「ナイトメアハンター桐野(二次創作長編小説シリーズ)」
4 天使を吊るせ(完結)
天使を吊るせ 4-3
このわたしがわからないはずがないだろう、と反論したい気持ちだった。そういう経験なら、ナイトメア・ハンターとして、この数年間、毎日のように体験しているのだ。しかし、彼らに、わたしの能力をどこまで話していいものだろうか。
「なにか、おっしゃりたいことが……?」
ままよだ。わたしは覚悟を決めた。
「そういう経験なら、毎日のようにしていますよ。わたしには、特殊な力が、ナイトメア・ハンターとして与えられていますので。いったところで、信じてくれないかもしれませんが……」
杉内はわたしの手を取った。
「ようやくおっしゃっていただけましたね」
「……え?」
「あなたのことは、よく存じていますよ、桐野先生。夢に入ることができる特殊能力者でいらっしゃるんでしょう?」
わたしは目を白黒させた。
「は。……はい、そうですが」
わたしがなにかをしようとすると、なんでこうなってしまうんだろうか。
杉内は目をきらきらさせながら、わたしの手を縄跳びのロープよろしくぶんぶんと振り回した。
「最初に、ここに入ってこられたときから、この人だ! と思いましたよ。なんといっても、先生は、有名なかたですからね」
「有名……?」
わたしは首をひねった。有名? 有名人? だとしたらわたしの診療所にももっと人がたくさん来てもよさそうなものだが。
「先生は、かつてテレビに出られたじゃないですか」
テレビ?
そうだった。確かに、そうだった。二年前の吸血鬼に関わる事件の際、わたしや遥美奈は、ワイドショーやニュース等の番組を通じて、日本中のテレビの画面を占領していたのだった。
「わたしは、そんな待たれるような有名人ではない、普通のどこにでもいる医者くずれですけれど」
「ご謙遜はいいですよ。この研究所に所属するすべての人間たちにとって、あなたは地上に降りた希望の星なんですから」
杉内は、堀内孝雄の「君のひとみは10000ボルト」を鼻歌で歌いはじめた。
わたしはへきえきするのを感じた。
「ちょっと、オーバーですよ。希望の星だなんて」
「オーバーじゃないです。ぼくなんか、ほんとはサインがほしくてしかたがないくらいですから」
「しかし……しかし、いったいなんで」
わたしには目をぱちぱちさせることくらいしかできることはなかった。
「それは、先生が、夢に入ることができるとおっしゃっておられるかただからですよ」
「なにか、おっしゃりたいことが……?」
ままよだ。わたしは覚悟を決めた。
「そういう経験なら、毎日のようにしていますよ。わたしには、特殊な力が、ナイトメア・ハンターとして与えられていますので。いったところで、信じてくれないかもしれませんが……」
杉内はわたしの手を取った。
「ようやくおっしゃっていただけましたね」
「……え?」
「あなたのことは、よく存じていますよ、桐野先生。夢に入ることができる特殊能力者でいらっしゃるんでしょう?」
わたしは目を白黒させた。
「は。……はい、そうですが」
わたしがなにかをしようとすると、なんでこうなってしまうんだろうか。
杉内は目をきらきらさせながら、わたしの手を縄跳びのロープよろしくぶんぶんと振り回した。
「最初に、ここに入ってこられたときから、この人だ! と思いましたよ。なんといっても、先生は、有名なかたですからね」
「有名……?」
わたしは首をひねった。有名? 有名人? だとしたらわたしの診療所にももっと人がたくさん来てもよさそうなものだが。
「先生は、かつてテレビに出られたじゃないですか」
テレビ?
そうだった。確かに、そうだった。二年前の吸血鬼に関わる事件の際、わたしや遥美奈は、ワイドショーやニュース等の番組を通じて、日本中のテレビの画面を占領していたのだった。
「わたしは、そんな待たれるような有名人ではない、普通のどこにでもいる医者くずれですけれど」
「ご謙遜はいいですよ。この研究所に所属するすべての人間たちにとって、あなたは地上に降りた希望の星なんですから」
杉内は、堀内孝雄の「君のひとみは10000ボルト」を鼻歌で歌いはじめた。
わたしはへきえきするのを感じた。
「ちょっと、オーバーですよ。希望の星だなんて」
「オーバーじゃないです。ぼくなんか、ほんとはサインがほしくてしかたがないくらいですから」
「しかし……しかし、いったいなんで」
わたしには目をぱちぱちさせることくらいしかできることはなかった。
「それは、先生が、夢に入ることができるとおっしゃっておられるかただからですよ」
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NoTitle
杉内くんの目のきらきらが好きです・・サイン!?え、希望の星!?先生、有名・・!?
手をブンブン・・すごく鮮明にイメージができますb+
でも、なんか裏の顔がありそうです・・
のせられていい気分になって騙されない様に気を付けてくださいっ!桐野先生!
手をブンブン・・すごく鮮明にイメージができますb+
でも、なんか裏の顔がありそうです・・
のせられていい気分になって騙されない様に気を付けてくださいっ!桐野先生!
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Re: れもんさん
小説が進んだとき、期待どおりの裏の顔だったらごかっさい(意味深)。