FC2ブログ

    映画の感想

    「ゴルゴ13」(1983)見た

     ←海外ミステリ107位 ゴーリキー・パーク M・クルーズ・スミス →海外ミステリ107位 黄色い犬 ジョルジュ・シムノン
     存在だけは知っていて、前から気になっていた映画である。特に当時から謳い文句になっていた「史上初の3DCGアニメ」には興味を惹かれるものがあった。近所のレンタル屋に置いてあったので、虎視眈々と狙っていたが、なかなかきっかけがつかめない。今回のブログDEロードショーが「秋の夜長のミステリー企画」だったので、便乗して見ることにした。

     で、見たわけだが。

     怪作である(笑)。後述するCGを除いても、怪作すぎるほど怪作なアニメだった。誰だよこんな企画立てた東宝の責任者(笑)。

     怪作が怪作たるゆえんであるが……。

     その1:芸術的なプロット。メインとなるプロットに、いくつかのサブプロットを組み合わせているのだが、もうちょっと取り合わせを考えようよ(笑)。特に二番目の殺しになるモレッティー一家惨殺とドクターZは、登場するキャラクターがメインプロットのキャラクターよりも濃すぎて、本筋が何だか分からなくなる。ゴルゴのスナイパーとしての魅力を見せるための殺しもサブプロットのほうだし、これはもう、脚本段階でもうちょっと考えるべきだったんじゃないかなあ。

     その2:芸術的なコンテ。ゴルゴの劇画の面白いところといえば、さいとう・たかを先生の、細部までこゆるぎもしない写実主義的な絵でもって、徹底的にリアルでカッコよく誰にでも一発でその場の状況がわかるような流れで進めていくところだと思うのだが、出崎監督、らしいといっちゃらしいのだが、演出が、ハードボイルドというよりも、ヨーロッパ映画か、と思うような、どことなくファンタジーを思わせるコンテの切り方をしており、シャープでハードなゴルゴを期待していると、「なんじゃこりゃ」感が否めない。拳銃を構えていたかと思うと女のヌードが出る、という、まことに前衛的かつ芸術的な画面構成なのだ。面白いっちゃ面白いけど、「これ、ゴルゴだよな」と首をひねりながら見る始末。そのうえに脚本が混乱しているから、ボーっと見ていると「なにがなんだかわからない映画」に見えるのだ。

     その3:芸術的なキャラクター。先ほども書いたが、出崎監督の絵と、さいとう・たかを先生の絵とは、目指しているものがまったく違う。シャープでハードな線ではなく、むしろ少女漫画的なのだ。エースをねらえ!みたいな。ゴルゴの世界の住人にしては、悪役まで線が細すぎるのである。そしてまた、悪役が、そろいもそろってファンタジックなやつらばかりで、出崎監督の演出も入れると、ほんとにおれが見ているのはゴルゴなのか、と思わされること請け合いである。女性キャラも、さいとう先生のキャラとは思えないほどお目々ぱっちりでフランス人形みたいだ。

     そしてとどめ! その4:芸術的なCG! これについては「見てくれ」としかいいようがない!(笑) タイトルあたりのCGはまだ見られるけど、クライマックスで、ビルを襲うヘリコプター部隊が、ビル街(笑)をすべるように(笑)飛んでくるシーンは、そのヘリのリアルさ(笑)も含めて一見の価値がある。一見で十分だが(笑)。正直、これなら手で描いたほうがマシであろう。よくこれで東宝がOKを出したな、というよりも、CGアニメということで宣伝した手前、引くに引けなくなっちゃったんだろうと思われる。

     今回見てみて、あらためて、2008年版の舘ひろしゴルゴのカッコよさを痛感させられた。あれについても文句は山ほどあるが、このアニメのような怪作ではない(笑)。当分ゴルゴはいいや(笑)。
    関連記事
    スポンサーサイト






    もくじ  3kaku_s_L.png 風渡涼一退魔行
    もくじ  3kaku_s_L.png 鋼鉄少女伝説
    総もくじ  3kaku_s_L.png ほら吹き大探偵の冒険(児童文学)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 夢逐人(オリジナル長編小説)
    総もくじ  3kaku_s_L.png 残念な男(二次創作シリーズ)
    総もくじ  3kaku_s_L.png ショートショート
    総もくじ  3kaku_s_L.png 紅探偵事務所事件ファイル
    総もくじ  3kaku_s_L.png 銀河農耕伝説(リレー小説)
    もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
    もくじ  3kaku_s_L.png リンク先紹介
    もくじ  3kaku_s_L.png いただきもの
    もくじ  3kaku_s_L.png ささげもの
    もくじ  3kaku_s_L.png その他いろいろ
    もくじ  3kaku_s_L.png SF狂歌
    総もくじ  3kaku_s_L.png 剣と魔法の国の伝説
    もくじ  3kaku_s_L.png 映画の感想
    もくじ  3kaku_s_L.png 家(
    もくじ  3kaku_s_L.png 懇願
    もくじ  3kaku_s_L.png TRPG奮戦記
    もくじ  3kaku_s_L.png 焼肉屋ジョニィ
    もくじ  3kaku_s_L.png ご意見など
    もくじ  3kaku_s_L.png おすすめ小説
    【海外ミステリ107位 ゴーリキー・パーク M・クルーズ・スミス】へ  【海外ミステリ107位 黄色い犬 ジョルジュ・シムノン】へ

    ~ Comment ~

    Re: ひゃくの焦点さん

    エンドクレジット見てみな、山ほどアジア的な名前の人が出てくるから(笑) あれ全部アニメーターだったそうで(笑)

    NoTitle

    >ほとんどの「CG」を日本人アニメーターがセルに描いていた、という有名な話
    そうだったんだ!(^^ゞ

    Re: ECMさん

    あれクレイ1だったんですか。∑(OωO; )

    技術革新というものは恐ろしいものですなあ。

    中学生のころ、月刊アスキーで、クレイ2を26台つなげた超スーパーコンピュータ「クレイZ(ジー)」というギャグ投稿ネタを読んで大笑いしましたが、はたして今のケーズデンキで20万円程度で売ってるデスクトップ機に勝てますかねえ……。

    Re: miss.keyさん

    いや、馬鹿にはしてません。

    愛でてるだけで(^-^)。

    Re: ひゃく軒店商店街さん

    トロンは、世界初のオールCG映画という触れ込みだったが、コンピュータの性能が間に合わず、ほとんどの「CG」を日本人アニメーターがセルに描いていた、という有名な話が。(それでもクレジットに彼らの名前を入れるアメリカの映画会社、しっかりしてるなあ)

    NoTitle

     ゴルゴは見たことないのですが、レンズマンは見たことあります。
     レンズマンは当時のスーパーコンピュータークレイ1を使ったCGでしたが、今のパソコン以下ですなぁ。

     ゴルゴは戦闘ヘリAH-1の攻撃によりガラスが割れるところのCGとかガイコツのCGとかのシーンをTVで見たことがあります。

    レンズマンもCGつこてた

    「レンズマン」のCGもたいがいでしたおまっせ。
    しかしそうやって飛びついた連中がいるから今のCGがあると思えば、そう馬鹿にしたもんじゃないど。

    NoTitle

    考えてみたら、ゴルゴ13って、見たことなかった(^^)/

    しかし、1983年のCG映画?
    トロンみたいなもん!?
    • #20528 ひゃく軒店商店街 
    • URL 
    • 2019.10/14 16:32 
    •  ▲EntryTop 

    Re: しろくろshowさん

    動画が上がってないかYoutubeをチェックした時に思いましたが、あのCG、うんと小さな画面で見るとけっこう迫力があるんですよね。細部がつぶれて。だから画面構成とか演出とかはよかったんでしょうね。

    大画面で見ると……アウチ、ですが(笑)

    また、ゴルゴが危機を脱するたび、「どうやって危機を脱したのかわからない」というコンテ切りはやめてほしかったなあ出崎監督。

    そういう意味でも「怪作」ですね(笑)。

    こんにちは。

    わたしこれ公開時に劇場で見たんですけど、その当時の感覚でもあのCGには「なんじゃこりゃ( ̄。 ̄;)」と思いましたねー・・

    シンディ・ウッドのテーマソングを割と気に入ったのであのあとレコードだけ買ったなあとか、今回こちらの記事を読んでいろんな記憶が蘇ってきたところです。

    Re: らすさん

    ゴルゴにあるまじきことに、男キャラもお目めぱっちりなんです(笑)

    まあそれはそれとして、83年度の技術では驚異のCGアニメと、その驚異がどれほどトホホなものだったのかをごらんください。巨神兵じゃないけど、「早すぎたか」なんだよなあ。

    https://www.youtube.com/watch?v=-gcyZc3bhyM

    NoTitle

    こんばんは( ¯﹀¯ )/+*

    興味があったので検索して調べてみました。
    確かに女性キャラが「スペースコブラ」みたいな感じですね。
    「ルパン三世」のアニメスペシャル版に絵柄がかけ離れた萌えキャラが登場する事がありますが、
    それに近い違和感を感じました。

    Re: 宵乃さん

    さすがにフルCGは無理で、セル画を使ったアニメのところどころにCGが入る、みたいな形ですが、

    あのヘリコプター襲撃シーンは当時としても爆笑するしかなかったんではないかなあ(笑)

    見てるとアタマがクラクラしてくる映画です(笑) 83年のものとは思えんほどえっちなシーンだらけですが、まあそこはご愛敬ということで、いっぺん見てみるのはどうか(笑)

    NoTitle

    83年にフルCGアニメなんてあったんですね。
    新しいことに挑戦する姿勢は素晴らしいと思います。”快”作とはいかなかったみたいですが(笑)
    ポールさんが楽しまれたようで何よりです。
    一番乗りでのご参加ありがとうございました♪
    管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

    ~ Trackback ~

    卜ラックバックURL


    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    • 【海外ミステリ107位 ゴーリキー・パーク M・クルーズ・スミス】へ
    • 【海外ミステリ107位 黄色い犬 ジョルジュ・シムノン】へ