東西ミステリーベスト100挑戦記(ミステリ感想・やや毎日更新)
海外ミステリ130位 マンハッタン特急を探せ クライブ・カッスラー
中学時代に図書館にあったのを呼んだのが初読。アメリカの誇るホラ吹きおじさん、クライブ・カッスラーの作品の中で、最も手堅くまとまった作品……だという印象を受けた。そのときのことを思い出しながら、懐かしい気分で再読。
……したわけであるが。これがキョーレツな話だった。クライブ・カッスラーの不謹慎なホラ話といえば、われわれ日本人には「ドラゴンセンターを破壊せよ」にとどめをさすわけであるが、本書「マンハッタン特急を探せ」の不謹慎さもそれに勝るとも劣らない。いやー、こんな話を書かれて怒らないカナダとイギリスの国民、人間ができている。特にケベック州の人たちは、アメリカ製品に対する不買運動を起こしたっていいんじゃないかと思うくらいの不謹慎さだ。なんたってこの小説の目玉は、第二次大戦中にアメリカがイギリスと取り交わした密約、「北アメリカ条約」なのだが、その内容が1981年という発表年代を考えてもすごい。なんと、「英植民地カナダを10億ドルでアメリカに割譲する」というものなのだ。そこから、イギリス、アメリカ、カナダの3か国の間で、熾烈な諜報戦が展開される。おい、いいのかカッスラー先生、こんなネタ使って。かりにもカナダは独立国だぞ。その独立国のプライドに泥を塗るというか、こんな好き勝手なこと書いたら怒られるんと違うか。いやー、大胆にもほどがある。友好国も同盟関係もなにもあったもんじゃない。
そんな、無茶で不謹慎にもほどがある話が、どこをどうやったら「マンハッタン特急を探せ」という話になるのかについては、ここでは詳しく書かないが、登場するSF小説並みの小道具(「水圧」というものを完全に無視した形状をしている深海調査船ドゥードルバッグ号のユニークさは特筆に値する)といい、いつもおなじみのNUMAの面々と、主人公である快男児ダーク・ピットの「お前海賊コブラじゃないのか」といいたくなるくらいの暴れっぷりといい、いやあ、いい意味でのイアン・フレミングの後継者ぶりである。
そして本作のラストシーン。そのあまりといえばあまりの図々しさに、まじめな人は開いた口が塞がらないのではないか。どんな手段をもってであろうが、アメリカは正しいのである。アメリカは強いのである。ビバ・アメリカ! 全編からそんなカッスラー先生の叫びが聞こえてきそうだ。
いやはや、なんとも。中学校の図書館が高校と併用だったため、カッスラー先生の初期作品はほとんど揃っていて、「氷山を狙え」「タイタニックを引き揚げろ」「QD弾頭を回収せよ」と読みまくったので、印象が薄かったのかもしれないが、まあすごいホラ話である。その後も「大統領誘拐の謎を追え」「ラドラダの秘宝を探せ」「古代ローマ船の航跡を探れ」「ドラゴンセンターを破壊せよ」「死のサハラを脱出せよ」までは興奮しながら読んだが、そこでハッと「我に返り」、カッスラー先生とダーク・ピットからは距離を置くことにした。賢明な対応だったと思っている。あまりにも大ボラと大風呂敷を広げまくっていると、人間、ついていけなくなるのだ。疑うならばトム・クランシーでも読むがよい。
それ以来ダーク・ピットについては忘れていたが、つい最近、図書館をのぞくと、我らが快男児ダーク・ピットは、カリブ海で陰謀を阻止したり、黒海で金塊を奪取したり、相変わらず頑張っているようで。がんばれカッスラー先生。もう読まないけど応援してます。
……したわけであるが。これがキョーレツな話だった。クライブ・カッスラーの不謹慎なホラ話といえば、われわれ日本人には「ドラゴンセンターを破壊せよ」にとどめをさすわけであるが、本書「マンハッタン特急を探せ」の不謹慎さもそれに勝るとも劣らない。いやー、こんな話を書かれて怒らないカナダとイギリスの国民、人間ができている。特にケベック州の人たちは、アメリカ製品に対する不買運動を起こしたっていいんじゃないかと思うくらいの不謹慎さだ。なんたってこの小説の目玉は、第二次大戦中にアメリカがイギリスと取り交わした密約、「北アメリカ条約」なのだが、その内容が1981年という発表年代を考えてもすごい。なんと、「英植民地カナダを10億ドルでアメリカに割譲する」というものなのだ。そこから、イギリス、アメリカ、カナダの3か国の間で、熾烈な諜報戦が展開される。おい、いいのかカッスラー先生、こんなネタ使って。かりにもカナダは独立国だぞ。その独立国のプライドに泥を塗るというか、こんな好き勝手なこと書いたら怒られるんと違うか。いやー、大胆にもほどがある。友好国も同盟関係もなにもあったもんじゃない。
そんな、無茶で不謹慎にもほどがある話が、どこをどうやったら「マンハッタン特急を探せ」という話になるのかについては、ここでは詳しく書かないが、登場するSF小説並みの小道具(「水圧」というものを完全に無視した形状をしている深海調査船ドゥードルバッグ号のユニークさは特筆に値する)といい、いつもおなじみのNUMAの面々と、主人公である快男児ダーク・ピットの「お前海賊コブラじゃないのか」といいたくなるくらいの暴れっぷりといい、いやあ、いい意味でのイアン・フレミングの後継者ぶりである。
そして本作のラストシーン。そのあまりといえばあまりの図々しさに、まじめな人は開いた口が塞がらないのではないか。どんな手段をもってであろうが、アメリカは正しいのである。アメリカは強いのである。ビバ・アメリカ! 全編からそんなカッスラー先生の叫びが聞こえてきそうだ。
いやはや、なんとも。中学校の図書館が高校と併用だったため、カッスラー先生の初期作品はほとんど揃っていて、「氷山を狙え」「タイタニックを引き揚げろ」「QD弾頭を回収せよ」と読みまくったので、印象が薄かったのかもしれないが、まあすごいホラ話である。その後も「大統領誘拐の謎を追え」「ラドラダの秘宝を探せ」「古代ローマ船の航跡を探れ」「ドラゴンセンターを破壊せよ」「死のサハラを脱出せよ」までは興奮しながら読んだが、そこでハッと「我に返り」、カッスラー先生とダーク・ピットからは距離を置くことにした。賢明な対応だったと思っている。あまりにも大ボラと大風呂敷を広げまくっていると、人間、ついていけなくなるのだ。疑うならばトム・クランシーでも読むがよい。
それ以来ダーク・ピットについては忘れていたが、つい最近、図書館をのぞくと、我らが快男児ダーク・ピットは、カリブ海で陰謀を阻止したり、黒海で金塊を奪取したり、相変わらず頑張っているようで。がんばれカッスラー先生。もう読まないけど応援してます。
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