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    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    日本ミステリ88位 轢き逃げ 佐野洋

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     大学時代、古本屋で手に入れて読んだ。それなりに面白かったが、何となくぼんやりした感じを受けた。大学を中退してある程度してからまた再読した。それなりに面白かったが、何となくぼんやりした感じを受けた。今回読むのが三度目である。はたして感想はどうなるか。

     読んでみたが、うん、佐野洋先生、凝りすぎのうえ盛りすぎだ。普通のミステリなら長編を三つは書けるだけのアイデアと趣向を一冊にぶち込んでおり、意外な展開にびっくりできるが、同時に、自分が今追っているのが小説のどの筋なのかがわからなくなってきて曖昧模糊としてくる。文章がすらすら読めるため、自分の今持っている情報が、何と何と何なのかが把握できなくなってくるのだ。それがわたしがこの小説に対して抱いた「ぼんやりとした感じ」の正体だろうな。

     そんなアクロバティックなプロットをなんとか文庫本1ページにまとめようとした「東西ミステリーベスト100」の編集者の努力は認めるけど、この解説もちょっと書きすぎの気がある。ここでそれをばらしちゃいかんでしょ、という重要な事実をボソッと書いてくるのだ。この小説の一番の驚きどころをである。そこは迂回して、「前半はサスペンス・スリラー、後半は整然とした謎解き」と書くだけで別にいいじゃん。

     そういうところを考えると、完全に「マニア向け」の作品である。あまりに凝りすぎのため、普通の読者にはかえってその異様なまでのこだわりがわからなくなるかもしれない。作者の「凝り方」がよくわかるという点で、わたしは「一本の鉛」のほうをおすすめしたい。

     それにしても、近所のブックオフがあれほど簡単につぶれるとは思わなかった。本棚はぱんぱんだが、無理してでも、投げ売りしていた佐野洋の初期作品、まとめ買いしておくべきだったかもしれない。というか、小説の数が多すぎて、どれが傑作かよくわからんというのもあるからなあ。昭和のミステリめぐりが地獄になるのは、往々にしてこういう理由からである。

     図書館に行って、「本格ミステリ・フラッシュバック」を借りてくるしかないか。入手可能なミステリはベトコンだ。入手困難なミステリは訓練されたベトコンだ。ほんと、ミステリあさりは地獄だぜ。ヒャッハー。

     本の読み過ぎで壊れたらしい。精神安定剤、飲もう……。
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    ~ Comment ~

    Re: 秘密結社「ひゃくひゃくひゃく団」さん

    ハードボイルドは、単に探偵がカッコつけるだけではだめで、きちんと「意外な真相」を用意して謎解きミステリとしてもしっかりしていなくてはならないので、書くのは至難の業です。

    アンソロジー収録作はその中でも名作中の名作ばかりですから、つまらないわけがない(笑) 面白かったらそこから長編を読んでいけばいいと思いますよ~。

    NoTitle

    >「金属音病事件」
    あー、それ!確か。
    当時、本屋でそのタイトルを見て、「もしかしてこれは赤外音楽原作じゃないだろうか?」と、買おうか迷った記憶がります。
    ウン十年後、アマゾンで「赤外音楽」という原作があることを知って。さらにその作者が佐野洋だとわかって、「作者はあってたんだなー」と思ったっけ。

    >SFファンでも読んだ人、少ないんじゃないのかなあ
    当時の大人のファンは読んでたんじゃない。今みたいに毎月いっぱい本(ましてやSF)が出る時代でもなかったろうから。

    >薄い人はアマゾン使いますよね
    ブックオフは家の近くや行動範囲にないんですよね。わざわざ電車乗ってまで行く気しないし(^^ゞ
    ていうか、行く時もあるんだけど、例の1円の頃だったら、読みたかった本は大概アマゾンの中古の方が安かったし。
    今でもアマゾンの方が安い方が多いように思うけどなぁー。
    ていうか、そんなにブックオフ行ってるわけじゃないから、うまく掘り出し物に当たらないんでしょうね。

    あと、アマゾンの中古は状態が届くまでわからないところに、ある種のギャンブル性があって楽しい、というのもあるかな(^^♪

    >ベスト100読むのが大変でアンソロジー
    『昭和ミステリー大全集〈ハードボイルド篇〉 』。読み始めた所なんですけど、結構面白いです。
    ちょっと意外!(^^)/
    • #20124 秘密結社「ひゃくひゃくひゃく団」 
    • URL 
    • 2019.05/19 16:07 
    •  ▲EntryTop 

    Re: ひゃくしょん大魔王さん

    まあ佐野洋先生はSFプロパーじゃないから(^^;) 「金属音病事件」とか「透明受胎」とかいろいろ書いてるけど、SFファンでも読んだ人、少ないんじゃないのかなあ。もちろん自分も読んでません(^^;)

    ブックオフは「濃いマニアが本を安く買う」場所になっちゃったからなあ。薄い人はアマゾン使いますよね、家まで持ってきてくれるんだもん。最近では濃い人もアマゾン使うし。

    ベスト100読むのが大変でアンソロジーまで手を出している余裕ないっす……。

    Re: 面白半分さん

    まあ、わたしが行ったブックオフが、「閉店間際の在庫一掃」をもくろんでいたみたいで……。そうでもなかったらあんなに佐野洋が並ぶわけがない(笑) それでも、「一本の鉛」とか「轢き逃げ」とかの有名どこはたぶんせどりのアルバイトが抜いて行ったんだろうかありませんでしたねえ。閉店するならいっそブックオフも3冊百円とかやってくれれば喜んで佐野洋作品買ったんですがねえ(今からは何とでもいえる(笑))

    「本格ミステリ・フラッシュバック」は梶龍雄のすばらしさを教えてくれただけで神棚に備えたくなる本ですな。

    草野唯雄と大谷羊太郎はそれほどいいとは思わなかったけど(^^;)

    NoTitle

    佐野洋といえば、『赤外音楽』!
    …くらいしか思い浮かばないんだけど、ぶっちゃけ原作は全然だった記憶が(^^;
    あれはドラマが秀逸だったってことなんだろうなー、とか言って、今となってはそれも前時代(というか、もはや前々時代?w)の化石レベルなんだろうなぁ…。

    >近所のブックオフがあれほど簡単につぶれるとは思わなかった
    ある意味、平成のデフレがあったからこそ伸びた企業だったわけだけど、それすらネットの攻勢には敵わないってことなんだなぁ…。

    話は変わりますけど、図書館で面白い本を見つけました。
    ま、ブリッツさんのことだから知ってるかもしてないですけど、『昭和ミステリー大全集〈ハードボイルド篇〉 (新潮文庫) 』。
    700ページ越えで、話が19も入っているという(^^)/

    ちなみに、推理小説編の『昭和ミステリー大全集』もあります。
    こっちは、なんと上中下で、それぞれ500~600ページ越え!
    よかったらどうぞ!(ご存知じゃなかったら)(^^ゞ
    • #20108 ひゃくしょん大魔王 
    • URL 
    • 2019.05/12 16:19 
    •  ▲EntryTop 

    NoTitle

    凝りすぎ盛りすぎとは、これは読んでみたいですね。
    よく行くブックオフではなかなか佐野洋作品に出合えません。
    あっても食指が動かないような(意外に傑作かもしれないのですが)ものばかりですが「轢き逃げ」は覚えておきます。
    「本格ミステリ・フラッシュバック」は私も図書館で何回か借りてます。
    格好のガイドブックですよね
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