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    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    日本ミステリ85位 幽霊列車 赤川次郎

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     これも読んだのは大学に入ってからか。撃墜マークを増やすだけの目的で読んだ。古本屋で百円かそこらで買ったような気がする。そのころはまだブックオフがなかったせいか、ベストセラーで版を何回も重ねたような作品でありながら、見つけるのは骨が折れた。素直に新刊書店で買えばいいようなものだが、そこを古本屋の百均棚で探すのが、微妙なミステリファン心というものなのである。

     で、内容であるが、まったく期待しないで読んだためか、けっこう面白かった。ユーモア・ミステリということであるが、けっこう内容はホラーテイストである。起こるのは殺人事件ばかりだし。それに、赤川次郎、ミステリファンにはおなじみの「あれ」が好きらしく、本書の中でも二回も使っているのに当時は苦笑いした。「あれ」を使ったら、大抵の不可能犯罪は説明できてしまうからである。

     今回、実にひさしぶりに再読。半七捕物帳はシリーズを全作再読したが、さすがに幽霊シリーズを全部読む気にはなれない。なにしろ20冊以上出ているのだから。けれども再読したこの「幽霊列車」は、面白かった。

     読んで思ったのだが、赤川次郎が「ミステリ」で有名になったのは、単にそのころは「ホラー小説大賞」が存在しなかったからなのではないか。「マリオネットの罠」を読んだときも思ったが、赤川次郎のミステリで「論理ゲーム」や「トリック」は、いわば副次的な何かにすぎないのだ。狙っているのは、いかに読者を不穏な気持ちにさせるか、というホラーやサスペンスであり、魅力的な登場人物が明るく楽しくふるまう文章は、デビュー作が「幽霊列車」であったことによる副産物でしかないだろう。そのギャップが赤川次郎の場合は吉と出て、あのヒット作の連発につながったのだと思われる。

     だって「ところにより、雨」のメインの趣向、普通のミステリ作家だったらあんな料理の仕方はしないよ。「凍りついた太陽」の結末なんて、もろにホラーではないか。それが謎解きミステリとして読めるのは、ひとえに赤川次郎の文章がうますぎるからだ。

     これは、赤川次郎が「本腰」を入れて書いた純然たるホラーを読んでみるべきであろうか。でも、どの書評を見ても、「読みやすい」とか「それほど怖くない」とか「安心する」とかばかりなんだよなあ。赤川次郎ほどの腕ならば、ハーヴィーの「炎天」くらいの作品は十も二十も量産できそうな気がするんだけど。それか、濃厚な大長編だ。それまでのファンがビビっておそれをなして逃げてしまうような、きっついホラー小説、赤川次郎が書いたら、それこそ「このミス」の1位を取ってもおかしくないと思うのだが……。
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    Re: ひゃくしょん大魔王さん

    80年代のベストセラー作家で今もミステリ読者を震撼させられる可能性がある人って赤川次郎のほかに誰がいるかなあ……北方謙三は歴史小説家になっちゃったしなあすっかり(^^;)

    NoTitle

    >新本格サイドの人じゃないと思う
    それはおっしゃる通り!(^^)

    >むしろサスペンスホラー向きの作家
    それもその通りだと思います。

    >「牧歌的ユーモア」が売りの人
    まさに!

    >そこを捨ててガチで怖がらせに来たら、ものすごく陰惨なもの書く
    そう。書こうと思えば、いろいろ書けちゃう人なだけに(おだててw)新本格に一矢報いさせるようなのを書かせてみたいなーって(^^)/

    >ベストセラー作家の意地を見せる可能性
    そうそう(^^ゞ
    • #20109 ひゃくしょん大魔王 
    • URL 
    • 2019.05/12 16:40 
    •  ▲EntryTop 

    Re: 俺たちにひゃくはないさん

    そう考えると位置づけが難しい作家だな赤川次郎。

    新本格サイドの人じゃないと思うんですよね。デビュー作の「幽霊列車」からして「禁じ手」をオクメンもなく使ってくるし、正直、あのトリックが許されるなら、なんでもできちゃう。

    だからむしろサスペンスホラー向きの作家ではないかと思います。「牧歌的ユーモア」が売りの人ですが、そこを捨ててガチで怖がらせに来たら、ものすごく陰惨なもの書くんじゃないかなあ。

    「プロットで犯人を追う」小説しか書けなくなっちゃった西村K太郎先生よりも、ベストセラー作家の意地を見せる可能性があるんじゃないかといまだに信じてたりします(笑)

    NoTitle

    85位なんだ!
    これって。ふーん。
    な~んかビックリ(^^;
    ていうか、シリーズ20冊以上!?
    ほんまかいな?それこそビックリだ!
    ぜひファン投票によるベスト10で1冊出して欲しいもんだ(^^)/
    (とはいえ、ファンって誰だ?爆)

    たぶん、初めて読んだ赤川次郎ですね。これ。
    前にも書きましたけど、TVのドラマで(浅茅陽子の裸を)見て、本屋に買いに行った記憶があります(笑)
    で、これもやっぱり前にも書いたように思いますけど、ヒロインのイメージと浅茅陽子って、すっげぇー違和感を覚えた記憶が(-ω-)/
    浅茅陽子って、今となっちゃ何やってるの?って感じの人ではあるわけですけど、当時でも女子大生役っていうのは無理があるよーな?だったんでw

    しかし、ブリッツさんにして、今更読んでみて「面白かった」なんだなぁ…。
    それもビックリなんだけど、いや、確かに当時読んで面白かった記憶があるんだけど、じゃぁ(当時人気があった)「三毛猫ホームズ」を読もうとは思わなかったもんで(^^ゞ

    >赤川次郎のミステリで「論理ゲーム」や「トリック」は、いわば副次的な何かにすぎない
    それはそうでしょうね。
    当時、ミステリー小説マニア、というか当時だから推理小説マニアか?
    当時そういう人もいて、今みたいにこだわって読んでたというのもあるんでしょうけど、だからって今みたいに「本格物にこだわるオレ/わたしってカッコいいよね?」なんてーのは全然一般的じゃなかったですもんね。
    横溝正史ブームはこれより数年前だけど、横溝正史ブームの頃に横溝正史をコダワリを持ってミステリー小説(推理小説)として読んでいた人なんて、たぶんほとんどいなかったように思うんですよ。
    私自身、たんに面白い小説として読んだ記憶があるし。

    >赤川次郎が「本腰」を入れて書いた純然たるホラー
    結局、ホラーブームの前、それは80年代半ばのモダンホラーブームの前であり、その影響を受けた90年代初めのジャパニーズホラーブームの前に出てきちゃった人なんですよね。
    さらに言えば、80年代以前の四谷怪談みたいな伝統的なホラー(怪談)ともズレてるし。もちろん、90年代後半からの、いわゆる(アホバカ)実話怪談ブームとは月とスッポンだし(^^;
    もちろん、典型的な職業作家だから、ホラーを書いてと言われればいくらでも書ける人だと思うんですけど、結局書かなかったのは、どこかほのぼのとしたユーモアがある話を書きたい人なんじゃないですかねー。
    いや、わかんないですけど(^-^)
    確かにブリッツさんの言う通り、「炎天」的なのはパッパと書いちゃいそうな気はしますよね。
    ていうか、そういう意味じゃ、今風なコテコテな本格モノを書いてもらって。アマゾンのレビュー等で絶賛の嵐を浴びて、今のアホバカ新本格作家をギリギリ悔しがらせて欲しいなんて思っちゃうかなぁー(^^)v
    • #20101 俺たちにひゃくはない 
    • URL 
    • 2019.05/06 16:41 
    •  ▲EntryTop 

    Re: 椿さん

    すでに読んだことがわかっててもまだ面白い、というのはエンターテイメントの理想形ですね。

    でも今から20冊出てるやつに挑戦するのはちょっと体力的に疲れるかも……。(^-^;)

    NoTitle

    こんにちは。幽霊シリーズ、そんなに出ていたのですね。実はこのシリーズも読んでいないのですが。
    確かに今だったらホラーでデビューしていた方かもしれないですね。厳しい展開もなさる方ですし。
    赤川さんはもう卒業した気分でいましたが、この本は読んでみようかなあ……。
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