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    哲学者になれなかった男の語る哲学夜話

    ニーチェにとって科学とは何だったのかを考える

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     つらつら考えるに、ニーチェは、人間のすることが世界の「解釈」でなければ、そもそも「科学は成立しない」だろう、と考えていたのではないかと思われる。

     なぜなら、「客観的な真理」に到達するためには、「帰納法」は論理的に無力であるからだ。ヒュームが正しく洞察していたように、「千年続けて朝日が東から昇ることは、翌朝の太陽が西から昇ることを否定するものではない」のである。

     科学とは不断の「観測」をもとに不断の「解釈」を行うことで作られる、現在の(という言葉が成立するかもまた解釈の問題である)世界に対する、「妥当と思われる解釈の集合体」にすぎない。それはすべての学問が同様だ。

     ある理論が世界に合致する、と思われるのも、反証が出たから捨てる、と思われるのも、それの根本は「解釈」である。ある人間が突拍子もないことを発言するのも「解釈」、現在の理論からしてそこには重大な問題が含まれる、と反論するのも「解釈」、結局のところ最初の発言が正しかった、となるまでには、無数の「解釈」の試みが、両者の間で行われるだろう。もちろん、最初の解釈が妥当ではなかった、という結果に終わることもあるし、そちらのほうが割合としては非常に多いだろう。だが、それでも、最初の発言者が自分の発言に固執し、解釈を変えないままで死んだら、「その発言者にとって彼の発言は正しかった」のである、と解釈するしかあるまい。もし、運命のいたずらがあれば、その発言者の解釈に新たな解釈により光が当たり、「結局は正しかった」となる可能性もある。

     ニーチェの「解釈」に対する還元は、そこまでのダイナミズムを持った思索なのだ。

     われわれが持つ科学知識は、演繹的に手に入れたものではない。すべて、「帰納的」な解釈によるものである。

     物理定数は常に一定とは限らないし、世界自体が明日も同じとは限らない。数学すらも、明日には公理系を支える公理そのものが破綻してしまう可能性がないわけではない。物理学の法則にしろ、数学の定理にしろ、今日の知識が明日有効であるという保証すら全く存在しないのだ。

     そんな中でも「正しい」と考えられることは何か、を模索する哲学者は、まあ、病気ではある。地に足がついた人は、関わらないほうが無難であろう。
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