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    映画の感想

    「ピクニック」見る

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     フランス映画強化月間といいつつ、TRPGのセッションにばかり夢中でちっとも映画が見られていないことを反省、この40分の作品を手に取った。「ゲームの規則」のジャン・ルノワール監督の1936年度作品。最初に説明があり、この映画が「未完成品」であることにちとずっこける。何らかの事情でルノワール監督はこの映画から手を引き、お蔵にしてしまったのを再編集したらしいのだ。アメリカへ行っている、とかいっていたから、ルノワール監督が戦火を逃れてアメリカへ逃げた1940年代以降であろう。もしかしたら戦後かもしれん。

     というわけで見て思ったが、たぶんルノワール監督、オーバーアクションと舞台劇が大好きなのだろう。その感覚でもってそのまま映画を撮っている。それでありながら、この監督は、「リアリズム」も大好きなのだ。その相容れないようにも見える要素を混在させてバランスを取ろうとしているところに、「ゲームの規則」でも見られたような一種独特の「居心地の悪いコメディ」が展開される。

     そもそもが、皮肉と悪意だけを煮しめてできたようなモーパッサンの小説を原作にした映画で、どうしてここまで「自然を美しく撮る」必要があったのか。そんなことを考えるほど、この作品に出てくるフランスの片田舎の水辺の風景は美しい。水面の表現など、タイトルロールからして戦慄が走るほどの美しさだ。普通にぼんやりと撮っていたのでは絶対に表現できぬ水の流れや波紋が、詩人のような繊細さで画面に現れる。

     ストーリーは、片田舎にピクニックに来た鼻持ちならないパリ育ちの金持ちの一家の、汚れを知らぬ娘を、土地の小悪党がいただいてしまう、というミもフタもないようなもので、その落差はすさまじい。ラストシーン近くでは、それまでの軽演劇のようなオーバーアクションから離れた、どきっとするような一場面もあるが、それもまた、軽演劇風な日常に回収されてしまう。なんか、監督の「やる気が失せた」感がひしひしと感じられるような画面であり、全体のトーンから完全に浮いている。そこに監督が放棄した理由もあるんじゃないかなあ。

     なんというか、ひどくバランスの悪い映画だった。「おれが撮りたいのはこんな映画じゃない」と監督が全力で主張しているみたいな感じ。

     次は最高傑作と名高い「大いなる幻影」見てみよう。この監督が、徹底したリアリズムと批判精神あふれるストーリー、いわゆる「ネオレアリズモ」的な映画を撮りたかったのなら、現にDVDを持っている以上、そちらも見なければ片手落ちだ。宿題!
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    ~ Comment ~

    Re: miriさん

    あらら、監督にも画伯にも失礼なことを言ってしまった。申しわけないです(^^;ゞ うろ覚えって駄目ですね。記録にあたらなきゃ(^^;ゞ

    「河」は戦後まもなくで、それほど強烈なものではなかったんですか……うーん。

    デジタルリマスターじゃっ! デジタルリマスターで補色すればいいんじゃっ! ってそれ、映画的には単なる原典の破壊行為ですな……(^^;ゞ でも白黒作品の彩色版を作るくらいなら(ウルトラQみたいに)、こうしたカラーフィルムが力不足だった時代の作品をコンピュータで予測して補色するのは、新たな芸術作品として、「二次創作」として認められないのかなあ、とか思います……。

    こんばんは☆

    パソコンが使えるようになったので、
    また今後もよろしくお願い致します。

    栗本薫さん、懐かしいですね、惜しい人でした。
    昔何か読みましたが、もう忘れてしまいました・・・。

    ところでうるさくてすみません、
    ルノワール監督は、画伯の孫ではなく、子供です。

    「河」は、カラー作品ですが、戦後まもない時代ですので
    今現在の作品のような美しさはありません。

    ・・・お疲れなんですね、もちろん食べ物も大事ですが
    やはり休養が一番かと・・・
    治療も大変かと思いますが、少しでも眠れますように・・・。


    .

    Re: miriさん

    そういやあの人、偉大なルノワール画伯の孫でしたな。ってことはカラーだとものすごくなりそうですな。うー、今は体力的に無理だけど、いつか見よう、「河」。

    「大いなる幻影」なかなか見る時間が取れないのがちょっとつらい。最近、疲れが出てきて倒れてることが多いので(^^;ゞ 焼肉を奮発して、レバーでももりもり食いに行こうかな。

    Re: ドラキュラひゃく爵さん

    そんなワケねーだろ(^^;)

    再挑戦、おはようございます☆

    パソコン戻ってきましたが、まだ使えず
    携帯からです。

    ルノワール監督の自然描写が美しいのは
    単純に『血のなせるわざ』だと信じています。

    この映画は、淀川さんから聞かされて
    何十年も見られなかったから、
    見られたときは非常に嬉しかったです☆

    『大いなる幻影』は良い映画だと思います。
    私は『河』も好きです!

    ルノワール監督は戦時中逃げたから
    逃げなかったカルネ監督とは違って
    作風に翳りというか…感じます。


    .

    せっかく書いたのに消えました

    パソコン戻ってきましたが、まだ使えません。

    また後日出直しますm(_ _)m


    .

    NoTitle

    >汚れを知らぬ娘を、土地の小悪党がいただいてしまう
    ピクニックといえば、森永ピクニックのCMのコピー、“体が欲しがるのです”というのがあったが、実は密かにこの映画の内容とダブらせていたってこと?(^^;
    • #20208 ドラキュラひゃく爵 
    • URL 
    • 2019.07/07 11:23 
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