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    東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎週土曜日更新)

    日本ミステリ94位 ホック氏の異郷の冒険 加納一朗

     ←特別編・ニーチェについてさらに考える →自炊日記・その90(2019年6月)
     時は明治、開業医の榎元信の前に現れたホック氏ことサミュエル・ホックという謎のイギリス人。いったい彼は何者なんだろう、というところが読みどころの作品ではない。イニシャルでわかるとおり、もちろんのことシャーロック・ホームズその人なのだ。日本が誇るホームズ・パロディの決定版として名高く、高校のころに古本屋をさんざん歩き回ってゲットして読んだ。そのときはそこそこ面白いと感じたように思う。入手した角川文庫版は高校のサークルにくれてやったのであるが、もったいないことしたかな。それから25年ぶりに再読である。はたして面白いか否か。

     というわけで読んだが、うん、徹頭徹尾マニア向けの作品だ。日本推理作家協会賞受賞作ということを差し引いても、ホームズ関連のマニアが結託して組織票を作り、この小説をランクインさせたに違いない。そんな冗談を考えるくらい、徹頭徹尾、明治期の日本にホームズを出して遊びまくった小説である。

     作者がジュブナイルやSFではベテランの加納一朗ということもあり、文章は非常に読みやすく、なおかつ冒険小説として抜群に面白い。そしてはめ込まれるホームズネタの数々。原典を読み切ったせいか、ネタもとを思い出してはにやにやしっぱなし。実に楽しい読書時間だった。

     こういう小説を読むと、またもパロディが書きたくなるが、こういう小説に比肩するような大ネタ、なかなか出てこないのも事実。我ながら浅学と非才を痛感する次第である。むしろいっそのこと、ブログ友達のネット作品の世界にホームズを放り込んでみようかなどと考える始末。あれとかあれとか。なにしろホームズ先生はどんな世界にでも現れるのだから。いいのかなそんな安易な考えで小説書き始めて。

     ちなみに、角川文庫版は先述の理由で25年前に手放してしまったので、今回読んだのは、論創社の「加納一朗探偵小説選」という分厚いハードカバーである。論創社というだけで、わかる人にはわかる、マニア以外を対象として商売をしていない出版社なのだが、このハードカバーもそうで、長いこと絶版品切れで稀覯本みたいになっていた、加納一朗の「ホック氏」シリーズ、長編3篇+短編2篇を全部収録した、本当の意味でマニア泣かせの本であった。今晩は夜を徹して読むつもりである。チベットに向かった「ホック氏」が清朝末期の中国で冒険する、「ホック氏・紫禁城の対決」「ホック氏・香港島の挑戦」なんてぞくぞくするではありませんか。まあその前に、短編「ダンシング・ロブスターの謎」と「宙に光る顔」で小手調べだ。自分でも一冊手元に置いときたくなって値段を見たら、5000円プラス消費税……とことんマニア向けの出版社である。ビンボはつらい。
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    ~ Comment ~

    NoTitle

    >ほくほくしてるのは実際に殴り合いに参加もせずに、北方四島に加えて北海道までもらえるかもしれないロシアだけですな
    プーちゃんは確かにほくほくしてるだろうけど、でも、ケンカをちゃんとやることは大事だと思いますよ。
    毛沢東も(角栄さんに)言ってます。
    ケンカをしなきゃ仲良くなれませんよ、って(^^ゞ
    とかいって、大陸だの半島だのの人は、特に意味のないことをカッコつけのことを、言うだけならタダだと思って言うんだけどさ(爆)
    ま、島国の人もそう変わらなかったりもするんだけどね(^^;

    個人的には、徹底的にケンカすることは日本にプラスというのはありつつ、かの国(国家、国民共々)にとってもプラスになるように思うけどなぁー。
    先週末(15日か)のアリトラくんの「先に発展した国は、後から発展した国のはしごをはずしてはいけない」という言葉を聞いて、いったい先に発展した国はいつまで後から発展した国のハシゴを支えてやらなきゃらなないねん?って、すっごく実感したけどなー(^^)/
    • #20359 イエローひゃくマリン 
    • URL 
    • 2019.08/18 15:33 
    •  ▲EntryTop 

    Re: ひゃくの惑星さん

    隣も隣ですが、日本も日本だ。第三次大戦でも起こしたいのかと思うくらい、官民挙げてとち狂ってますがな。それが互いに火をつけ合って相乗効果で戦争危機がガンガンとエスカレートしている今の現状、ほくほくしてるのは実際に殴り合いに参加もせずに、北方四島に加えて北海道までもらえるかもしれないロシアだけですな。日本国内で反中・反韓を扇動してるのがロシアの工作員だったらキム・フィルビー並みにうまいことやったもんです。今はないけどソ連邦英雄勲章ものですな。

    NoTitle

    >歪曲波
    あった!あった!
    なっつかしー(^^ゞ

    >われわれは君を処刑しなければいけない
    すんごいブラック。
    7&Iか(爆)
    処刑するから、処刑した後のオマエの代わりを探してこい!
    なんて言っちゃったりして(^^;

    >共同体の正義
    最近の某隣国の動きを見てると、共同体を構成する人たちがどっかでとち狂っちゃった?、それとも共同体のトップがとち狂ってるのか?、鶏が先か卵が先かっていうのは、まさにこれだなーなんて思います(^^;

    NoTitle

    でもあれ、宇宙人も無茶ぶりするからなあ。

    「悪いエイリアンが何の罪もない星系に侵略を開始してきたので歪曲波で全滅させてきなさい」

    行ってみると

    「やや、悪いエイリアンというのは地球人だったのか。全滅させるには忍びない。無力がわかったら無条件降伏して裁判を受け、判決を仰ぐのだ」

    丸く収めた気になって帰ってくると

    「サメジマ船長、われわれは君に「全滅させろ」と命じたのだ。君は宇宙の意志に背く反逆者だ。われわれは君を処刑しなければいけない」

    もちろん、降伏した地球人勢力は皆殺しになっていた。

    これが二巻の「前半」(笑)

    ……石津先生、戦中派だから、「共同体の正義」ってものを信じられなかったんじゃないのかなあ(といっても限度があるが(笑))

    NoTitle

    >共同体から追放されるんや
    追放されるんやって、最初の話も追放された話やん!
    あの主人公って、なんか人格が根本的に社会と協調性がないようにできてるんやあらしまへんかぁ~。 ←途中から京都弁になった気がする(^^;

    >その過程で、人類の末裔も絶滅するねん
    人類はん、いけずやわぁ~。

    >不幸な事態ばっかり引き起こすねん
    さめじまはん、いけずやわぁ~。

    >そこで余生を隠れて過ごそう、と決意するのが第3巻「宇宙の孤星」のラストやねん
    なんで、少年向け冒険小説なのに、一応ヒーローな人が世性を過ごす話になるねん?(^^;

    >サメジマを成長した彼の息子が討伐する、ってのをエンディングにするつもり
    作者はん、、中国史ぃ~とかお好きはった人だったんやろかぁ~。

    >ソノラマの編集者が、話に救いがあるうちに打ち切りにしたんやと思う
    その前に、「ヤマト」のラストをなんとかしぃはりやぁ~。

    >読めば読むほどくらーい気持ちになってくる話
    なーるほど!
    高校の友だち、だからこき下ろしてたんだ。
    なんか納得(^^♪

    >アマゾンでプレミアついとるわ
    あれ?
    もしかしたら、実家にまだあるかも(^^ゞ

    >読みたかったらまあ、言い値で買うこっちゃな
    うち、それほど読みたくあらしまへんぇ~。
    ソノラマ文庫なら、加納一朗のユーモア小説と光瀬龍のジュブナイルSFをまた読んでみたいなー(^^ゞ
    • #20309 ひゃくぺりあぁ ~決して一人では見ないでください 
    • URL 
    • 2019.08/04 16:25 
    •  ▲EntryTop 

    Re: ひゃくそしすとさん

    「キャプテン・シャークの2巻「宇宙の放浪者」はすごいんや。第1巻「宇宙海賊船シャーク」で地球のモラルに見切りをつけて、宇宙人の共同体ですごすことにするやろ、そこでいきなりトラブルを発生させて、共同体から追放されるんや。その過程で、人類の末裔も絶滅するねん。それからはサメジマ船長、宇宙中を放浪して、不幸な事態ばっかり引き起こすねん。異星人との間に子供も作るけど、自分では育てられずに信頼できる宇宙人に託すとか、もうボロボロ。そんなサメジマ船長が最後にたどりついたのが辺境の小さな星で、そこで余生を隠れて過ごそう、と決意するのが第3巻「宇宙の孤星」のラストやねん。たぶん、石津先生、第4巻の完結編で、そんなサメジマを成長した彼の息子が討伐する、ってのをエンディングにするつもりやったんやろうなあ。書かれへんかったけど。たぶんソノラマの編集者が、話に救いがあるうちに打ち切りにしたんやと思うで。とにかく、読めば読むほどくらーい気持ちになってくる話やからなあ。調べてみたら、アマゾンでプレミアついとるわ。ソノラマ版も角川版も。再版かかるような話とも思えへんので、読みたかったらまあ、言い値で買うこっちゃな(笑)」

    NoTitle

    >石津嵐
    そうそう、その人!
    うわっ、なっつかしー(^^ゞ

    >宇宙海賊キャプテン・シャーク
    読みました。結構好きでした。
    3巻も出てたんだ―。
    それは知りませんでした。

    高校の時、そのクラッシャージョーだったかな?
    定かじゃないけど、とにかく同じクラスのヤツが、そっちはスゴク面白いのに、シャークの方は全然面白くないんだよねーとか、教えてくれて(^^;
    その流れで、実は、オレ、そのシャークが好きなんだよね、とも言えず、「へぇー、そうなんだー」と言ってお茶を濁した記憶があります(笑)
    • #20292 ひゃくそしすと 
    • URL 
    • 2019.07/28 15:21 
    •  ▲EntryTop 

    Re: ひゃくにえる夫人さん

    ソノラマ版ヤマトといったら石津嵐先生ですね。

    石津先生は、ソノラマで、あの「クラッシャージョウ」が出る前に、大宇宙を縦横無尽に駆け回る「宇宙海賊キャプテン・シャーク」シリーズというスペースオペラを書いていたんですが、どうしてそれがメジャーになりきれなかったか、シリーズ第一巻「宇宙海賊船シャーク」を読めばそれだけで一発でわかってしまう人でもあります。主人公がひたすら悲惨な目に遭うことでは他の追随を許さない人です(^^;) いちおう三巻まで出たみたいですが、書かれなかった四巻では、絶対あの主人公、実の息子に討伐される、ってエンディングを迎えるはずだったんだろうなあ。

    NoTitle

    >若桜木虔先生
    私、その人は秋元文庫(懐かしーw)の新選組本を読んだ記憶があります。
    宇宙戦艦ヤマトも書いていたとは知りませんでした。
    宇宙戦艦ヤマトといえば、ソノラマ文庫のやつが強烈でしたね。
    イスカンダルに行ったら、スターシアがコンピューターで。人類の人体改造しか道はなかったという、今となっては出版が許されなさそうなオチのやつ。

    >読める媒体があったらありがたいと思って読む
    もちろんそれはわかるんだけど、ハードカバーで『透明少年』の“先生(に化けたキ●ガイ)”は、あまりに似合わなさすぎる(爆)
    • #20267 ひゃくにえる夫人 
    • URL 
    • 2019.07/21 14:00 
    •  ▲EntryTop 

    Re: ひゃくとの遭遇(いきなり、第三種!) さん

    小さいときに読んでいたジュブナイルの作家の別な顔を見つけるのも楽しいですよね。

    小学生の時に「宇宙戦艦ヤマト」のノベライズを夢中になって読んだ若桜木虔先生が、かつて書いたオリジナルのシリーズや小説執筆の入門書を読んで、それまで抱いていたイメージがガラガラと音を立てて崩れる、という経験とかね(いや、それは違うだろ(笑))

    ハードカバーだろうとなんだろうと、読める媒体があったらありがたいと思って読む、そういう境地に立たないとあかんときがあるのよ……。そのうちわかるよ……。

    NoTitle

    加納一朗は、小学生の時によくお世話になりましたね。
    「透明少年」とか、大好きでした(^^♪
    考えてみれば、加納一朗。
    そんな子供向け小説ばかりのわけもなく、そんな小説を書いてたんですね。

    >「加納一朗探偵小説選」という分厚いハードカバー
    ハードカバーで、「透明少年」は読めない(ーー;)
    • #20251 ひゃくとの遭遇(いきなり、第三種!) 
    • URL 
    • 2019.07/15 16:07 
    •  ▲EntryTop 

    Re: 面白半分さん

    食費をひと月だけ、3食すべてカンパンと水にすれば5000円くらいすぐに捻出できます! 論創社GO!(いや無理だろ……)

    NoTitle

    記憶というのは薄れていきますね。
    「東西」読んで本作読みたくてしょうがなかった記憶はありますが
    読んだか読んでいないかが思い出せない。
    論創社いっときますか。(無理です)
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