトウヨさんの跳梁跋扈ぶりを鑑みると、正直、そーゆー人たちにしか未来への希望を託せない。別に反戦に染まらなくたっていい。厭戦程度でいいのだ。とにかく、日に日に不安定化しつつある、この極東のことを思うと、わが国の幼い世代が、骸骨みたいにがりがりにやせこけ、復讐心だけをもって機関銃の林の中に突っ込んでいくなんて光景など見たくないのである。

     まだ胃袋がもたれている。わたしは「惑星ソラリス」のほうが好きだな。
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    ~ Comment ~

    Re: blackoutさん

    ほかの入居者からも文句が上がったようですね、さすがに。

    まったくもう、共有の部分の電気料金も家賃に含まれているのになあ。

    NoTitle

    ああ失礼しました(汗)
    #19614 の名無しコメはblackoutでした

    NoTitle

    ああ、そういうことでしたか(汗)

    土地柄によるのでなんともですが、大家がんなことしたらほかの部屋の住民が黙ってない気がしないでもない

    Re: blackoutさん

    過電流じゃなくて、

    「大家が東京電力にアパート共有部分の電気料金を払うのをボイコットしたため怒った東京電力が共有部分の電気供給を停止し、割りをくってケーブルテレビのアンテナと、そこを利用しているわたしのモデムが使えなくなった」

    という笑えん事件だったことが判明、不動産屋に連絡して、そこから大家に圧力をかけてもらい、大家は東電に金を払い、テレビもネットもまた使用できるようになった、ということらしく……。

    家賃にはその共有部の電気料金も含まれているのに、それをガメようとしてしまった大家に正直怒ってます(^^;)

    でも大家に対して怨嗟や陰謀伴う破壊と殺戮のシンフォニーをぶつけてしまったら住む場所が……(^^;)厳しいところであります(^^;)

    NoTitle

    ええ、今はモデムやルーター、そして映像配信サービスのチューナーの電源を入れておけば、HDDに撮ってあった番組を、スマホやタブレットに移動させたり、観たい番組をリアルタイムで観れたりするような時代ですからねw

    ただ、大前提雷には弱いので、鳴ってるときはどんなに過電流対策をしてても、電源は切らないとってことですな

    ちなみに自分の場合、弾丸やミサイル飛び交う真っ只中で起こることよりも、その後の荒廃した世界を書く方が性に合うみたいです

    怨嗟や陰謀伴う破壊と殺戮のシンフォニーよりもその後の荒廃した世界を覆う虚無感と絶望、そして死の方に美を感じるみたいです
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