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伝奇小説ベスト10選
ひゃくさんから希望があったので、あまり読んでないが個人的ベスト。一作家一作品。
1位 半村良「妖星伝」 江戸時代を舞台に、邪教集団、超能力者、宇宙人、UFO、なんでもありのエロスでバイオレンスなメチャクチャストーリーながらも高度にハードで哲学的なSFアイデアが炸裂する、SF伝奇小説の代表選手。最終巻にいたっては作者曰く「わかる人だけわかればいい」というもので、出版社ともめて十年以上お蔵入りしていたいわく付き。中学生のわたしをニヒリストにした作品(笑)
他に…「産霊山秘録」
2位 隆慶一郎「捨て童子・松平忠輝」徳川家康の子どもたちの中で、野心だけが人一倍大きかったにすぎないアホ、としかみなされていなかった松平忠輝を主人公に起用し、陰謀あり忍者あり美女ありなんでもありのデタラメを信憑性たっぷりに描き切った一大痛快巨編。本編では伊勢に配流されるまでで終わっているが、史実の松平忠輝はメチャクチャ長生きした人なので、作者の急逝でそれ以降が描かれなかったのは非常に残念。
他に…「影武者徳川家康」
3位 山田風太郎「魔界転生」 「忍法帖」シリーズの中でも、ひときわゲーム感覚あふれる作品。太平の世に魔人として蘇った剣豪たちから、美しい少女たちを守るために立ち上がった柳生十兵衛の痛快無比な冒険譚。敵役味方役含めて、オールスターキャストという言葉がぴったり。天草四郎も出るけど、映画とは違って普通の敵幹部。
他に…「柳生忍法帖」
4位 宇月原晴明「聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)」 力量に比べてあまりにもマイナーな気がする、「力作しか書かない伝奇小説家」。よくもまあこんな細かいことまで知ってるもんだ、と舌を巻くような博覧強記を駆使して、ムチャクチャな物語を書く人。本書は作者の作品の中で、いちばん道具立てが派手で分かりやすい。好き嫌いは分かれるが、癖になると後を引くタイプ。
他に…「黎明に叛くもの」
5位 宮本正孝「剣豪将軍義輝」 足利将軍のうちで、剣術にハマったことで知られる足利義輝を主人公にした伝奇巨編。すがすがしいヒーローを描かせたら右に出るものがない宮本正孝の筆になる、天下万民の平和を願い、政治的陰謀の中で徒手空拳で戦う青年将軍のカッコいいことといったらない。SF作家時代にヒロイック・ファンタジーで鍛えた活劇シーンも迫力満点。なんでも作者の一番のお気に入りのヒーローだそうである。
他に…「風魔」
6位 海道龍一朗「乱世疾走 禁中御庭者綺譚」 ある日あるときいきなり登場して、伝奇小説の読者を狂喜乱舞させた、陰謀渦巻く戦国時代を舞台にした痛快娯楽巨編。タイトルに偽りなく、疾走するかのようなパワフルでスピーディーな物語なのだが、一つ重大な欠陥がある。結末がないのだ。どうやら、全体の半分まで書いたところで作者が飽きてしまったらしい。とほほ。
他に…「惡忍 加藤段蔵無頼伝」
7位 谷崎潤一郎「乱菊物語」 誰もが知っている純文学の大家、谷崎潤一郎が生前に唯一書いた「娯楽に徹した大衆小説」。嘉吉の変をモチーフにしたと思われるが、明からやってきた船が謎めいた美姫とともに積んでいた秘宝とは何か? という冒頭のシーンから、ムチャクチャな話が展開される。しかし本書も話がここから本番、という時点で中断しているのが無念でならない。何度か再開の話はあったようなのだが。
8位 安部龍太郎「関ヶ原連判状」 天下分け目の決戦を指呼の間に控えた時期、関ケ原の合戦を左右する「連判状」の秘密をめぐり、徳川方、豊臣方、細川家が卍巴で争う一大陰謀劇。サービス精神過剰でめちゃくちゃ面白い。問題は、展開が「史実」に収束してくるとパワーもスピードも衰えてくることと、サプライズエンディングの後味の悪さだろうか。それを抜いても読んでしかるべき作品である。
9位 柴田錬三郎「柴錬立川文庫」 柴田錬三郎は何を読んでも面白い作家であるが、本書は真田幸村と真田十勇士を軸に、大阪城落城までの裏面を描き切ったエロスとバイオレンスあふれる作品。女性はみんな色っぽく、剣戟は実に殺伐と、柴田錬三郎らしい作品ではある。生まれて初めて読んだ大人向け伝奇小説でもある。
他に…「赤い影法師」
10位 池宮彰一郎「四十七人の刺客」 伝奇小説は本書以前と以後に分かれるのではないか? とまで思えてくる、斬新極まりない忠臣蔵小説。ここでは、吉良邸討ち入りはひとつの「軍事作戦」として討論され、立案され、実行されるのだ。いわば忠臣蔵をネタに軍事スリラーを書き上げてしまったようなもので、リアリズムに裏打ちされたスピード感は、実際に浪士たちに混じって陰謀を練っているような気分にさせられる。討ち入りのシーンの剣戟描写も見事。
他に…「平家」
1位 半村良「妖星伝」 江戸時代を舞台に、邪教集団、超能力者、宇宙人、UFO、なんでもありのエロスでバイオレンスなメチャクチャストーリーながらも高度にハードで哲学的なSFアイデアが炸裂する、SF伝奇小説の代表選手。最終巻にいたっては作者曰く「わかる人だけわかればいい」というもので、出版社ともめて十年以上お蔵入りしていたいわく付き。中学生のわたしをニヒリストにした作品(笑)
他に…「産霊山秘録」
2位 隆慶一郎「捨て童子・松平忠輝」徳川家康の子どもたちの中で、野心だけが人一倍大きかったにすぎないアホ、としかみなされていなかった松平忠輝を主人公に起用し、陰謀あり忍者あり美女ありなんでもありのデタラメを信憑性たっぷりに描き切った一大痛快巨編。本編では伊勢に配流されるまでで終わっているが、史実の松平忠輝はメチャクチャ長生きした人なので、作者の急逝でそれ以降が描かれなかったのは非常に残念。
他に…「影武者徳川家康」
3位 山田風太郎「魔界転生」 「忍法帖」シリーズの中でも、ひときわゲーム感覚あふれる作品。太平の世に魔人として蘇った剣豪たちから、美しい少女たちを守るために立ち上がった柳生十兵衛の痛快無比な冒険譚。敵役味方役含めて、オールスターキャストという言葉がぴったり。天草四郎も出るけど、映画とは違って普通の敵幹部。
他に…「柳生忍法帖」
4位 宇月原晴明「聚楽 太閤の錬金窟(グロッタ)」 力量に比べてあまりにもマイナーな気がする、「力作しか書かない伝奇小説家」。よくもまあこんな細かいことまで知ってるもんだ、と舌を巻くような博覧強記を駆使して、ムチャクチャな物語を書く人。本書は作者の作品の中で、いちばん道具立てが派手で分かりやすい。好き嫌いは分かれるが、癖になると後を引くタイプ。
他に…「黎明に叛くもの」
5位 宮本正孝「剣豪将軍義輝」 足利将軍のうちで、剣術にハマったことで知られる足利義輝を主人公にした伝奇巨編。すがすがしいヒーローを描かせたら右に出るものがない宮本正孝の筆になる、天下万民の平和を願い、政治的陰謀の中で徒手空拳で戦う青年将軍のカッコいいことといったらない。SF作家時代にヒロイック・ファンタジーで鍛えた活劇シーンも迫力満点。なんでも作者の一番のお気に入りのヒーローだそうである。
他に…「風魔」
6位 海道龍一朗「乱世疾走 禁中御庭者綺譚」 ある日あるときいきなり登場して、伝奇小説の読者を狂喜乱舞させた、陰謀渦巻く戦国時代を舞台にした痛快娯楽巨編。タイトルに偽りなく、疾走するかのようなパワフルでスピーディーな物語なのだが、一つ重大な欠陥がある。結末がないのだ。どうやら、全体の半分まで書いたところで作者が飽きてしまったらしい。とほほ。
他に…「惡忍 加藤段蔵無頼伝」
7位 谷崎潤一郎「乱菊物語」 誰もが知っている純文学の大家、谷崎潤一郎が生前に唯一書いた「娯楽に徹した大衆小説」。嘉吉の変をモチーフにしたと思われるが、明からやってきた船が謎めいた美姫とともに積んでいた秘宝とは何か? という冒頭のシーンから、ムチャクチャな話が展開される。しかし本書も話がここから本番、という時点で中断しているのが無念でならない。何度か再開の話はあったようなのだが。
8位 安部龍太郎「関ヶ原連判状」 天下分け目の決戦を指呼の間に控えた時期、関ケ原の合戦を左右する「連判状」の秘密をめぐり、徳川方、豊臣方、細川家が卍巴で争う一大陰謀劇。サービス精神過剰でめちゃくちゃ面白い。問題は、展開が「史実」に収束してくるとパワーもスピードも衰えてくることと、サプライズエンディングの後味の悪さだろうか。それを抜いても読んでしかるべき作品である。
9位 柴田錬三郎「柴錬立川文庫」 柴田錬三郎は何を読んでも面白い作家であるが、本書は真田幸村と真田十勇士を軸に、大阪城落城までの裏面を描き切ったエロスとバイオレンスあふれる作品。女性はみんな色っぽく、剣戟は実に殺伐と、柴田錬三郎らしい作品ではある。生まれて初めて読んだ大人向け伝奇小説でもある。
他に…「赤い影法師」
10位 池宮彰一郎「四十七人の刺客」 伝奇小説は本書以前と以後に分かれるのではないか? とまで思えてくる、斬新極まりない忠臣蔵小説。ここでは、吉良邸討ち入りはひとつの「軍事作戦」として討論され、立案され、実行されるのだ。いわば忠臣蔵をネタに軍事スリラーを書き上げてしまったようなもので、リアリズムに裏打ちされたスピード感は、実際に浪士たちに混じって陰謀を練っているような気分にさせられる。討ち入りのシーンの剣戟描写も見事。
他に…「平家」
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Re: ひゃくデカ「んぺと」さん
大学で、新入生として入ったSF研究会の第一回例会で、「先輩、読ませてもらいましたが、あなたの作品は面白くありません。正確を期していえば、クソです」(意訳)と発言してしまったがゆえの艱難辛苦を体験していないとわからないこと、というのもあるのだ……。
まあ、また同じ立場に立ったら同じこというけど。
まあ、また同じ立場に立ったら同じこというけど。
NoTitle
それは、常識的すぎるかなー。ブリッツさんの言葉とも思えないくらいつまらない(爆)
思い返せば、先輩に虐げられた末、やっと後輩が出来て。
今までの恨みとばかり、後輩を虐げちゃう、その快感の素晴らしさったらないと思うんだけどなぁ~(^^ゞ
ていうか、後輩は後輩で、それは先輩なんだから、自分は大っぴらに虐げられても世間的に恥ずかしくないんだ、みたいな開き直りの快楽っていうのもあると思う(^^)/
ほとんどの人は優秀じゃなく、たんなる凡人なわけで。
たとえ子供であっても、それが優秀なら、その人に従うというのは確かに合理的だけど、でも、多くの凡人にとっては面白くない世の中なんじゃない?(笑)
と、あえて、逆のことを言ってみました(^^)/
思い返せば、先輩に虐げられた末、やっと後輩が出来て。
今までの恨みとばかり、後輩を虐げちゃう、その快感の素晴らしさったらないと思うんだけどなぁ~(^^ゞ
ていうか、後輩は後輩で、それは先輩なんだから、自分は大っぴらに虐げられても世間的に恥ずかしくないんだ、みたいな開き直りの快楽っていうのもあると思う(^^)/
ほとんどの人は優秀じゃなく、たんなる凡人なわけで。
たとえ子供であっても、それが優秀なら、その人に従うというのは確かに合理的だけど、でも、多くの凡人にとっては面白くない世の中なんじゃない?(笑)
と、あえて、逆のことを言ってみました(^^)/
- #20445 ひゃくデカ「んぺと」
- URL
- 2019.09/16 15:19
- ▲EntryTop
Re: 秘密戦隊ひゃくレンジャーさん
長幼の序と先輩後輩意識ほど、日本という国における自由な発想というものを阻害してきたものは無いと思うよ、ほんと。
NoTitle
>よく文章を読め。高橋克彦ではない、半村良だ
1週間前以上のコメントなんて、めんどくさくてよむ気力なーい!(^^;
ていうか、新・八犬伝は放映終了当時3歳なら、私の方が年上じゃん。
よく文章を読み直してくださいませ、と書き直してくれなきゃだなぁ~。 って、そんな儒教にまみれたこと言ってると、某隣国の人に違えられちゃうかも(爆)
1週間前以上のコメントなんて、めんどくさくてよむ気力なーい!(^^;
ていうか、新・八犬伝は放映終了当時3歳なら、私の方が年上じゃん。
よく文章を読み直してくださいませ、と書き直してくれなきゃだなぁ~。 って、そんな儒教にまみれたこと言ってると、某隣国の人に違えられちゃうかも(爆)
- #20408 秘密戦隊ひゃくレンジャー
- URL
- 2019.09/01 16:37
- ▲EntryTop
Re: ひゃく・にち・べにさん
よく文章を読め。高橋克彦ではない、半村良だ。
新・八犬伝は放映終了当時3歳じゃあ! 覚えとらんわい! わしにとっての最初のテレビ体験は「グレートマジンガー」なんじゃあ!
新・八犬伝は放映終了当時3歳じゃあ! 覚えとらんわい! わしにとっての最初のテレビ体験は「グレートマジンガー」なんじゃあ!
NoTitle
>どこをどうやったらこんなに物事をネガティブに考えられるのか感心してしまう小説であります。そのエロいことといったら産霊山どころではなく、西村寿行を通り越して団鬼六の世界です
ふーん。そうなんだ。
なんで、高校の時に読まなかったんだ!高橋克彦!(^^ゞ
ただ、縛る趣味はないんだよなぁ~(爆)
>宮本正孝は、基本的に「ハズレ」を書かない人
へー、時代小説も読むんだ。ブリッツさん。
>「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」
それは本屋で見て知っていて、あ、その人なんだ!って思った次第。
読んでみたいんだけど、古本、みんな結構高いね。
>「平家」じゃなくて「天下騒乱 鍵屋ノ辻」のほうがよかったな
確かに「平家」はイマイチだった気がする。
鍵屋の辻はテレビドラマにならなかったっけ?
見たような記憶があります。
その作家は、司馬遼太郎オタクが「島津奔る」を盗作だと大騒ぎして、廃刊にしちゃったのが記憶に残ってて。
反司馬遼派としては、じゃぁ読まなきゃなるまい、島津奔ると買ったんだけど、いまだに読んでないですね(爆)
>八犬伝は山田風太郎の印象の方が強いなあ
新八犬伝は見てなかったの?
ていうか、ブリッツさんのことだから、「けっ!そんなもん、ダセーよ」って、誰も知らないミステリー小説とか呼んでそうだなー('◇')ゞ
ふーん。そうなんだ。
なんで、高校の時に読まなかったんだ!高橋克彦!(^^ゞ
ただ、縛る趣味はないんだよなぁ~(爆)
>宮本正孝は、基本的に「ハズレ」を書かない人
へー、時代小説も読むんだ。ブリッツさん。
>「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」
それは本屋で見て知っていて、あ、その人なんだ!って思った次第。
読んでみたいんだけど、古本、みんな結構高いね。
>「平家」じゃなくて「天下騒乱 鍵屋ノ辻」のほうがよかったな
確かに「平家」はイマイチだった気がする。
鍵屋の辻はテレビドラマにならなかったっけ?
見たような記憶があります。
その作家は、司馬遼太郎オタクが「島津奔る」を盗作だと大騒ぎして、廃刊にしちゃったのが記憶に残ってて。
反司馬遼派としては、じゃぁ読まなきゃなるまい、島津奔ると買ったんだけど、いまだに読んでないですね(爆)
>八犬伝は山田風太郎の印象の方が強いなあ
新八犬伝は見てなかったの?
ていうか、ブリッツさんのことだから、「けっ!そんなもん、ダセーよ」って、誰も知らないミステリー小説とか呼んでそうだなー('◇')ゞ
- #20388 ひゃく・にち・べに
- URL
- 2019.08/25 16:35
- ▲EntryTop
Re: イエローひゃくマリンさん
あれ読んでない。読んでたらたぶん入れた。
八犬伝は山田風太郎の印象の方が強いなあ。曲亭馬琴が八犬伝を書くというドラマと、南総里見八犬伝の本筋のドラマが並行で描かれていて、最初は南総里見八犬伝のストーリーのほうがめちゃくちゃ面白いんだけど、後半になるにつれて曲亭馬琴のドラマのほうがめちゃくちゃ面白くなっていく、という山田風太郎らしいテクニカルな小説。当時読売新聞の連載で読んでもう面白かったの何の。
八犬伝は山田風太郎の印象の方が強いなあ。曲亭馬琴が八犬伝を書くというドラマと、南総里見八犬伝の本筋のドラマが並行で描かれていて、最初は南総里見八犬伝のストーリーのほうがめちゃくちゃ面白いんだけど、後半になるにつれて曲亭馬琴のドラマのほうがめちゃくちゃ面白くなっていく、という山田風太郎らしいテクニカルな小説。当時読売新聞の連載で読んでもう面白かったの何の。
Re: イエローひゃくマリンさん
妖星伝は高橋克彦の思想とは全く正反対です。とにかく、どこをどうやったらこんなに物事をネガティブに考えられるのか感心してしまう小説であります。そのエロいことといったら産霊山どころではなく、西村寿行を通り越して団鬼六の世界です(そうか?)
捨て童子・松平忠輝は、あれほど大ウソとデタラメを書きなぐってしかも本物に見えるという、まさに伝奇小説のお手本です。なにせ使用している文献の中には、江戸時代版「徳川家康の『霊言』」レベルの書物まで混じってるからなあ。
宮本正孝は、基本的に「ハズレ」を書かない人ですので、どれを読んでも晴朗で楽しいです。まあ、たまに「家康、死す」みたいな失敗作もあるけど……。
宇月原晴明先生は、宇月原名義のデビュー作が「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」っていう、両性具有の信長の謎を、20世紀初頭のパリで演劇家で詩人のアントナン・アルトーが追う、っていう、人文学ファンにはビシビシ突き刺さる小説でしかも伝奇ものをやった、とんでもない人ですからねえ。そんなムチャクチャな話が、トータルで見ると「これをベストにするにはちょっと薄い」というこれまたとんでもない人で。暇があったら読んでください。
乱菊物語、後半のストーリーはある程度予測がつくんですけど、谷崎先生の文章で読みたいじゃないですかやっぱり(^^)
池宮彰一郎先生は、映画の脚本やってた昔から、「十三人の刺客」「大殺陣」と、どんなささいな事件でも、裏の裏を必要以上に読んで、「背後に幕閣を揺るがす巨大な陰謀が」って話にしちゃう名人なので、真実っぽさに騙されちゃダメです。あれほとんど嘘だと思ったほうがいいです。そういう点では、「平家」じゃなくて「天下騒乱 鍵屋ノ辻」のほうがよかったな。
捨て童子・松平忠輝は、あれほど大ウソとデタラメを書きなぐってしかも本物に見えるという、まさに伝奇小説のお手本です。なにせ使用している文献の中には、江戸時代版「徳川家康の『霊言』」レベルの書物まで混じってるからなあ。
宮本正孝は、基本的に「ハズレ」を書かない人ですので、どれを読んでも晴朗で楽しいです。まあ、たまに「家康、死す」みたいな失敗作もあるけど……。
宇月原晴明先生は、宇月原名義のデビュー作が「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」っていう、両性具有の信長の謎を、20世紀初頭のパリで演劇家で詩人のアントナン・アルトーが追う、っていう、人文学ファンにはビシビシ突き刺さる小説でしかも伝奇ものをやった、とんでもない人ですからねえ。そんなムチャクチャな話が、トータルで見ると「これをベストにするにはちょっと薄い」というこれまたとんでもない人で。暇があったら読んでください。
乱菊物語、後半のストーリーはある程度予測がつくんですけど、谷崎先生の文章で読みたいじゃないですかやっぱり(^^)
池宮彰一郎先生は、映画の脚本やってた昔から、「十三人の刺客」「大殺陣」と、どんなささいな事件でも、裏の裏を必要以上に読んで、「背後に幕閣を揺るがす巨大な陰謀が」って話にしちゃう名人なので、真実っぽさに騙されちゃダメです。あれほとんど嘘だと思ったほうがいいです。そういう点では、「平家」じゃなくて「天下騒乱 鍵屋ノ辻」のほうがよかったな。
NoTitle
忘れてた。
「新八犬伝」はぁ?(^^ゞ
私くらいの世代としては、伝奇小説といったら「新八犬伝」というイメージがあるんだけど(自慢じゃないけど八犬士。たぶん、今でも絵に描けると思うw)。
何年か前に原作本(?)も出たことだし、ぜひ加えて欲しかったなぁー(^^)/
「新八犬伝」はぁ?(^^ゞ
私くらいの世代としては、伝奇小説といったら「新八犬伝」というイメージがあるんだけど(自慢じゃないけど八犬士。たぶん、今でも絵に描けると思うw)。
何年か前に原作本(?)も出たことだし、ぜひ加えて欲しかったなぁー(^^)/
- #20364 イエローひゃくマリン
- URL
- 2019.08/18 16:22
- ▲EntryTop
NoTitle
なんだ、ここにあったんだ!
暑さでつい見逃してしまって、申し訳ない(と、暑さのせいにするw)
>産霊山秘録
そっちは読みました。高校生の時くらいかなー。
エロな部分に、当時コーフンしましたねー(^^;
(ちなみに、その後西村寿行に走って、もっとコーフンした 爆)
ひの一族の設定は、当時あるかもー(←ねーよw)なんて思いながら読んだ記憶があります。
結構好きでしたね。
その「妖星伝」は、知ってはいましたけど手は出さなかったですね。
イメージとしては、高橋克彦(←合ってる?)とダブるイメージがあります。
>捨て童子・松平忠輝
タイトルだけは知ってたけど、これ、伝奇小説だったの?
普通に歴史小説だと思ってました。
>魔界転生
これは定番中の定番、というか基本中の基本、でしょうねー。
ただ高校時代くらいならともかく、今だとエロ場面がめんどくさいっていうのはあるかな?(^^ゞ
>剣豪将軍義輝
この作家の「夏雲あがれ」とその続編(前編?)が好きだったんで、読んだような記憶があるんだけど、内容は全然憶えてないんですよね。
今は室町ブームだし、復活してもいいような?
>聚楽 太閤の錬金窟
ちぇんちぇーん、わかりましぇーん!(爆)
ただ、「黎明に背くもの」というタイトルは記憶ある?
今、アマゾン見たら古本高いんだけど、この人はちょっと興味持ったかもしれないです(^^ゞ
>乱世疾走 禁中御庭者綺譚
うーん。結末がないのはなぁー。
恩田陸じゃあるまいしーって(^^;
>乱菊物語
嘉吉の変!
うひょひょひょひょー(^^ゞ
>関ヶ原連判状
いまだにこの作者は読んだことないんですけど、なかなか引っかかるものがあるんですよね。
これを含めるんだか含めないんだか忘れましたけど、戦国3部作とか、後醍醐天皇の話のやつとか、興味あるな―(^^ゞ
>柴田錬三郎
そうだよねー、伝奇小説といったら、この人と山田風太郎ってイメージがある。
個人的には、子供の頃にやってた人形劇の「真田十勇士」の結末がどうなったか興味があります。
>四十七人の刺客
え、これも伝奇小説に入れちゃうの?
昔、結構、実際はこうだった的に読んだ記憶あるんだけど(^^;
討ち入りはカッコよかったですよね。
全体を見て思ったのは、そんなに伝奇、伝奇してない(イメージがある)話が多かったなーと。
ブリッツさんのことだから、横溝正史の「髑髏検校」とか、あと「鳴門秘帖」とか、もしくは、えーとなんだっけ?円月殺法の人、あの手が出てくるのかなーと思ってました。
あと、高橋克彦の伝奇もの(総門谷でしたっけ?)、もしくは歴史小説の傾向が強い、アテルイの話とか「炎立つ」、あと、それの平安時代版や「時宗」なんかは、ブリッツさんとしてはどうなの?
もしくは、「帝都物語」とか。
高橋克彦の歴史ものをのぞけば読んでないので、ブリッツさんの評価が気になります。
というか、書いていただいてありがとうございます。
とっても楽しく読ませてもらいました。
とりあえず、興味を持ったのは、宇月原晴明と安倍龍太郎かなー(^^)/
あと、そう。私は読んでないんだけど、最近…、というかちょっと前に「機構のイブ」って本が話題になってたじゃないですか?
あの辺はブリッツさんとしてはどうなんだろ?
暑さでつい見逃してしまって、申し訳ない(と、暑さのせいにするw)
>産霊山秘録
そっちは読みました。高校生の時くらいかなー。
エロな部分に、当時コーフンしましたねー(^^;
(ちなみに、その後西村寿行に走って、もっとコーフンした 爆)
ひの一族の設定は、当時あるかもー(←ねーよw)なんて思いながら読んだ記憶があります。
結構好きでしたね。
その「妖星伝」は、知ってはいましたけど手は出さなかったですね。
イメージとしては、高橋克彦(←合ってる?)とダブるイメージがあります。
>捨て童子・松平忠輝
タイトルだけは知ってたけど、これ、伝奇小説だったの?
普通に歴史小説だと思ってました。
>魔界転生
これは定番中の定番、というか基本中の基本、でしょうねー。
ただ高校時代くらいならともかく、今だとエロ場面がめんどくさいっていうのはあるかな?(^^ゞ
>剣豪将軍義輝
この作家の「夏雲あがれ」とその続編(前編?)が好きだったんで、読んだような記憶があるんだけど、内容は全然憶えてないんですよね。
今は室町ブームだし、復活してもいいような?
>聚楽 太閤の錬金窟
ちぇんちぇーん、わかりましぇーん!(爆)
ただ、「黎明に背くもの」というタイトルは記憶ある?
今、アマゾン見たら古本高いんだけど、この人はちょっと興味持ったかもしれないです(^^ゞ
>乱世疾走 禁中御庭者綺譚
うーん。結末がないのはなぁー。
恩田陸じゃあるまいしーって(^^;
>乱菊物語
嘉吉の変!
うひょひょひょひょー(^^ゞ
>関ヶ原連判状
いまだにこの作者は読んだことないんですけど、なかなか引っかかるものがあるんですよね。
これを含めるんだか含めないんだか忘れましたけど、戦国3部作とか、後醍醐天皇の話のやつとか、興味あるな―(^^ゞ
>柴田錬三郎
そうだよねー、伝奇小説といったら、この人と山田風太郎ってイメージがある。
個人的には、子供の頃にやってた人形劇の「真田十勇士」の結末がどうなったか興味があります。
>四十七人の刺客
え、これも伝奇小説に入れちゃうの?
昔、結構、実際はこうだった的に読んだ記憶あるんだけど(^^;
討ち入りはカッコよかったですよね。
全体を見て思ったのは、そんなに伝奇、伝奇してない(イメージがある)話が多かったなーと。
ブリッツさんのことだから、横溝正史の「髑髏検校」とか、あと「鳴門秘帖」とか、もしくは、えーとなんだっけ?円月殺法の人、あの手が出てくるのかなーと思ってました。
あと、高橋克彦の伝奇もの(総門谷でしたっけ?)、もしくは歴史小説の傾向が強い、アテルイの話とか「炎立つ」、あと、それの平安時代版や「時宗」なんかは、ブリッツさんとしてはどうなの?
もしくは、「帝都物語」とか。
高橋克彦の歴史ものをのぞけば読んでないので、ブリッツさんの評価が気になります。
というか、書いていただいてありがとうございます。
とっても楽しく読ませてもらいました。
とりあえず、興味を持ったのは、宇月原晴明と安倍龍太郎かなー(^^)/
あと、そう。私は読んでないんだけど、最近…、というかちょっと前に「機構のイブ」って本が話題になってたじゃないですか?
あの辺はブリッツさんとしてはどうなんだろ?
- #20363 イエローひゃくマリン
- URL
- 2019.08/18 16:17
- ▲EntryTop
Re: 面白半分さん
世の中の美徳とか価値とかに対する突き放した批判的な感覚というものが、山田正紀とは比べ物にならないほどすごい人ですから、未読でしたらぜひどうぞ、であります。
本人曰く「冬になると『おれの季節がきた』と思う」そうで(^^;)
ほかの作品は、まあ、SFでもミステリでもない「伝奇小説」ですから、ジャンル違いというわけで、知らなくても無理はありません(^^)
とりあえず、ここに挙げたやつは、どれも読みごたえがあって面白いので、古本屋の百均棚とかで見かけたらぜひお手に取ってほしいものであります。
本人曰く「冬になると『おれの季節がきた』と思う」そうで(^^;)
ほかの作品は、まあ、SFでもミステリでもない「伝奇小説」ですから、ジャンル違いというわけで、知らなくても無理はありません(^^)
とりあえず、ここに挙げたやつは、どれも読みごたえがあって面白いので、古本屋の百均棚とかで見かけたらぜひお手に取ってほしいものであります。
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Re: ひゃくと雪の女王さん